汗・精液・愛液・唾液…セックスにおける“あたたかさ”を液体で表現! Hisasi著『ポルノスイッチ』

女の子は細くて、ぷにゅぷにゅで、ネトネトで、敏感。
女の子のあったかいところ全部詰め込んだ、気持ちいい一冊!

『ポルノスイッチ』著:Hisasi/ワニマガジン社

 冬は寒い。寒いのだ。春はまだ遠いのだ。寒い時ほどぬくもりが欲しくなるもの。そんな時オススメしたいのが、このぬくもり感満載の、Hisasi氏の初単行本『ポルノスイッチ』です。

 セックスにおけるあたたかさの感覚、人肌感覚ってどこからくるかというと、体の肉感と液体です。現実的にそうだ、というのもありますが、それ以上に視覚的な問題として肉感的な女性の姿って温かそうに見えるんですよ。ちょっと肉付きがよくて、触れるとぷにゅりと全身が柔らかそうな方が、温かく見える。

 液体は種類はいろいろあります。汗、精液、愛液、唾液。すべて体温なので、それはそれはぬくい。冷えたら冷たいって、そんなのはいいんです。行為中なんて二人が触れ合って動いているからあったかいんだもの。

 この作品集に収録されているマンガは、基本的にあまりストーリーはありません。コンビニ誌『快楽天BEAST』(ワニマガジン)で掲載されていたということもあって、短く、濃密なセックスを描いた作品が中心です。

 じゃあ物語性は全くないのかというと、そうじゃない。タイトルを見ていただくとわかりますが「ポルノ」の「スイッチ」なんです。セックス描写をみっちり、丹念に描くことで、二人がどのような関係なのか、どんな心情なのかがわかるようになっているのです。

 なぜお互いが性的に興奮するスイッチが入ったのか、相手に対してどういう感情を抱いているのか、その後二人はどうなるのか。ストーリーで描くのではなく、性行為描写によってそれらは雄弁に語られています。

 たとえば短編『秋夜に会うならば……』。中学校まで同級生で、大学で偶然再会した女性、倉橋結理。中学で知っている彼女は垢抜けないおとなしい子だったのに、今は部屋でお酒を飲みながら顔を赤らめている。

 もうね、色っぽいんですよ。やぼったかった彼女(こっちもいいんだけど)が、気づいたらすごく「女」になっている。男性側に「スイッチ」の入る瞬間ですよ。女って意識してしまったら、そりゃあ変な気も起きます、好きかどうかは二の次として。

 サラサラとした黒髪の彼女、反則な体型なんです。スレンダーなのに豊満な胸と腰回り。長くて華奢な手足。いちいち色っぽい仕草……は、酔っているから。酔っているからね。

 酔っている女の子が嫌いな男子なんていません。頬にこぼしたお酒を指で拭き取ると、その指を舐めたりなんてするんだもの、その唾液を愛おしみながら、口を求めます。舌を求めます。唇のやわらかみを口で感じます。

 このキス描写がとてもエロティック。2ページにわたってキスだけ描かれるのですが、二人の唾液がからみあい、女の子の唇を伝うのがこうもフェティッシュで、性的なのかと。その後、彼女がおそるおそるフェラをするシーンも流れるようです。唾液もエロいんですが、なんといっても髪の毛ね。しゃぶり上げる度に長い髪の毛が濡れてしなだれかかる様子は、物理的な動きと、彼女の柔らかさを表現していて、流れるかのよう。

 セックスの段階になって、これが結里の「作戦」だと判明するのですが、もうね、こんな色仕掛けならどんとこいですよ。これで落ちない男はいないでしょう!? 視点は男性側にスイッチが入ってしまった状態を描いているのですが、そりゃスイッチ入るよねっていう流れを巧みに作っています。

 求め合う二人は、どちらが積極的というわけではなく、ふたりとも激しく、自分の心を吐露しながら、お互いにぶつけあいます。心も体も裸ってことです。事後に、キスを求めてしまって「……キス、癖になっちゃった……かも」って、どこまで作戦なんだー? 全部本気か、それとも作戦か!? いやどっちでもいい、うそでもいい!

 後日談として『再び秋夜に会うならば……』が収録されていますが、これはもう最初からふたりともスイッチ入りっぱなし。だってラブホテルに来ちゃってるし。こちらは結理視点での気持ちよさが描かれており、しかも欲求をひたすら激しく何度もぶつけあうので、ヌキどころしかない。

 他にも収録されているのは、ほとんどが学生メインで、スレンダー巨乳の女性ばかり。スレンダー巨乳ほんとずるいわ、華奢さは抱きしめた感覚で柔らかさがエロいし、巨乳は触り心地がふんわりでぷにゅぷにゅでエロいもの。

 『かやね更生作戦』という、ヒキコモリニートになった少女かやねを、クラスメイトの少年が更生しようとしていたところ、お互いスイッチが入っちゃって、むわりと汗のにおいのしそうなネトネトのセックスをしてしまうマンガ。

 このかやねのスタイルが反則的。手や脚の華奢さときたら、抱きしめたら折れそうなほどなんですよ。握りしめたらふにゃりとしそうで、なんて心地よさそうな! それでいて、胸は豊満で弾力性もありぷにゃぷにゃ、腰回りはくびれがあるのに、肉感的なお肉がぽよんと乗っている、太もももむっちりで、でも華奢という、これはもう絵で見ていただくしかないねっていうデザイン。そんな彼女が抱きついてきて体を寄せてきたら、そりゃぬくいですよ。

 肉感と柔らかさを兼ね備えた、究極の理想形ボディのそろった女の子たち。彼女達を抱きしめる描写だけでも体がほてりますが、Hisasi氏のうまさは液体描写。先程も書いたように、なんといっても唾液がエロい。でもセックスシーンに入ると、唾液も汗も精液も愛液も全部交じり合ってなおエロい。

 どの液体も、湯気が立ちそうなんです。実際立っているものもあります。このヌルヌルを体中にまとわせながらのセックス、これはぬくい。気持ちよさそうでしかたない。女の子は特に、絶頂シーンで体に激しい力がはいるのですが、その時の様子を汗で描いているのがこれまたいいんだ。流れる汗の動きと筋肉のしまりを見ているだけで、彼女の性器が激しく動いている感覚が伝わってきます。

 寒い日の夜に是非とも手元に置いておきたい一冊です。寒いどころか汗が出てくるくらいに、官能的。
(文=たまごまご/たまごまごごはん

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