黎明期からテレビを支えていた影のキーワード“オッパイ”。PTA(主に保護者)からのクレームやBPO(放送倫理・番組向上機構)からの通達・警告により、現在地上波テレビでオッパイを拝むことはほぼなくなったといっていい状態だ。しかし、それに反してエロの無法地帯となっているのがネットの世界。ここにはモラルもプライバシーもなく、違法な動画がこの原稿を書いている間にもドンドンとアップされ続けている。
そんなテレビとネットの中間地点…というのは強引だが、今年BSスカパー!で不定期ながら1本のエロ番組が始まった。『徳井義実のチャックおろさせて~や』。内容も「はじめてのアナル指入れ」や「絶対にイカない女VS絶対イカせる電マ」など、昔の伝説のテレビ番組と比べて遜色ない(それ以上?)なハードな内容に、「テレビが輝いてた時代が帰ってきた!」とテレビ関係者やアダルト関係者が大興奮しているという。
「その中でも一番興奮していたのは、多くの若手芸人ですよ。『僕の得意ジャンルです!』と自分たちも同じような企画ができないか、揃いも揃って事務所に相談しに行ったみたいですから。まぁ、腕のない芸人が話術を磨く場としては、エロ番組は最適ですからね。オッパイさえ出ていたら見ている人は満足させられるし、自分の腕のなさは誤魔化せるので…。作家としては、そんな芸人の姿を見てちょっと呆れちゃいましたけどね。そういう意味でも、司会にすでに地位を確立しているチュートリアルの徳井さんをキャスティングできたことが凄いと思います。ここまで万全を期して制作されたのですから、これが話題にならなかったらエロ番組に未来はなかったですよ。首の皮一枚つなげてくれた。いや~本当に良かった」(某放送作家)
ラジオでも南海キャンディーズの山里が「徳井さんがやっているのが凄い!」と敬意を示している。ただ、いま売れている芸人の多くは“キャリアを積んでから売れた”ということもあって、若い時代にエロ番組に出演していることがあったりする。そんな意外と知られていない、エロ番組履歴を少し探ってみた。
まずは大御所、明石家さんま。テレビでプライベートや恋愛話をする姿をよく見かけるが、オッパイと並んでいる姿はイメージしにくい。
「まだ東京に出て間もない頃に始めたのが『さんまのサタデーナイトショー』です。ロマンポルノの紹介とか、ポルノ女優との対談などをやっていました。テレビ東京の土曜の深夜にやっていたので、後にギルガメ(『ギルガメッシュないと』)に繋がる時間帯ですかね。人気は凄くあって、逆にテレビ東京で一番の高視聴率番組になったせいで、看板番組がエロじゃまずいと打ち切りになったくらいです。その時の遺恨で、さんまさんは今もテレビ東京にもあまり出ないんですよ」(同放送作家)
次に、釈由美子が売れていない時代にエロい催眠術を掛けられた事で有名な『A女E女』(フジテレビ系)。この番組にも今や朝の司会者としてすっかり定着したビビる大木が出演していた。ただ、その頃は完全に見ているだけといった印象しか残すことができず、本人的にも消したい過去らしいが…。
あと関西系の芸人には、神戸にあるサンテレビが制作している金曜日深夜のアダルトバラエティー枠というものがある。
1983年から最近まで続いており、一時は吉本も制作に携わっていたことから、今では全国ネットに出てくる芸人も多く出演している。例えば『おとなの絵本』でレギュラーだった村上ショージや、『のりノリ天国』で司会をした西川のりおといったベテラン勢をはじめとして、ケンドーコバヤシや河本準一(次長課長)、ユウキロック(ハリガネロック)、レイザーラモンなどといった面々が若手時代に、ここで話芸を磨いたのだ。
「ケンコバさんは三宮の有名なクリスタルマジックで働くヘルス嬢と一緒に、街のカップルに性生活を聞いて回ったり、エロいゲームをするというロケを担当していました。このときの経験が、いまの芸風にも役立っているんじゃないでしょうか。あと、河本さんはとにかくAV女優とじゃれ合うだけ(笑)。ティッシュ一枚で股間を隠す女の子に水鉄砲で水をかけるという仕事をしてましたね。あの独特の笑い声が邪魔と、多くの学生からクレームが来たって噂です」(同放送作家)
ちなみに最後に調べた私もわからない、謎のエロ動画を見つけてしまった。それは説教漫才でプチブレイク中のX-GUNが、若かりし頃に出演したと思われるのだが、全裸のブスをとにかく西尾が罵倒し続けるといった内容のバラエティ。地上波ではないのかもしれないため、番組名すら分からないがよかったら検索してみて欲しい。エロというよりグロなんだけど…。
そんな感じでさまざまな規制の中、頑張っている芸人達も、昔はエロ番組でイキイキしていた。みんなで笑えるエロ番組の復活、テレビ関係者の皆さま、是非お願いします!
(文=浅野 悠)