3月に終了する『笑っていいとも!』(フジテレビ系)のレギュラーに突如決定したとんねるずの石橋貴明(52)と木梨憲武(51)。生放送中の一連の出来事は多くのメディアが報じている通り。一部報道では、そもそも内定していたとんねるずのレギュラー起用を、ドラマチックに見せるための演出だったという話も出ているが真偽のほどは定かではない。たとえそうだとしても、番組内で語られたように、タモリ(68)ととんねるずの深い絆が2人のレギュラー抜擢を後押ししたのは間違いないだろう。
また、そんなタモリについて「東京スポーツ」(1月16日号)は、「暴走タモリ」と銘打って記事を掲載。番組関係者の話として、とんねるずの起用は「タモさんたっての要望だった」といい、「残り2ヵ月半、タモさんの好きなようにやらせるつもり」であるという。つまりタモリの暴走はすでに織り込み済みというわけだ。
さらに「東スポ」は、タモリの暴走モードは昨年末から始まっていたと指摘する。記事によると、『いいとも』の打ち上げで、タモリが放送禁止用語の下ネタを連呼していたというのだ。さすがにそのタモリの絶叫は「会場を凍りつかせた」というが、同紙は、「それがタモリの真の姿なのは、昔を知る関係者なら誰もが知っている」と分析。一連のタモリの暴走を「復活!」と歓迎し、とんねるずとのタッグで、「どんな放送事故が起きるのか」と期待を寄せている。
確かに、密室芸と称されるネタでデビューした当時のタモリを知っている人間からすれば、放送禁止用語の連呼もとんねるずの電撃レギュラー決定も、懐かしいと思うレベルのものかもしれない。そしてそう思うからこそ、そんなタモリの暴走を歓迎するのだろう。
だが、当のタモリはとんねるずとのテレフォンショッキングの際にも言っていたが、いたって冷静な態度で、「春からのことはなにも決まってない」と言う。外野がいくら暴走モードと言っても本人とすれば、これまでと同じようにしているだけなのかもしれない。
とはいえ、『いいとも』が終了すれば、すでに報道されているように、タモリがレギュラー番組を獲得するのは必至。それが深夜帯の番組となれば、タモリの暴走も本格化するに違いない。30年以上続けた“お昼の顔”からの解放は、彼をデビュー当時の芸風に戻すには十分すぎる。
さらに、その30年という長い月日で蓄積されたイメージと暴走タモリとのギャップは、また新しいタモリを生むに違いない。それはまるで新生タモリを作り上げるために30年以上を費やしたかのようでもある。飄々としながら、あらゆるものを糧にして、70歳を目前にして新境地に進もうとしているタモリ。「東スポ」は近頃のタモリを暴走と称すが、それは新生タモリへの助走なのかもしれない。恐るべきタレント魂である。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)