AKB渡辺麻友に「高須砲」!? 場外乱闘に色褪せる総選挙

takasuakb0401.jpg※画像:2012年AKB総選挙/撮影=後藤秀二

 6月8日に日産スタジアムで行われるイベント『AKB48スーパーフェスティバル. ~ 日産スタジアム、小(ち)っちぇっ! 小(ち)っちゃくないし!! ~』内で開票されるAKB48の第5回選抜総選挙に、早くも暗雲が立ちこめている。

 今回の総選挙では、4年以上在籍したOGにも参加資格がある立候補制が導入されたが、OGを含む多くのメンバーが立候補するなか、現在(4月1日現在)のところ、昨年の第1位で今回も本命の大島優子が立候補を表明していないのである。このことに危機感を持ったのが、高須幹弥氏だ。

 高須幹弥氏といえば、金満家で知られる高須クリニック院長、高須克弥氏の3男であり、同クリニック名古屋院院長を務める美容外科医。以前からAKBファンを表明し、自身のブログでメンバーに言及をしている人物である。

 3月29日のブログでは、世代交代を促すには渡辺麻友が大島に選挙で勝たねばならないとして、大島に選挙出馬を呼びかけている。のみならず、中間発表において大島が1位、渡辺が2位の場合は「高須砲をぶちこんで」でも渡辺を勝たせると宣言した(※すでに該当記事は削除済)。このブログに反応したのが、48グループのヲタとして以前から活発に活動している漫画家の小林よしのり氏である。高須氏の発言を「どうせ自分が金で渡辺麻友を1位にするから大島優子を立候補させろと息巻いている」と解釈し、「熱心なファンの思いを削ぐようなことを金持ちがやってはダメだ」と意見している。

 総選挙の複数投票制については、以前から多くの批判がある。この小林氏の発言はそうした批判をまとめた形で、それなりの説得力は感じられるのだが、その小林氏も複数買いは宣言しており、「自分は身内に配れる数という制限をつけているから」と言い訳しながら他人を攻撃する姿勢には、違和感を覚える人も多いだろう。

 今回、高須氏が使った『○○砲』という言葉も、元々は『事務所砲』など、大量買い・大量投票を示す言葉だ。少なくとも第3回総選挙以降は、たとえ大島優子が「票数は愛です」と美しい言葉で感謝を示そうとも、金で順位を決めるものという風潮はファン、そして一般層にまで根付いてしまっている。

 ただ、今回、有名な資産家である高須氏が、選挙前からまるでプロデューサーかのように「自分のシナリオを金の力で実現させる」という内容の発言をしたことで、これまで大量投票を見て見ぬふりをしていたファンの興味が削がれたことは確かである。

 さらに、今回は立候補制を導入したため、メンバーからも様々な意見が吹き出しつつある。

 去年、63位にランクインしてファンの間に感動を巻き起こしたSKEメンバーの中西優香は、グループきっての人格者として知られるが、今回の選挙にあたり、ファンの負担を考えて出馬宣言を迷っているという発言をしている。特に、地方グループの場合、自分たちのグループのCDには投票権が入っていないため、欲しくもないAKB48のCDを購入する必要があるのだ。

 また、昨年がラストという発言をしている秋元才加も、やはり今回はまだ参加表明をしておらず、今回の選挙の目玉になるかと思われた卒業生メンバーも、野呂佳代と浦野一美、佐藤由加理の三名が出馬すると報じられているのみ。前田敦子や増田有華らは早々に不出馬を表明している。

 小林氏はブログで、購入枚数に上限を設けるべきだという持論を展開しているが、運営は逆に低価格(※通常盤はDVD特典つきで1,600円、劇場盤はDVDなしで1,000円)の劇場盤CDを無制限に販売することで、ダブルミリオンを狙っているといわれる。これまでは、劇場盤には個別握手券が封入されており、握手券はそちらでGETして投票用に通常盤を購入するファンが多かったが、握手券の「枠」には限りがあるため、劇場盤は事前予約が必須のいわゆる限定商品だった。しかし今回、劇場盤に「握手券なし、投票用紙あり」のバージョンも登場したため、通常盤よりも安いこちらのCDを大量購入するファンが続出しそうだ、というわけだ。

 そもそも、カップリング曲やDVDのありなし、ジャケットの違い、封入特典の違いなどでいくつものバージョンが存在していること自体、熱心なファン以外にはわけがわからない。これではAKBが「集金マシン」と言われ続け、努力に見合わない評価を受けるメンバーが出てきてしまうだろう。今回の総選挙がどのような結果に終わるかという興味より、この選挙システムが48グループのメンバーやブランドイメージにどれほどの傷をつけるかを憂慮しているファンも少なくなさそうだ。
(文=潜水亭沈没)

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