今年のアイドル界の大きなトピックといえば、長らく低迷していたモーニング娘。が本格的なダンスとファンをうならせる楽曲を武器に復活を果たし、オリコンシングルチャート3作連続一位を達成するなど大活躍したことだろう。年末のNHK紅白歌合戦への6年ぶりの出場も見えてきたモー娘。だが、そんな勢いに水を差すかのようなアクシデントが発生した。ライブ中に不審者が乱入し、メンバーたちが恐怖する事態が起きていたというのだ。
現在全国ツアー中のモー娘。は、17日に東京・中野サンプラザで昼夜合わせて二回の公演を開催したが、その夜の部で事件は起きた。会場に居合わせたファンはTwitterなどで現場の様子を伝えており、以下のような報告があった。
「アンコールの時、暗転したステージに帽子とマスクの男が現れて、客席に静かにするようにの仕草。暗くて見えないのでコールが続く中、今度はマスク取って楽器!?を吹き始める。番組とかの企画にしては変だと思ったら、スタッフが体当たりするように舞台袖へ連行していった」
「ピアニカを弾いたアウトな人ですが、自分の隣の席でした(一桁台の通路席)。公演中から何かをエアーで弾く仕草をしていて『楽器やってんのかな?』と思っていたが、アンコールになると鞄からピアニカを取り出して堂々とステージに向かって歩き、柵の隙間をすり抜けて 警備員の目の前を通って、ステージによじ登りました」
不審者はステージ袖から出てきたとの報告もあるが、いずれにせよ客席からステージに上がったという情報が多いようだ。メンバーがアンコールでバックステージに下がっている間の出来事だったようだが、もしメンバーが残っている状況だったらと思うとゾッとする。
「その男は前列だったのにライブ中も特にノッているわけでもなく、今にして思えば明らかに不審な様子で少し目立っていました。この男の行動は論外ですが、簡単にステージに上げてしまった警備側の対応は今後が心配になります。今回は運よくメンバーに何もありませんでしたけど、もし危害を加える目的だったら、それが可能な位置にまで近寄れたわけですから。しかも男は1分近くもステージに立っていて、連行までの時間も長かった。事件直後にもかかわらずアンコールをこなしたモー娘。はさすがですが、メンバーが怯えている様子が伝わってきて可哀想でした」(現場にいたファン)
ファンが起こした事件といえば、先日も同じハロプロ系アイドルグループ「℃-ute(キュート)」が池袋で開催したシングル発売記念ミニライブにおいて、撮影禁止にもかかわらず、しつこく“盗撮”していたファンがスタッフに連行された騒動があったばかり。同じアイドル系では、ももいろクローバーZの玉井詩織が神戸でのコンサート中、客席の間を駆け抜けた際に「ファンが殺到して一部の男たちがしおりん(※玉井)の胸を揉みまくっていた」との目撃情報が駆け巡ったこともある。
また、過去にはさまざまな芸能人がファンの暴走被害に遭っている。
昨年10月には、映画の舞台挨拶に登壇していた女優の井上真央にファンが突進。客席にいた若い男が突如壇上へ上がり「真央ちゃん、握手してください!」と、無理やり井上の手を取って握手を求めてきた。すぐに男はスタッフらに取り押さえられ、井上にケガはなかったが、これも一つ間違えば大事件になるところだ。実際に危害を加えられたケースもあり、83年の松田聖子のライブでステージに若い男が乱入し、長さ30センチほどの鉄製の棒で聖子の頭を殴り付けたことがあった。お隣・韓国でも、少女時代のライブ中に男が乱入し、メンバーの手を引っ張って連れ去ろうとした事件が起きている。
男性アイドルも例外ではなく、タッキー&翼のライブ中に女性ファンがステージに近寄り、滝沢秀明に「リンゴをむいてくれ」とリンゴを差しだし、壇上によじ登ろうとした事件なども起きている。KAT-TUNのライブでは、メンバーに向かって客が吹き矢を飛ばしたとの情報もあり、事態は思った以上に深刻だ。
暴走するファンが現れるのは人気の裏返しとはいえ、何かあってからでは遅すぎる。今回の騒動によってファンからも「警備体制をしっかりすべき」という声が上がっているが、グループによってはそれほど警備に予算が割けず、おざなりになっているところもあるのは事実だ。何より大事なメンバーの安全を守るために、スタッフ側は暴走ファン対策に頭を悩ませなければいけないようである。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)