メンズサイゾー事件簿

「女に復讐してやる!」と決意した男女の所業

※イメージ画像 photo by hang_in_there from flickr

 女性に対する理不尽な怨恨や見当違いの反感などから、さまざまな事件を起こす男たちは珍しくない。逆恨みによる殺傷事件などはもってのほかで、たとえば1997年に都内で54歳の男が44歳の会社員の女性を殺害した逆恨み殺人事件などその最たるものであろう。被害女性をレイプして金品を脅し取ったことを警察に通報されたことを恨み、出所後に女性を襲って殺害した事件である。

 ところが、世の中には具体的な対象もなく、女性一般に対する「復讐心」から、なんとも珍妙な行動をする人たちもいるようである。

 昭和2年(1927)5月13日の夕方6時頃、東京の新宿駅構内にある女性用トイレで、男性が首をつって自殺しようとしていた。そこに巡回中の警察官が発見しこれを阻止し、事情を聞いたところ、都内に住む50歳の男性で、「女性への恨みで死のうとした」と話したという。

※画像:『東京朝日新聞』昭和2年5月14日


 記事によれば、男性は若い頃に女性とセックスした際に「女の毒が目に入ってつぶれ」たという。これはおそらく、女性が淋病にかかっており、その感染時に目に淋菌が入ってしまったものと考えられる。淋菌によって起こる「淋菌性結膜炎」は非常に激しい病気で、半日から2日ほどの潜伏期の後、最初は目ヤニのような分泌物が出る程度だが、すぐにまぶたや結膜が真っ赤にはれ上がり、膿がドロドロと流れ出す。やがて目も開けられないほどになり、処置しなければ角膜を損傷して失明してしまうという。大量に膿が流れるために別名を膿漏眼ともいい、または風のようにやってきて短期間で失明してしまうことから風眼などとも呼ばれる。この男性もおそらく、女性とのセックスによって淋菌性結膜炎になってしまったのだろう。

 以来、男性は「世の中の女を恨み」続けていたらしい。そして、「女への腹いせ」として、女性用トイレで自殺しようと思いついたというのである。

 一方、女性に恨みを抱くのは男だけではない。昭和6年(1931)5月、都内・大森界隈にある銭湯で、脱衣所においてある女性客の衣服が切られ、金品が盗まれる事件が連続して起きた。そのため警察が警戒していたところ、世田谷に住む22歳の女が犯人として逮捕された。

※画像:『東京朝日新聞』昭和6年5月31日

 取り調べによれば、女は前年にカフェー従業員として働いていた際、客だった男性と同棲するようになったものの、男性の妻子に怒鳴り込まれて男性と引き離されてしまった。それ以来、美しい女性を無差別に恨むようになり、銭湯で着物を切り裂いては現金などを抜き取っていた。

 同種の犯行は届け出があっただけでも50件以上にのぼり、女は容疑を認めた。警察の取り調べに、女はさめざめと泣きながら、「どんなに処罰されても、これだけはやめられない」と繰り返したという。

 いずれもとんだ見当違いの理由と行動である。とにかく、性感染症と不倫には、くれぐれも注意するにこしたことはなさそうである。
(文=橋本玉泉)

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