ハァハァバスタオルセット』講談社
職業は「エッチなお姉さん」を自称する壇蜜が、5月26日放送の『情熱大陸』(TBS系)に出演した。毎回、さまざま分野で活躍する人にカメラを向け、取り上げていくドキュメンタリーの同番組。現在大ブレイク中だが、同時に謎めいた雰囲気をまとう壇蜜への密着取材だけに、意外な姿や興味深い発言を垣間見ることができた。
これまで幾度となく飾ってきたグラビアの撮影風景から始まった取材映像。しかし、冒頭から壇蜜は「“本音の”とか、“本当の”とか、“裸の”とか、そういうの一番困ります」「そこにある以外に、裏側をどんなにめくったって出てこない」と発言。雑誌の取材と思われる会話の中では「今の自分の人気については?」という質問に、「社会が病気なんじゃない…?」と苦笑いしながら答え、「これから女優になったり?」という質問には、「私はグラビアしかできないので」「官能的な格好をして殿方を楽しませる、それしかできない」とグラビアへのこだわりを見せた。
昨年、初の主演映画『私の奴隷になりなさい』が公開され、9月には次回主演作『甘い鞭』が公開予定。現在は連続ドラマ『お天気お姉さん』(テレビ朝日系)に出演中で、先日はラジオで初の冠番組『壇蜜の耳蜜』(文化放送)のパーソナリティも務めた壇蜜の多忙ぶりも改めて明らかに。ほぼ毎日撮影が入っているといい、月に200件は仕事の依頼が来るというマネージャーの電話には2、3分おきに連絡が入っていた。
日々流れる仕事を惰性で続けているのかと思えば、そうではない。ある雑誌の撮影の際には「幸せな感じで」という要求に対し「幸せってなに?」「嫌です、それは」と納得の行かない様子を見せて具体的なイメージを求めた。また、ラジオ番組の収録でも事前の打ち合わせの内容が反映されていないこともあって「ちょっとこれ、キツいですね」と苦言を呈し、結果的に構成は変わることに。しかしながら、グラビアでは撮影が始まれば壇蜜なりの幸せを演じ、ラジオでは冒頭からアドリブを飛ばしたように、いざ現場が動けば「自我の電源を切る」と表現するプロフェッショナルぶりを見せたのだ。
「いつでも世間が求める壇蜜でいたいというか、壇蜜を出しておけば大丈夫という業界にも警鐘を鳴らしているのかもしれませんね。それも、自分に何が求められているのか、彼女が一番理解しているからです。あっさりと受け流してしまいがちな『幸せな感じ』という表現に疑問を投げかけたり、企画自体にダメ出しをしたりといった姿からは、本人は『グラビアしかできない』と言っているものの、プロデューサー的な素養も感じました。いわゆる業界ノリに染まって他人の意見に簡単に同調しないところは、業界人からすれば新鮮でしょうね。経験の長い人ほど現場を円滑に進める意味でフワッとした物言いになってしまいがちですが、そんな部分を見透かされるようでふと我に返るのかもしれません。その辺も業界人気の高さにつながっている気がします」(芸能ライター)
また、小学校3年生から4年間、クラスの中で孤立していたことも伝えられた。物を隠されたり、服を踏みつけられたりといった、いじめに近い行為を受けていたようだ。ときには質問に長考したり、言葉を選びながらポツリポツリと話す姿は感情で動かないオトナの女という感じを醸し出していたが、これにはそういった過去も起因しているのかもしれない。
「どんな現場にも手みやげを欠かさないといった細やかな気遣いを見せるものの、無駄にニコニコしないし、いつも物憂げな雰囲気を漂わせてました。密着映像を見る限り、グラビア撮影の現場からインタビューまでずっと世間がイメージする『壇蜜』でしたね。壇蜜を演じているといえばそうなんでしょうが、彼女にとってはそれが裏も表もない自分なんでしょうね。その姿は達観した感すらあります」(同)
番組の後半は「50ccのバイクに乗ってみたい」という壇蜜の希望で1泊2日の北海道旅行に同行。希望通り、バイクで風を切って走る姿や、ずっと興味があったという“ひよこの仕分け”を無邪気に楽しむ様子も映し出された。
取材の途中でポツリと「なんか、つまらん人生ですわ」とつぶやいた壇蜜。それでも「他人のために生きてもいいって思えた」から、今の仕事を続けているという。意味深な言葉を発しながらも見る者を魅了する壇蜜、そのベールはまだまだ脱ぐ余地がありそうだ。
(文=津本ひろとし)