ある番組で、中山秀征が「いつもテレビで『うわぁ、うまそう』とか『うまい!』とかテンション高めに言うのに慣れてしまって、家でついやったら家族にドン引きされた」と語っていたが、テレビではある程度スイッチを“オン”にしてテンション高く振る舞うほうが、見栄えがいいのかもしれない。
さて、楽屋や打ち合わせでのテンションが本番と同じタレントと言えば、明石家さんまが有名だが、そういった「そのまんま芸能人」は果たしているのだろうか? テレビ業界で長く働いている関係者に話を聞いた。
「もちろんいますよ。ただその前に、芸能人といえどもやはり人の子。テレビのようにずっとテンションが高いままではいられないのが普通だと考えてください。さんまさんは、別次元の生き物ですよ。大体、スタジオであれほどガヤを飛ばすFUJIWARAの藤本敏史でさえ、打ち合わせのときは疲れた様子で『ハイ、ハイ…そうですね…それは…』といった感じですから」
いざ本番でリミッターを解除して、テンションMAXにするためにも、打ち合わせ時で盛り上げることはしないようだ。
「基本的に“テレビのまんま”というのは少ないですね。芸人ではないですが、さかなクンなんかも特徴である上ずった声は収録時に強調するなど、多少“盛って”ますから」(同)
…さかなクンはテレビでもプライベートでも、あのままでいてほしかった気がする。それでは、今度は「打ち合わせとテレビ、そのまんま芸能人」は?
「映画コメンテーターのLiLiCoですね。むしろ、普段のほうがテレビより賑やかかもしれない。エレベーターのドアが閉まって我々が見送るまで、ず~っとしゃべってますよ。あと、女優の高畑淳子さん。彼女も打ち合わせからテンション高いですよ。そういえば、船越英一郎さんの奥さんの松居一代さんも、LiLiCoと高畑さんによく似ていますね」
このように、いつでもテンションが高いというのは、周囲にとって良いことなのだろうか。
「取材で聞きたい話が、別の話で盛り上がりすぎて聞けないことがあります。そうなると、さっきの打ち合わせは何だったんだろうか? …という感じで狐につままれた感じになります。ただ、我々も笑えればそれでいいんですが、話は飛び飛びで、一方的にまくしたてて終わる松居さんは少し勘弁してほしいですね(笑)」(同)
テンションが低すぎると、話が広がらないので打ち合わせがなかなか進まずに大変だろう。かといって、終始高すぎるのもそれはそれで考えもののようだ。
(文=今井良介)