浜崎あゆみ、倖田來未らが所属するエイベックスグループが、創業以来の最高益を叩き出したことが話題になっている。このCD不況の時代、音楽事業中心のエイベックスは苦境に立たされていると思われていたが、意外にも稼ぎまくっていたということになる。そのウラには、どのような儲けのカラクリがあったのか。
エイベックスは13年3月期連結決算で売上1387億6,400万円、経常利益131億1,100万円を達成。売上は前期比14.7%増、経常利益は前期比24.5%増となった。これまで経常利益の過去最高は、エイベックスアーティスト全盛期である01年の124億円だったが、それを12年ぶりに更新したことになる。今期は純利益も驚異的な伸びを見せており、前期から約48%増となる73億2,200万円を記録。4年前の09年3月期連結決算では、約9億円の赤字を出すまで落ち込んでいたエイベックスだが、見事に復活を果たしたようだ。
「儲けの中で最も大きいのは、NTTドコモとの合弁会社で運営しているケータイ向け映像配信サービス『BeeTV』の成長。当初は『ケータイで番組を放送したところで誰が見るんだ』と揶揄されましたが、開始から4年で会員数は約538万人にまで増加。近年はスマホが急速に普及し、ケータイで視聴できるコンテンツの需要が高まっている。『BeeTV』がサポートしているドコモ提供の定額制動画配信サービス『dビデオ』でのコンテンツ販売と合わせて、映像事業はエイベックス全体の経常利益の約半分となる63億円を稼ぎ出す柱になっています」(週刊誌記者)
本業といえる音楽事業は、昨年84億円あった利益が52億円にまで減少。それを補って余りある映像事業が、過去最高益達成の原動力になったようだ。
「音楽事業は落ち込んでいますが、ライブ収入やグッズ関連のマネジメント事業は前期から利益が倍増するほど好調。実際、CDが売れなくなってもライブ動員はそれほど下がっていません。現在のエイベックスは儲からないこと承知で音楽事業でコンテンツとなる人材を育て、それを映像やライブ、グッズなどの事業でカネにするというビジネススタイル。音楽屋がCDだけ売っていればいい時代は、とっくに終わったということです」(前同)
CD不況の影響もあり、かつて栄華を誇った浜崎や倖田などのエイベックスアーティストの凋落が顕著になっている。だが、エイベックスは先を見越した戦略でしっかりと儲けを維持していたようだ。一部では“オワコン”とまでいわれていたエイベックスだが、新時代のビジネススタイルを確立したことで再評価されることになりそうだ。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)