若者を指してというか、もう世間全体の○○離れが止まらない。車、旅行、テレビ、恋愛…適当に○○を埋めればワイドショーのネタなんて簡単に作れてしまうし、しかもそれが大体は当たってしまう。放送作家にとって楽な時代が来たものだ(笑)。そんな中、本当にヤバイと頭を抱えているのが、風俗ライターと呼ばれる人たちだ。
「風俗店に人が入っていないわけではないんですよ。僕らが危機を感じているのは、店ではなく“アイデアの枯渇”です。風俗って次から次へと新しい業態が生まれて流行っては淘汰されていく、そういった文化なんです。仕事柄贔屓目で見てしまいますが、風俗とはいえ優秀な経営者は、立派なイベンターであり、クリエイターだと思います」(風俗ライター)
彼らの仕事は、隠れた名店を誰よりも早く察知しアナウンスすること。ただ、それはグルメライターとは違い、ただ美味しいだけではなく、目新しさや時には不味い(失敗)料理(女性の質やコンセプト)を面白く報告することも要求される。
「全国どこに行っても、可愛い女のコとプレイを楽しむことが出来ますよ。しかも、ここ数年のデフレによって安く楽しめるのだから、普通に考えたら男にとって最高の時代でしょうね。アベノミクスで景気が回復しても、大半の店は経済活動の端っこの人間を対象に商売をしていますから、料金を簡単にあげることは出来ないでしょう。ただ、こっちはそれじゃ仕事にならないんですよ。みんな同じ可愛い顔、みんな同じそつがないプレイ、そして締めが『気持ちよかったです』じゃ、仕事の充実度がまったくない。変な女が出てきた方が、記事が書けるとガッツポーズしちゃったりしている状況ですから…」(同)
そんな弱腰の彼に、西の方から一筋の光が差す情報が舞い込んできた。
「それは2年前に大阪で多くの風俗マニアが狂喜した混浴エステを復活させようと、ある男が動いているという情報です」(同)
一般的には聞きなれない“混浴エステ”という言葉。その内容を詳しく説明すると、基本的には女性はヌードになってくれるが、サービス自体は手コキといった、M性感に分類されるようなソフトプレイの業態だ。しかし、大きく違うのは普通1人やもしくは女性と2人で入るシャワールームが大浴場になっていて、他の客をサービスする女のコの裸を拝めちゃうというアイデア。風俗の客同士というのは、どこか後ろめたさを感じるため、対面したくない気持ちが働くようなイメージがあるのだが、そこは大阪という土地柄か前向きな解釈が出来るようで、男風呂に女のコが迷い込んでいる錯覚に陥るらしい。しかも、サービスがソフトな為に女のコのルックスはピカイチ(大手の風俗チェーンが経営していたこともあり最上級クラスのコが集められていた)。人気もあり、常に大浴場には4~5人の女のコが裸で歩いているというのだから、まさに神風が吹いている風俗店と言っても過言ではないだろう。
しかし、出る杭は打たれるのが世の常。特に風俗とは、その典型というような世界であり(案の上)警察に目を付けられてしまった。
その容疑は、大阪市長に大浴場の設置許可を出していなかった…。
同店は、1986年からファッションヘルスとして認可を受けて商売をしており、業態を変えるときに、『大浴場を設置するのに市長の許可が必要』という認識がなかっただけなのである。ってか、市長の仕事ってこんなこともやるんですね…。すなわち、混浴エステというもの自体が罪には問われていないわけなので、もちろん当時の客に対してもお咎めなし。同店はすぐに、同じ名前で復活した。
しかし経営者は、その他にも府内に数店舗の店を持っていることから、警察と無駄な意地の張り合いは無意味と、今では混浴サービスを伏せ、HPには『個室』という言葉を必要以上にアピールしている状況だ。
そこで、私は何も知らない客のフリをして、「混浴が出来るって聞いたのですけど、どういったプレイ内容なのですか?」と同店に電話をしてみることにした。その結果は…。
「現在もこれからも、大浴場を使う予定はありません。しかし、洗体エリアは繋がっているので運が良ければ…」
という、なんだかスッキリしない回答を得ることしか出来なかった。では、復活といった情報はどういった経緯で伝わってきたのだろうか?
「経営を始めようとしている人は、元々2年前にここに通った熱心なお客さんだったらしいです。ここからは想像でしかありませんが、あの時の興奮が忘れられなくて、誰もやらないなら私財を投げ打って自分がやろうと思ったのではないでしょうか。風俗ライターとしては素晴らしい人だと思いますし、前は行こうと思っていた矢先に摘発されてしまったので、今回は何が何でも体験してみたいですね」
風俗ライターでなくても、一度は体験してみたい魅力的なサービス。もし、大阪で混浴エステが復活したら、一気に全国に流行する…そのときが、本当の景気回復かも知れない。
(文=浅野 悠)