性的な行為の代価「プロよりも素人のほうが高かった」のは60年前から

※イメージ画像 photo by anahitox from flickr

 出会い系サイトなどを使った、いわゆる素人売春がからんだ事件はしばしばニュースなどで報じられる。その手の報道で、「女子大生に5万円を渡してホテルでみだらな行為を…」などという表現を目にして、「うわっ、高い」などと感じた向きもあるのではなかろうか。

 性的な行為の代価として、「高いか、安いか」を判断するのは難しい。ただ、ひとつの指標として職業的価格との比較というものがある。つまり、プロの値段との比較である。現在、風俗などで「最後まで」楽しむとしたら、1万円少々あれば事足りる時代である。ホテル代等の諸経費を入れても、2万円もかからない。また、5万円も出せば、風俗の最高峰であるソープランドの高級店を利用できる。これらを参考に考えると、「素人」に3万円とか5万円とかを支払うのは高いという見方が生じる可能性も否定できなかろう。

 ところで、ある調査結果がある。警視庁風紀係だった小野常徳氏の著書『アングラ昭和史』に紹介されているもので、昭和29年頃における私娼や街娼に関するもの。いわゆる非公然、モグリの女性たちについての調査である。

 これをみると、「素人」女性の料金が高いことに驚く。当時、赤線でのプレイ料金が、300円から高くても1000円。当時、大卒初任給が8000円程度だったから、大雑把に20倍してみると、現在の価値で6000円から2万円程度だろうか。

 これに対して、非合法のプロである街娼や私娼は2000円が相場だったという。しかも、日頃はOLや主婦で週末になると出没するアマチュア女性になると、3000円から5000円で、さらに食事代などの諸経費が加算されるというから驚きだ。だが、現在の価値で6万円から10万円というと、ニュースなどで目にする金額とほぼ同じだ。

 概して職業というものは、高度なスキルとテクニックを持っている者ほど労働単価が高いはずだと思われるのだが、このジャンルに関しては、ベテランの技術よりもアマチュアのシチュエーションがより高い付加価値を持つということなのだろうか。
(文=橋本玉泉)

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