6月に行われた「AKB48選抜総選挙」で3位に輝いた人気メンバー・渡辺麻友(19)が、4枚目のソロシングル「ラッパ練習中」を10日に発売した。渡辺は各音楽番組に出演し、新曲の発売をアピールしていたが、意外にも売上が思ったほど伸びておらず、一部で「大爆死」と呼ばれる事態になっている。複数買いを促すかのような特典商法が“ドーピング”と揶揄され、驚異的なスタートダッシュをみせるかと思われていた同シングルだが、なぜ苦戦になってしまったのか。
オリコンによると、同シングルの初日推定売上は11,693枚。同日発売されたEXILE TRIBE (三代目 J Soul Brothers VS GENERATIONS)の「BURNING UP」が55,435枚、人気アニメの主題歌が収録されたLinked Horizonの「自由への進撃」が26,681枚となっており、それに次ぐ3位という結果になっている。
CD不況といわれる昨今、初日で一万枚を超えれば御の字のようにも思えるが、昨年11月に発売した3rdシングル「ヒカルものたち」は初日から4万枚を突破し、初週だけで10万枚近くを売り上げていた。他のメンバーと比べても、今年4月に発売された高橋みなみ(22)のソロデビューシングル「Jane Doe」は初日4.6万枚、2月に発売された柏木由紀(21)の「ショートケーキ」も初日に4万枚以上を売り上げている。
もちろん、週末にかけて販売数が伸びることも予測されるが、人気メンバーのソロ曲としては相当苦戦しているという見方は正しそうだ。
渡辺の今回の新曲は「通常盤」「期間生産限定盤」「完全生産限定盤」「初回生産限定盤A」「初回生産限定盤B」と、ジャケットやカップリング曲の異なる全5形態をリリース。さらに、CDについた応募券によって「ソロライブ招待」「サイン会」「写真撮影会」「缶バッジお渡し会」「“ウェイトレスまゆゆ”に告白会」「囚われた“魔法少女まゆゆ”を謎解きで救い出せ!!」「まゆゆをひとりじめ!激レアシークレット企画」「ドッキドキお楽しみ会“神席”ご招待」「サイングッズ」などが当たるという仕組みになっている。
当然、応募券が多ければ多いほど当選確率が上がるため、ファンの間では複数購入が当たり前となり、数百枚単位で予約したファンも現れた。ネット上で「エグすぎる」「ドーピングにも程がある」と批判の声が上がるほどのなりふり構わぬ戦略だったが、このまま不発に終わってしまいそうな気配だ。
「前田敦子の卒業後、AKB随一の美少女としてセンター候補となった渡辺ですが、本人のキャラの弱さや事務所の力関係で今一つブレイクしきれませんでした。センターを意識してトレードマークだったツインテールを封印するなどしましたが、力が入り過ぎてしまった感がある。そうこうしているうちに、同じ美少女キャラとして“ぱるる”こと島崎遥香やAKB屈指の美形といわれる入山杏奈ら新世代が台頭。新鮮味がない渡辺から新世代メンバーに“推し変”するファンが急増した。選抜総選挙でも、格下のはずだった指原莉乃に1位をさらわれるという結果になってしまった。このままでは巻き返しは厳しく、徐々にファン離れが進んでいくジリ貧状態に陥っている」(アイドルライター)
AKB自体の人気が下り坂になっているともいわれるが、渡辺は別格の人気を誇っていると思われていただけに衝撃的だ。お得意の特典商法すら通じなくなったとすれば、かなりの危機的状況といえるだろう。まだ10代ということもあり、今後の巻き返しに期待したいが…。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)