劇場生写真2011.January 森杏奈』
秋葉原Theater
5月1日に渋谷で行われたイベント『Live iDolspot vol.1』に、かつてAKB48に所属していた石黒貴己、植木あさ香、森杏奈、絹本桃子が「S(ハートマーク)A(エスエー)」というユニットで、サポーターとして特別出演した。このイベントには数組の次世代アイドルが集まったが、元AKBメンバーである彼女たちは「ステージチャンス枠」で“一夜限りかもしれない”ユニットを結成。ライブは非常に盛況だった。
だが、予定されていた有料握手会が、急遽ハイタッチ会に差し替えられるというハプニングもあった。その理由は、「森杏奈が接触恐怖症だから」というものだったから驚きである。森本人がTwitterでも明かしているが、彼女は「いつからか、人と会うのが怖くなっており、家族や友人であっても、人に触れると思うと異常に手汗をかいてしまうことに悩んでいる」のだという。そのため、少しでも彼女の負担を軽くするために、握手会ではなく、接触時間が短くて済むハイタッチ会に変更されたとのことだった。
森は有名メンバーになる前に脱退してしまったものの、AKBでは“ゴールデンエイジ”と呼ばれた華の9期生。現在エース格の扱いを受け、シングルCDでセンターポジションも担当する“ぱるる”こと島崎遥香とは特に仲が良く、『PURO(ピューロ)』という非公式ユニットまで作っていた。後にチーム4を結成する9期生の中でも中心人物のひとりだった。大人びた容姿を持ち、透明感のある美少女としてファン人気も高かったが、プライベートの友人らの書き込みや本人らしき人物のブログなどが発掘されたことで恋人の存在がウワサされるようになり、公式には「持病の腰痛の回復が思わしくないため」との理由で活動を辞退していた。
今回のツイートでは「いつからか」と接触恐怖症になった時期に関してはぼかしていたが、それまでAKB名物の握手会などでは、「塩対応(冷たい対応)」と言われながらも普通に握手をしていただけに、これはAKB在籍時、もしくは脱退直後の精神的抑圧やダメージが影響していると思われる。
「一日に何百、何千といった数のファンとの握手をこなすのは体力的にも精神的にも非常に疲れるものです。常に笑顔でファンの言葉に反応して会話もしなければならないし、時には傷つく言葉を投げられたりもする。体も頭も使った過酷な肉体労働と言っても過言ではないですよね。一度、舞台裏に取材で入らせてもらったことがありますが、しんどそうなコも結構いましたよ。のみならず、AKBをはじめとする48グループはどれも大所帯で、目立つポジションに行けるのはごくわずか。せっかく憧れの芸能界に入れたのに、うまくいかない…と病んでしまったり、目立ったら目立ったで他のメンバーのファンからバッシングを受けたり、思いのほか心が傷つく場面は多いのでは」(スポーツ紙記者)
森以外にも、例えば“スーパー研究生”と呼ばれた光宗薫も、「体調不良」で脱退する直前には拒食症を疑われるほど痩せ、発言などから精神的に追いつめられていることもうかがえた。篠田麻里子や島崎遥香のように、一見図太く見られがちなメンバーでさえ、円形脱毛症になったことがある。SKE48のエース・松井珠理奈は、昨年3月のAKBとの兼任発表後に体調不良で長期休養をし、結局AKBとしての劇場公演にはほとんど出演しなかった。すでに卒業したNMB48の城恵理子も、いわゆる「推され」メンバーだったものの、ネットメディアに運営からの重圧に苦しんでいるかのような鬱投稿をしていた。
“タレントの体調管理”はタレント自身とマネジャーにとって最重要事項のひとつであることは間違いないが、一方で周囲のサポートによるメンタルケアも必要であると、ファンの間でも指摘されてきた。運営サイドもそのことは配慮しており、数名のカウンセラーを配置してカウンセリングなどを行っているが、全員に目が届かないのが現状だという。
「AKBの場合、数年前なら高橋みなみや篠田麻里子といった先輩たちが後輩の異変に気付き、峯岸みなみや指原莉乃、大家志津香などコミュニケーション能力の高いメンバーが直接声をかけるなどして、若手の精神的ストレスの解消に大きな役割を果たしていました。しかし、9期以降のメンバーはなかなか正規チームに入ることができず、先輩メンバーと接する機会も少なく、総監督に就任して責任の重くなった高橋も一人一人に目を行き届かせることは難しくなっています。AKBは同期の絆が強い傾向にありますが、その中で一人だけが運営から推されることになれば、精神的な負担は増大しますよね」(芸能関係者)
ともあれ、今年に入って光宗薫は画家として個展を予定していると明かし、同時にモデルとしての活動も再開した。森や石黒らもこうして復活の狼煙を上げて、一度挫折した夢を再び追いかけ始めている。AKB時代に学んだ経験を糧に、今後の芸能活動ではどうか図太く生き残ってほしいものである。
(文=潜水亭沈没)