YAZAWAにJOC会長に…大物相手にこそ輝く石橋貴明

※イメージ画像:『SAKURA ハルヲウタワネバダ』エイベックス・エンタテインメント

 さすが石橋貴明(52)である。3日深夜に放送された『リシリな夜』(TBS系)ではJOC会長の竹田恆和氏を相手に、7日の『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)ではロックの帝王・矢沢永吉を前にして、一切物怖じしない態度でトークを展開、大物たちを圧倒するほどの知識で、これぞ石橋という存在感を見せつけた。

 竹田会長の前で自身の五輪に対する思い出を熱く語る石橋。そんな石橋の言葉に、竹田会長も大いに感心したようで、2020年に開催の決まった東京五輪招致だが、実は40年の歳月がかかっているなどの秘話を披露した。さらに、石橋の五輪好きに圧倒された会長は、リップサービスながら、五輪の組織委員会入りを願う石橋に対して、「考えておきます」「よく言っておきます」と前向きな発言で笑顔を見せた。

 竹田会長といえば、息子が明治天皇の玄孫としてメディアに登場し、最近では恋愛騒動の渦中にある竹田恒泰氏の父。つまり竹田会長は明治天皇の曾孫というわけだ。そんな竹田会長に対して、一歩も引かず、むしろ圧倒した石橋。タレントなのだから当然といえば当然だが、これだけの大物で、自身も出場経験を持ち日本で唯一のIOCメンバーである相手に、自分のオリンピック熱を堂々と語れるタレントもなかなかいない。躊躇せず相手の懐に飛び込む石橋の身軽さが垣間見えた瞬間だった。

 また、珍しくバラエティに出演した矢沢に対しても、石橋は軽快なフットワークを見せる。芸能界の大先輩であり、ロック界の大御所である矢沢に向って、「なぜYAZAWAが保険に入るんだ!」などとまくし立てる石橋の態度は、竹田会長のときとは比べ物にならないほどの踏み込み具合。もちろんこれは矢沢が芸能人であり、2人の間に個人的な絆があるということに起因するが、それにしても、帝王・矢沢に向って「YAZAWA」を連発できるのは芸能界広しといえども石橋くらいなものだろう。

 素人といえる竹田会長には自分の思いを熱く語り、芸能界のイロハを知っている矢沢に対しては鋭いツッコミを見せる石橋。一見そのスタンスはまったく違うものに見えるが、いずれも共通しているのは石橋の幅広い知識がトークの要となっていることだ。その知識は、ときに当事者である本人をも驚かせるほどのもので、矢沢が息子に「YAZAWAをナメるなよ」と言ったという逸話を石橋が披露すると、矢沢は「(そんな話)どっから引っ張ってくんの?」と目を見開いていた。

 だが、こうした石橋のトークは、あまりにもマニアックなため視聴者をないがしろにするものともいえる。置いてけぼりにされた視聴者は笑うことができないだろう。しかし、バラエティにとって大事なのは何も笑いだけではない。「へぇそうなんだ」という感心も大きな要素である。前述したように、そうした要素を石橋は持っている。それゆえあらゆる大物たちと渡り合えるというわけだ。芸能界の暴れん坊というイメージが強く、若手イジりなどの笑いを得意とする石橋だが、一方でその幅広い知識を活かした感心という要素も併せ持つ。むしろ石橋の真骨頂は後者なのかもしれない。

 とはいえ、ビートたけしというビッグネームとタッグを組み、昨年の秋にスタートした『日曜ゴールデンで何やってんだテレビ』(TBS系)はわずか半年で終了している。大物相手を得意とする石橋だが、たけしへの遠慮なのか、どこか萎縮した態度の石橋は存分に魅力を発揮できなかった。距離が近すぎたためなのか、力を入れすぎたのか、その理由はわからないが、どうやら石橋は同じ畑の大御所は苦手のようだ。それに比べて、前述した竹田会長や矢沢といった大物を相手にすると一層輝きを増す石橋。かつて『うたばん』(TBS系)でMCを共にしていた中居正広とのコンビも絶妙だった。石橋の相手となる人物は、別ジャンルの大物というのがベストなのかもしれない。

 石橋自身が大物となって久しいが、まだまだ世の中には彼より大物がいる。石橋には、これからもどんどん大物を相手に暴れてもらいたい。そうしたことが出来るタレントというのも石橋くらいなものなのだから。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

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