「次の10年」を生き抜こう。~2013年アイドルポップスベスト10まとめ


■6位:GALETTe「neo disco」 
 

※画像:『G』DLE

 シングル「G」のカップリング。爽快なディスコ・ナンバーで、メロディーの展開の素晴らしさを特筆したい。リリース当時は4人組だったが、元HKT48の古森結衣が加入して現在は5人組。

 
■7位:Negicco「愛のタワー・オブ・ラヴ」 
 
 

 

※画像:『愛のタワー・オブ・ラヴ』T-Palette Records

 「新潟で生まれ渋谷で夢を見る極上のアイドルポップス Negicco『愛のタワー・オブ・ラヴ』」(https://www.menscyzo.com/2013/03/post_5503.html)で紹介した。アルバム「Melody Palette」も素晴らしかったが、小西康陽プロデュースの「アイドルばかり聴かないで」に話題が集まりがちなので、あえてこのシングルを。Nona Reevesの西寺郷太のプロデュースによる緻密なサウンドとコーラスが美しく、終盤の高揚感が強烈なトラックだ。

 
■8位:lyrical school「PARADE」 
 

 

※画像:『PARADE』T-Palette Records

 hina加入後のlyrical schoolのシングル。この後にerikaが脱退し、さらにminanが加入するというめまぐるしい展開をすることになる。。tofubeatsプロデュースのサウンドで一番新鮮だったのはドラムのキックの音色で、ジャジーなパートの導入や「愛してる」というストレートな歌詞にも軽い衝撃を受けた。

 また初回限定盤のカップリングである「S.T.A.G.E feat 深瀬智聖」は、エイプリルフール企画で公開されたyumiこと清水裕美の「4月」(当初は彼女が作詞作曲とされていたが実際は箱庭の室内楽のハシダカズマ作品)をエディットしたもの。この清水裕美による「4月」は、リリース・イベントでの特典CD-Rとしてのみ配布された。 
 

 
■9位:ライムベリー「SUPERMCZTOKYO」 
 

 

※画像:『SUPERMCZTOKYO』T-Palette Records

 
 現時点でライムベリーの最新CDシングル(この後に7インチのアナログ盤でのみ『フロム東京』がリリースされている)。この楽曲のビデオ・クリップが公開されたとき、私は青森県八戸市にいたのだが、宿泊先のホテルでiPadで夢中で見たことを思い出す。E TICKET PRODUCTIONのプロデュースのもと、すっかり成長した3MCのフックの効いたラップを聴くことができる。

 なお、ライムベリーは2013年8月11日の渋谷WWWでのワンマンライヴから活動休止となり、12月15日の「T-Palette感謝祭 2013」には出演したものの、今後の活動に関しては執筆時点でまだ正式なアナウンスがない。何らかの事情があるのだろうとは察するし、差し出がましいことは承知だが、少女たちの未来のためにライムベリーとしての活動を再開させてくれることを願わずにはいられない。

■10位:BELLRING少女ハート「ライスとチューニング」 
 

 

※画像:『BedHead』インディーズ・メーカー

 アルバム「BedHead」収録曲。朝倉みずほがメインのラップ・ナンバーなのだが、(良い意味で)脱力気味の彼女の声が妙な中毒性を生み出している。2013年4月14日の渋谷WWWでのワンマンライヴ当日にリハーサルを見せてもらったのだが、その際の「ライスとチューニング」は聴いている側がヒヤヒヤするほど非常にスリリングな状態となっており、それ以来朝倉みずほのラップが忘れられなくなってしまった。

 
 以上、10曲中8曲がインディーズ流通という結果になった。次点として、Especia「パーラメント」、せのしすたぁ「アイドルなんてなっちゃダメ!ゼッタイ!」、AKB48「恋するフォーチュンクッキー」、モコモコ「ハロー!HATSUKOI」、バンドじゃないもん!「雪降る夜にキスして」、いずこねこ「e.c.i.n」、でんぱ組.inc「IDOL」を挙げておきたい。

 

 

 



 また、2013年のアイドル関連の再発盤のベストとして、広末涼子の「RH Singles &…~edition de luxe~」を挙げたい。1999年のベスト盤にさらに3曲を追加し、初回限定盤のDVDには武道館ライヴを遂に初DVD化して収録。私以外に一体どういうニーズがあるのかさっぱり見当がつかないが、90年代後半を代表するアイドルとしての広末涼子の軌跡を俯瞰するのに最適のアイテムだ。

 

 
 この連載も「アイドル戦国時代」に抗ってきたものの、そろそろ悪態をつくエネルギーも尽きてきた。90年代の広末涼子、00年代のChu!☆Lipsに再び触れる機会を得た2013年の今考えているのは、たとえアイドルブームが去ってシーンが冷え切っても「次の10年」を生き抜くことだ。このスピード感だと、2010年代なんてあっという間に終わってしまいそうなのだ。
(文=宗像明将)

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