──事前に台本は渡されるんですか。
「前日にエージェントからメールが来るんですけど、そこには持ち物とセックスのカテゴリーしか書かれていないから、細かい内容は分からないんですよね。当日も日本では考えられないほど書類でガチガチだから、ハードな内容のメーカーさんだと契約結ぶだけで午前中いっぱいとかかかるんですよ」
──じゃあ演技はアドリブが多いんですか。
「それが契約が終わるとスゴい勢いでリハーサルをやらされて、やっと夕方から本番に入るなんてことも珍しくなくて、最初から教えてくれればいいのにって思います。まあ、まりかがネイティブに英語を喋れないから、現場対応の方がいいって理由があるのかもしれないですけど」
──日本ではレズがNGのAV女優もいますけど、アメリカでレズはどんな捉え方なんですか。
「女の子にもよりますけど、ポルノデビューして男優さんとのカラミよりも先にカテゴリーされるのがレズです。中にはレズしかやらない子もいるんですよ。それを聞くと日本の感覚ではプライベートでもレズなのかなと思うんですけど、そうじゃないんです。アメリカでは最初の段階がフェラで、次にレズがくるんですよ。それから男優さんとのカラミ、乱交みたいな順番なんです。いきなりレズアナルって子もいますけどね(笑)」
──レズのハードルが低いんですね。あと海外のポルノを見ているとスパンキングやイラマチオが定番ですよね。
「スパンキングとイラマチオに関しては、どんなラブラブな内容でもやるんですよ。それを知らずに恋人同士の設定だからイラマチオをやらなかったら『何でカップルがファックを楽しんでいるのにやらないんだ!』と怒られたことがありました。しかも要求されるのは、よだれがダラーっと出るイラマチオですよ(笑)」
──まりかさんはNG知らずのハードコア女優というイメージですが、渡米した当初は他のポルノ女優と同じく段階を踏んで行ったんですか。
「まりかの場合は、日本で全カテゴリーをやっているじゃないかとエージェントの人に言われて。今はネット社会だし、すぐにバレることだから、日本と同じにした方がいいだろうと。それにレズは相手とのコミュニケーションが重要だから、英語の面でも難しいじゃないですか。あと『AVNアワード』を狙っているなら、最初から何でもOKした方がいいだろうという判断でした」
──『AVNアワード』などの賞レースは重要視されるんですか。
「幾つもの賞を取ったポルノ女優さんは高級車を乗り回すぐらいセレブな生活を送っていますね。そこまでのランクに行くと日本では考えられないぐらいの暮らしなんですけど、そうじゃないとベテランのポルノ女優さんでも日本に較べてギャラはゼロの数が一個少ないんじゃないかな。たとえ数年前に取った賞でも、プロフィールの一番上に、それを書いていますからね。私が『PENTHOUSE PET』になった時も物凄く評価されました。いまだに日本でAV女優というと色眼鏡で見られるけど、アメリカでは立派な仕事として社会的に認められているんですよね。先日、ポルノ関係ではなくテレビのお仕事で芸能人として台湾にも呼ばれたんですけど、これからもオファーがあれば世界中に行って、もっと知名度を上げて念願の『AVNアワード』に選ばれたいですね」
(文=猪口貴裕/写真=渡部幸和)
■『Chu!Chu!Chu!ミアとマリカ』(桃太郎映像出版)