フーゾクだけに非ず!? 出会い系でも「ノー」と言えない日本人

※イメージ画像:『上手に「NO」と言える人言えない人』
著:多湖輝/新講社

「日本人ははっきり意思表示しない」

 外国人に言われるたびに、確かにその通りというか、返す言葉がないとはまさにこのことと痛感する。たとえば風俗店にて。地雷嬢にあたった際、はっきり「チェンジ!」と言えない日本人が多いことは、前にご紹介させていただいた(※)。それと同様に、出会い系サイトやSNSを介しての出会いでも、はっきり「ノー」と言えない日本人は少なくないという。
(※https://www.menscyzo.com/2011/10/post_3154.html

 そもそも、出会い系サイトやSNSにて、プロフィールを平然と偽る人は非常に多い。実名登録が大前提のフェイスブックですら、「実は偽名を使って登録している」という人はごまんと存在する。フェイスブック以外の出会い系サイトやSNSは、実名を晒す義務が課せられているわけではないので、一字一句違えず本名を名乗る必要はないが、年齢・職業・居住地なども架空の設定にしている利用者がほとんどだ。

 そういえば少し前にも、41歳無職男性が、19歳イケメンとしてブログを開設し、複数名の少女を騙してわいせつ行為に及ぶ事件が発覚したばかり。「待ち合わせに現れたのが中年のオッサンなら、その時点で少女たちは帰るのでは?」と思ってしまうが、「遅れるので友人とホテルで待っていて」「その男は元ヤクザだからいうことを聞いたほうがいい」など次々に送られてくるメールに惑わされ、性行為に至った。いやはや、恐るべき手口である。

 上記のような事件は特異なケースとしても、理解に苦しむのは、「何故、会えば一瞬でバレてしまうような嘘をつくのか?」という点。出会い系サイトやSNS利用者に話を聞いてみると、「待ち合わせまでに漕ぎ着ければ、あとはその場の勢いでなんとかなる」というスタンスの人がほとんどだった。「中年太りしたサエないオッサンです」などと、ばか正直に本当のプロフィールを提示していては、いつまでたっても出会えない。そのため、ある程度の脚色をするとのこと。

 なお、プロフィールを脚色するのは男性だけではない。女性たちもプロフィールを脚色している。例えば、出会い系サイトで知り合った、「自称・ナンバーワン・キャバクラ嬢」と待ち合わせたところ、現れたのはなんと90キロオーバーの巨漢女性だった(30代男性談)。確かに、最近はぽっちゃり系専門のキャバクラも存在するが…。いやはや、1本とられたとしか言いようがない。気になるのは、その後の対応だが、相手女性があまりにもノリノリだったため、断わるに断れず、結局ラブホでセックスに至った。はっきり「ノー」と言えない、典型的なケースだ。

 「ノーと言えないのではなく、事前にセックスの約束をしているのだから、礼儀としてセックスする」と語る男性も。「礼儀」という言葉が出てくるあたり、実に日本人らしい。例えば、事前申告では30代と聞いていても、いざ出会ってみると明らかに40代ということはしょっちゅうなのだという。しかし、取り調べではないのだから、問い詰めることはしない。むしろ、「自分は40代女性でもOKなのだから、最初から言ってくれればよかったのに」と、ポジティブに捉えるとのこと。

 また、「プロフィール脚色女性のほうが、その負い目からかセックスを頑張ってくれる!」という声も挙がった。ご対面の瞬間は絶望的な気持ちに陥るとのことだが、ホテルに入ってみると、懇切丁寧なフェラチオに、さらにアナルファックOKなど、嬉しいオプションが用意されていたりするという。考えてもみたら、プロフィールを脚色する女性たちは、自分の容姿や年齢に自信がないのだろう。だからこそ、そのぶんを補うべく、サービス精神旺盛になるのかもしれない。

 ネット上での出会いは、手軽なぶん、非常にギャンブル性が強い。それを承知のうえで、どのようなお相手に出会ってしまっても、ポジティブな心でセックスに臨める人だけが、楽しく活用できるのだろう。そうでない人は、ネット上のプロフィールは鵜呑みにしないほうが無難である。
(文=菊池 美佳子)

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