今季限りでプロ野球生活にピリオドを打った石井一久（40）が、さっそくテレビバラエティ界で大暴れしている。8日深夜には石橋貴明（52）がMCを務める『リシリな夜』（TBS系）に登場し、さらに12日にはテレビバラエティの新たな人材発掘場としてもっとも注目を集める『アウト×デラックス』（フジテレビ系）に出演。司会の大物芸人を相手に一切物怖じしない態度で天然トークを披露し、底知れないバラエティのポテンシャルを感じさせた。
現役時代から、「焼肉屋をやりたい」「運転手がしたい」と語っていた石井。プロ人生22年というキャリアを持ち、日米通算182勝という左腕でありながら、野球に対する思いは普通のプロ野球選手とはかなり違う。そんな石井を『アウト×デラックス』では“野球が好きじゃないのに182勝もあげた元メジャーリーガー”と紹介する。これに石井本人は異を唱えたが、「そんなに（好きじゃない）ということです」とあっさり認めた。「サッカーのほうが好き」と笑いながら話す石井は、やはり普通のプロ野球選手とは感覚が違うようだ。
また『リシリな夜』では、プロ野球選手でありながら数字に興味がないということが話題に。200勝を目前にして引退した石井は、その理由を「なんで周りが興味あるのかもわからない」と言い、気持ちがあれば、「もうちょっと勝ち星はあげられた」と平然と語る。「8回までいけばノーヒットノーランしたも同じ」と言う石井にすれば、182勝も200勝も同じということなのかもしれない。プロ選手ならば誰もが目指し、その中でも限られた人間にしか成し得ない偉業といえる200勝という記録だが、石井にとっては数字以外の何物でもないのだろう。なかなか理解するのは難しいが、「興味ない」と平然と言ってのける石井には不思議な魅力が漂う。
中学時代、記念にと出場した野球の試合で「たまたまホームラン2本打った」という石井は、それをきっかけに高校へ進学し、「やらされたらうまくなっちゃった」結果、プロのスカウトの目に留まり、ヤクルトスワローズへ入団したという。そんな石井はプロに入っても相変わらずで、1年目から「あんまり大したことないなって思った」らしく、「そこそこやれば上に行ける」と感じたと振り返る。
さらに石井は「プロ野球人生で一番の思い出は？」と聞かれると「友達がたくさんできたこと」と発言。「10勝するより10人の友達のほうが大事」と言い、友達を作るためにFA宣言したと明かす。さすがに笑いながら「半分はね」と付け加えていたが、FAの理由の半分が友達作りというのは、やはりぶっ飛んでいるといわざるを得ない。
そんな石井について、共演者の坂上忍は「生まれながらのアウト天才」と称し、山里亮太は「アレが本物か。オレ、普通だな…」と舌を巻く。今のバラエティ界で活躍するタレントたちに太鼓判を押され、今後さらに石井がテレビで活躍するは間違いないだろう。しかし、石井本人にそんな気はないらしく、来年には吉本興業に契約社員として就職し、広報活動やプロモーションに携わり「支える仕事がしたい」と語っていた。芸能界広しといえども、天然なのか頑固なのかわからず、それでいて人に嫌な思いをさせない石井のようなタレント性を持った人物は見当たらない。そんな石井をテレビは放っておかないだろう。しかし、200勝を目前にしても「そろそろ何か変えたい」と思い引退を決意した石井を無理にテレビに出演させることは難しいかもしれない。これまでもそうであったように、今後も気ままにテレビに登場することだろう。そして、それこそが石井の石井たるゆえんなのだ。
（文＝峯尾／http://mineoneo.exblog.jp/）
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