右手を使って陰茎をシゴくだけがオナニーではない。オナホールを用いたり、前立腺を刺激したり、床にうつ伏せになったり…そのバリエーションは、挙げればキリがないほどである。これまでにない快感を求めて、新たなオナニー法を模索している人も少なくないだろう。そんなオナニーチャレンジャーにご紹介したいのが「ぬいぐるみオナニー」である。
ダッチワイフやラブドールを連想した人もいるだろうが、それらとは全くの別物。ダッチワイフ・ラブドールのように人間の女性を模したものではなく、クマやらウサギやら、ごく普通のぬいぐるみを用いてオナニーする男性も、ごく少数ではあるが存在する。
女性のヌイグルミオナニーは、決して珍しいことではない。股の間に手頃なサイズのヌイグルミを挟み、股間全体を擦りつけるようにして腰を振るオナニー法は、多くの女性に親しまれている。子どもの頃からぬいぐるみで遊んで育ってきた女性にとっては、ごく身近なアイテムなのだろう。
一方で男性の場合は、ぬいぐるみに触れ合う機会がほとんどなかった。ぬいぐるみ=女の子が遊ぶものという認識であるし、そもそも興味が持てなかった。ぬいぐるみで遊ぶよりも、野球やサッカー、戦隊物ごっこのほうがうんと楽しかったはずだ。
しかし、時代は変わってきた。UFOキャッチャーの影響か、男性の部屋にぬいぐるみがあるシチュエーションも珍しくないご時世なのだ。一般女性たちに、「彼氏の部屋にぬいぐるみがあったらどう思うか?」という質問を投げかけたところ、案の定「UFOキャッチャーの戦利品」を連想する人がほとんどだった。「ぬいぐるみを所有している男性=女々しい」という見方をされる時代ではないようだ。UFOキャッチャー以外でも、カノジョからプレゼントされることもあるだろう。
ここからが本題。何気なく部屋に置かれてあるぬいぐるみでオナニーするとは、一体どのような心理状態なのだろうか? 経験者に聞いたところ、「なんとなく遊び心で……」 という、実に曖昧な回答が返ってきた。はっきりした目的意識はそこに無いようだ。確かに前立腺オナニーの場合も、なんとなくアナル入り口を指でなぞっているうちに挿れたくなったりするもの。オナニーにいちいち目的意識を問うほうが間違っているのかもしれない。
次に、やり方に関して。ぬいぐるみに股間を擦りつけるという点では女性のぬいぐるみオナニーと一致しているが、明確な違いは格好にあった。女性の場合は、着衣のまま行なう人が圧倒的多数。直接クリトリスを触ったり膣へ指挿れせずとも、ぬいぐるみと股間の擦れ合いだけでオーガズムに達することが可能とのこと。
対する男性陣は、上半身はさておき、下半身は全て脱ぐというスタイルが主流のようだ。男性のオーガズムは射精を伴うので、着衣だと射精後いっきに不快感が襲ってくる。
そして射精の対象物。ティッシュ等ではなく、ぬいぐるみにぶっかけてこそ、ぬいぐるみオナニーの醍醐味が味わえると経験者は語る。気になる使用後だが、もちろん洗濯は欠かせない。そのため、「本当はもっと大きいサイズのぬいぐるみを用いたいが、家庭用洗濯機に入るサイズ止まりになってしまう」と頭を抱えるぬいぐるみオナニストも。毎回クリーニングに出すのはコストがかかるし、そもそも精液のぶっかかったぬいぐるみを出すわけにもいかない。
洗濯の手間を考えると、決してラクなオナニー法とはいえないが、既存のオナニーにマンネリを感じている男性は、ぬいぐるみオナニーを試してみるのも一興である。
(文=菊池美佳子)
菊池美佳子(きくち・みかこ)
1977年3月17日生まれ。岩手県盛岡市出身。21~29歳の間、キャバクラ嬢・テレフォンセックス嬢・企画物AV嬢としても活動。引退後、文筆業に転身。
■著書:『2010年代 ニッポンの風俗』/『つけちゃうぞ! 大人の保健体育』
『テレフォンセックス裏物語』/『Sの妹Mの彼女』