毎年恒例となっている芸人界の一大コンテスト『R-1ぐらんぷり2014』の決勝大会が今月4日に行われ、ピン芸人のやまもとまさみ(40)がエントリー総数3,715人の頂点に立った。『THE MANZAI』や『キングオブコント』などと並び、決勝の模様がゴールデンタイムの全国放送されることから、芸人界でもっとも注目される大会のひとつであるR-1。しかし近年では、以前のM-1のように、必ずしも優勝者や注目株がブレイクするわけでもなく、その注目度は年々下降気味だ。
それでもやまもとの優勝はさっそくネットニュースなどにも上がり、日が変われば「R-1効果でやまもとの仕事が急増中」という報道も見られる。注目度が下がったとはいえ、3,715人で1番となれば、やはり得るものは大きいに違いない。
だがネット上などでは今回のR-1について、「過去最低の大会」「レベル低すぎ」「売れる気がしない」といった辛らつなコメントが多く見られる。決勝では満場一致の得票で優勝したやまもとだが、大会そのものの価値に疑問符がついてしまっては、大手を振って優勝を掲げるのもためらってしまうかもしれない。
また、今大会の平均視聴率は関東地区で平均7.2%(ビデオリサーチ調べ)とこれまでの大会中ワースト2。ワーストを記録したのは、博多華丸が優勝した2006年第4回大会の6.9%だが、同大会の放送スタートは16時05分で、ゴールデンタイムで放送された今回が実質的に最低記録といえるだろう。
内容への不満が如実に数字に表れた中での優勝となったやまもと。しかし、その憑依形のコントネタは、劇団ひとりや友近を彷彿とさせるもので大いに観客を沸かせた。今後レギュラー放送されているバラエティ番組に出演することもあるだろうが、コントで見せた憑依キャラをアドリブで披露することができれば、活躍の場はどんどん広がるだろう。
しかし今のバラエティ界には、あまりにも豊富な中堅芸人をはじめ、坂上忍、ヒロミといった再注目のタレントが次々と出てきている。予算の削減というのも大きな命題になっており、これ以上に椅子が増えることは考えにくい。そんな状況のテレビバラエティに、やまもとが食い込めるかどうかは難しい。
そもそも十分すぎる芸人の数が、こうしたコンテストの価値を下げているのは明白だろう。視聴者が名前も覚えられないほど次から次へ出てきてもしょうがないということだ。しかし、それでも今の若手芸人が売れるには、こうしたコンテストで注目を集める以外にはないのが現実。やまもとにはぜひコンテストの存在意義を示すためにも、大きく羽ばたいてほしい。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
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