不妊治療専門の女医という“表の顔”を持ちながら、夜になるとハードコアなM嬢となり、男たちのドス黒い欲望を呑み込む美女・奈緒子。彼女には女子高生時代、一カ月にわたる監禁レイプ生活によって、身も心にボロボロにされた過去があった…。美少女フィギュアと青年の異形な恋を描いた『フィギュアなあなた』で、映画界を大いに沸かせた鬼才・石井隆監督。氏の最新作である『甘い鞭』は、そんな『フィギュア~』からわずか3カ月という発表もさることながら、内容も先述のごとくセンセーショナルだ。
今回ここに登場してもらった間宮夕貴は、匂い立つようなエロスを醸す石井映画のヒロインの座を、本作にてゲットした注目のセクシーガールだ。壇蜜が演じる奈緒子の女子高生時代に扮し、密室内で繰り広げられるハードな性の饗宴を、文字通りの体当たり演技で披露している。自身のキャリアで初めて一糸まとわぬ姿を見せ、縛りや鞭打ちプレーなどのハードなプレーもなんのその。主役の壇蜜と並び立つ活躍ぶりを見せてくれた彼女の、現場体験や心境はいかなるものだったのか? 石井エロスの体現者として存分に身体を張った、そんな夕貴の肉声をお届けしよう。
■あの巨匠もドン引き!? 間宮流メソッドとは?
──以前メンズサイゾーで『フィギュアなあなた』の佐々木心音さんにインタビューさせていただいたんですけど、彼女とはよく一緒にイベントをやったり、ドラマで共演されたりしてますね。
間宮夕貴(以下:間宮) そうなんです。この前も(『フィギュアなあなた』『甘い鞭』でも共演した)桜木梨奈ちゃんの舞台を見に行ったりして、三人とも同級生なので、けっこう仲良くしてます。
──石井作品が取り持つ仲、みたいな?
間宮 三人で会うと「あれ大変だったよねー」とか「あのシーンってどうなってたの?」みたいな話になりますね。
──今回の『甘い鞭』なんですけど、間宮さんが本作のオファーを受けたのって『フィギュア~』に出演された後なんですか? それともその前にオファーがあったんですか?
間宮 『甘い鞭』のお話が来た後です。撮影現場の空気を知るために『フィギュア~』のほうにも是非に、って話になったんです。『甘い鞭』は原作を読んですごくいい本だなって思って、出演を快諾しました。なにより石井隆監督の作品をいくつか拝見し、石井監督の映像の中に入りたいっていう思いも強かったので、ぜひよろしくお願いします、という流れですね。
──監督の作品は何をご覧になられたんですか?
間宮 『ヌードの夜』(93年)と『GONIN』(95年)とかを拝見しました。特に繰り返し観たのが『人が人を愛することのどうしようもなさ』(07年)で、今でも何回も観るくらい好きなんです。DVDをニ枚買って、一枚は自分で見る用で、もう一枚は人に薦める用にして(笑)。あの作品で「私はこの映像に入りたいんだ!」って強く思いましたね。
──監督が間宮さんを選んだポイントは?
間宮 うーん、たぶんアレかな? 実際に撮影前にお会いしたときに、ワンシーンでいいからホン読みをしてくれと言われて、一番最初に奈緒子が連れ去られるシーンをやったんです。そこで恐らく監督的には、座って台詞だけやられると思ってたんでしょうけど、私がそこで急に立上がり、狭い部屋の中を走り回ったんで、何だコイツは……みたいな(笑)。おそらく監督はそれを見て「この娘なら大丈夫だ」って思ってくれたんじゃないかと。
──なんでまた、そんなところで暴れようと思ったんですか!?
間宮 台本を読み込んでいたんで、このシーンだ!と思ったとき、体が反応したんだと思います。私自身、座ってやるのがとてもやりづらいし、動いてやったほうがちゃんとやれるほうなんで。でも近所迷惑っていうくらいにギャーってやって暴れたんで、それを見て監督がちょっと引いてたっていう話も聞きました(笑)。
──石井監督の最初の印象は?
間宮 出演された俳優さんなんかのインタビューを見ていて、とても怖い人なんだろうなという印象がありましたね。でも本人は淡々とした静かな方で、ぜんぜん印象と違いました。でも静かながらに迫力は感じましたね。
──大石圭さんの原作を、最初に読まれたときの感想は?
間宮 「なにこれ、どういう事!?」でしょうか。これを映画化するとどういう事になるの? って。想像がつかなくて不安というか、腰が引けちゃうくらいに緊張して、大丈夫? 本当に私でいいのかって思いましたね。
──あの壇蜜さんとのW主演ですが、彼女の印象はいかがでしたか?
間宮 静かで知識の豊富なお姉さんだな、って印象でしたね。あとやっぱり、人を惹きつけるようなオーラを持ってる方です。
──今回演じる役は壇蜜さん演がじる主人公・奈緒子の女子高生時代ですが、壇蜜さんの若いころということで、心掛けたことはありました?
間宮 喋り方というか仕草とかは、壇蜜さんのイメージDVDを見たり、あと撮影中でもいろいろな人に聞いてみたりして、似せるように勉強してました。
──ご本人からリクエストがあったり、逆に間宮さんの方からこうした方がいいですか? みたいな提案とかはありました?
間宮 いや、全然なかったですし、現場もあまり一緒になるシーンがなくて、最後にオールアップして初めてしっかり喋ったくらいの感じなんです。しかも、お互い過去と未来の自分なんで、何を喋ったらいいんだろうって。なんか壇蜜さんも同じような気持ちだったようで、最後に二人して「ごめんなさい」っていう(笑)。