拷問は国際条約などで禁止だが…発売前から話題の書籍『本当はやってはいけない拷問マニュアル』

※画像:『本当はやってはいけない拷問マニュアル』著:松代守弘/協力:鳥山仁/三和出版(2月26日発売)

 ここ1年ほど、AV業界では“拷問”という名のついた作品が人気である。その大半はハードSMを呼び変えただけだが、中には本格的な戦国時代から江戸時代に行われた責めを模した作品もある。

 しかし、実写作品の場合は出演する女優の心身に致命的な傷を負わせる訳にはいかないため、どうしても限界がある。また、制作サイドも女優の状態を確認しながら責めなければ、撮影ではなくただの傷害になってしまう。

 そこで登場するのがイラストや文章である。実在する相手に行うわけではないため、限界を超えた責めも可能だからだ。ただし、こうなると今度はリアリティの有無という問題がつきまとう。フィクションの世界であれば、どんなことでも可能だが、裏返せばあり得ないことでも描いてしまえるからだ。

 もちろん、そうした面もフィクションの良さではある。だが、同時にどこまでが本当でどこまでが嘘なのかを知りたくもある。そんな期待に応えるように、“可能な限り実在した拷問とそうでなない拷問を選別して掲載した”という触れ込みで三和出版から発売されるのが『本当はやってはいけない拷問マニュアル』である。だが、この本のタイトルはおかしい。拷問が「やってはいけない」のは誰でも分かることで、“本当は”という文言を加える必要性を感じない。そこで、この本の企画と一部執筆を担当した編集者兼作家の鳥山仁氏に話を伺うと、

「いや、やってもいい拷問とやっちゃいけない拷問があったんですよ」

 という意外な答えが返ってきた。

「たとえばヨーロッパでは、1768年に定められた、いわゆるテレジア法典によって、神聖ローマ帝国で認められていた拷問は、ネジ式指締め器、膝砕き器、ラック、吊るし責め、紐締めの5種類に制限されました。これは日本も同様で、1742年に仮完成した公事方御定書(くじかたおさだめがき)で認められた拷問は、笞打(ちだ)、石抱、海老責、釣責の4種類に制限されています」

 ということは、この本にはこれ以外の拷問も記載されているので、「本当はやってはいけない」というタイトルが付いているのか?

「基本的にそうですね。もちろん、現在では全ての拷問を国際条約などで禁止しているんですが、必ずしも実情はそういうわけではない。たとえば、2005年に報道されて話題になった、レンディションという方法があります。これは、拷問禁止条約に加盟していない国に被害者を送って拷問するというやり方で、アメリカやヨーロッパ各国で行われていることが明らかになった。これも、本当はやっちゃいけないことですよね?」

 なるほど。しかし、それとこの本の触れ込みであるウソと本当の選別にはどんな関係があるのだろうか?

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