AVに出演すれば動画や写真が一生残ってしまう…リスクを理解しAV女優になった山川青空

──いじめられたキッカケは?

「昔から勉強をしていれば幸せってぐらい勉強が好きだったんです。成績も美術と体育が4で後は5だったり、10クラスあった学年で1、2位を争ったり。だから休み時間も勉強していました。そういう風にしていると、そんなに周りに反抗するタイプじゃなかったのに妬まれたりして。それでサッカー部の男の子に、いろいろ言われるようになって。学校が大きかったのでサッカー部だけで100人ぐらいいたんですよ。そこからスゴくいじめられるようになったんです」

──いじめって言葉の暴力だけじゃなく?

「水をかけられたり、試験用紙を捨てられたり。気が弱いからいじめられても言い返せないんですよ。ただ男の子にちやほやされてとか、クラスで目立ってとかじゃなかったので、女の子からのいじめは全然なかったんです。ただサッカー部とか野球部ってクラスのリーダー格が多いじゃないですか。そうするとモテる男の子も多いから、何となく女の子もそっち側に付くって感じでしたけどね」

──今は多弁だし、意思もハッキリ持っているから、いじめられても毅然としていそうだけどね。

「今もプライベートでは喋らないんです。でもお仕事では話さないと申し訳ないし(笑)。お仕事の合間とかにマネージャーさんと車で二人きりになって『オフにしていいよ』って言われると全く喋りません」

──前向きになれたのは最近?

「今でも前向きではないですね。イベントですら、応援してくれるために来てくださる方たちばかりなのに、私を査定しているんじゃないかって思っちゃうんですよね。ニコ動だと全身が見えないから、実際の私を見てガッカリするんじゃないかなって。でも皆さん優しかったからホッとしました。ダイレクトに応援してくれる気持ちを伝えて貰うと自分に自信がなくても、こうやって私のために時間を削って来てくれる人がいるんだからネガティブなことは言っちゃいけないっていう意識も生まれるし、頑張らなきゃって気持ちになります」

──暗黒の学生生活を送っている中で好きな人はいたの?

「中学1年から大学に入るまで、ずっと好きだった同級生がいました」

──その人はいじめとかには加担しないタイプだったんだ。

「マイペースな人だったから我関せずみたいな。いじめに加担することもなく、止めることもなく、やんわりと大丈夫? って聞いてくるような」

──わりとコミュニケーションは取っていたんだ。

「塾が一緒だったんです」

──告白はしなかったの?

「高校に入って一回したかな、ぐらいで(笑)。高校生の時は学校が違ったので会うこともなく、ずっと勝手に思っていたんです。あんまり男性と近い距離になりたくなかったから、遠くから思っていたかったというのもあったかもしれない。芸能人に恋をするみたいな感覚ですね」

──じゃあ実際に男女交際をしたのは?

「大学に入ってからですね」

──けっこう最近の話だ。

「バイト先で知り合った同じ年の人だったんですけど初めての交際なので緊張しました」

──どういうキッカケで付き合うことになったの?

「向こうから告白されたんですけど、大学っていろんな地方から集まって来るじゃないですか。相手は九州の人だったんですけど、言葉に方言があったんです。九州の方言って比較的に柔らかい感じなので、あんまり怖い感じがしなかったんですよ。会話をしている時に、ゆっくり話してくれて、その訛りが良かったんです。バイトで喋る機会も多いから自然と仲良くなって」

──ずっと自分に自信がなくて、ほとんど男性とも縁がない学生時代を送ってきて、実際に付き合ってみてどうだった?

「スゴく相手に合わせていました。嫌われたらどうしようとか考えちゃうんですよ。恋愛に憧れもあったので、言われたことはできるだけやってあげようと尽くしていました」

──初体験の相手もその人?

「そうですね。時期はあんまり覚えてないんですけど、初体験が成功するまでに4回ぐらい失敗したのは印象に残っています」

──それまで性的な好奇心はあったの?

「やっぱり高校生になると周りでやったやらないって話をしているじゃないですか。そこから取り残されていくんだなって思いつつ、自分はいいやって気持ちもありました。そもそもセックスというものを知ったのが中学3年と遅かったんですよ。保健体育の授業で知ったんですけど、そういうことをしている人がいるんだって衝撃を受けました。その時の私を知っている人からしたら、私がこういうお仕事に関係しているというのは想像もつかないだろうし、リンクしないと思う。大学でもエッチな話はしないし、そういう話を振られないですね」

──実際に初体験をした感想は?

「苦しい(笑)。4回も失敗したから焦りもあったし。やっぱり最初は恥ずかしいのもあったし、怖いのもあったし、それに痛かったし。だから、ちゃんとできた時は良かったなって安堵感が強かったですね」

──感動はなかったんだ。

「セックスよりもファーストキスの方が感動しました。19歳まで男の人が近くにいるってなかったから、急激にそうなった時に『こんなことしてる~』って恥ずかしさもあり、嬉しさもあり」

──初体験の相手とは長く付き合ったの?

「短かったですね。学校が違ったので会う機会も少なかったし、向こうがどんどん東京に染まってオシャレに気を遣うようになって六本木で遊んだりして。素朴で柔らかい感じが好きだったのに、付き合い始めた頃の彼からずれちゃって、背伸びした感じが見えて別れました」

──他に付き合った人は?

「一人います。大学のゼミ関係で知り合った年上の人で新聞記者をやっていたんです。その人は頭が良かったので、初体験の人よりも私が彼の手の上で転がされているような感じがありました。それが心地良い時もあったんですけど、言うことを聞かないといけないのかなって思うこともあって。その人とも長続きはしませんでした」

──結局、相手に合わせちゃうんだ。

「心を開こうと思っても嫌われたらって気持ちが強くて、何か言っても相手が少しでも反撃してきたら引いちゃいますね。例えばセックスしようって言われて、気分が乗らないなって思っても言えない」

──合コンに参加したことは?

「ないですね。得意じゃないです。そもそも、この1年で誰かとゴハンを食べに行ったことがあったかなぁって考えるぐらい(笑)。AVに出て私が変わったって思う人も多いかもしれないですけど、全然そんなことはなくて、普通に家でゴハンを作って一人で食べてます。たまにコンビニに行って、自分の顔が雑誌の表紙を飾っていて、驚いて逃げるように帰ったりしていますよ(笑)」

──今は彼氏が欲しいと思わない?

「このお仕事を辞めるまでは、一切男性とは関わらないって思っていますね。こういう性格なので、もし誰かを好きになったら全てを話しちゃうと思うんですよ。そしたら、お仕事を辞めなきゃいけないだろうし、どっちにも良い顔ってできないじゃないですか。男性に揺らいじゃうぐらいなら、目的のためにAVのお仕事をすること自体が無意味になるから、付き合うことはないでしょうね」

──一目惚れとかはしないんだ。

「あんまり外見に対するこだわりがないんですよ。片思いでいいってタイプなんです。自分のペースで勝手に相手を思っているだけでいいみたいな。ちょっとストーカーっぽい(笑)。友達もそういう女の子が多いですね」

──何か趣味はあるの?

「特にないんですよ。今は女子力を上げることや、次の撮影のための準備などに時間を使うことが多いですね。撮影の内容が決まったら、それに関連するAVを借りて、自分はどうすればいいか研究するんです。初めて借りた時はスゴく緊張しましたね。R18のコーナーに入ること自体、躊躇しましたからね」

──勉強家だけあってブログにAVレポートを頻繁に載せているけど特に感心した女優さんは?

「横山美雪さんです。Twitterのフォロワーさんに勧められて『真・性欲、覚醒』って作品を見たんですけど、他の女優さんは男優さんに責められていてもどこかで表情を作っているんですけど、横山さんは顔の表情も気にしないで自分からガンガン行くんですよ。そこからリアリティが伝わってきて、初めてAVを見てドキドキしました。あと成瀬心美さんの『もしも、「成瀬心美が僕の○○だったら…」』も印象深いです。いきなり成瀬さんが泣くシーンがあって、そこまで入り込めるのはスゴいなって思いました。ただセックスをするだけならプレイヤーでいいじゃないですか。でもAV女優は英訳するとアクトレスなので、表現力も重要だなって改めて思いましたね」

──自分の目標のためと言いつつも、マジメにAVに取り組んでいるよね。最後に、これからの目標は?

「どの作品も本気でやっているんですけど、男性は自分の好きなシーン以外は飛ばすじゃないですか。そういうのがない常に緊張感のあるセックスを見せられる“ノン早送り女優”を目指します(笑)」
(取材・文=猪口貴裕/写真=辰巳千恵)

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