昨年7月、ニコニコ動画で「私、日本で1番有名なAV女優になります!!」と宣言。視聴者のアドバイスを取り入れながら試行錯誤を重ね、モデルプロダクションの面接に見事合格、そしてプレステージから専属女優デビューが決まるというAV版サクセスストーリーの一部始終をニコ動に逐一アップして、デビュー前から大きな話題を呼んだ山川青空。デビュー作『続・素人娘、お貸しします。VOL.60』は好セールスを記録、ついに日本で1番有名なAV女優になるための第一歩を踏み出した彼女に根掘り葉掘り直撃インタビュー!
──どうしてAV女優を志したの?
「日本で1番有名なAV女優さんになって、最終的に皆さんにカミングアウトしたいことがあるんです。その目標に向かって今は頑張っているんです」
──カミングアウトのタイミングに明確な基準みたいなのはあるの?
「この仕事から退く時だと思っています。ある程度の知名度があって影響力がないと自分の言葉って伝わらないじゃないですか。だからAV女優という職業を選んで、皆さんに知ってもらえたら、自分の言葉をより多くの人に聞いてもらえるのかなって思ったんです。『日本で1番有名なAV女優になります』と言ったのは、そういう意味も込めてだったんですけど、どこで日本で一番かを判断するかは難しいじゃないですか。例えばスカパー!アダルト放送大賞の女優賞に選ばれるとか、作品ランキングで売り上げ1位を取るとか…」
──まだデビューしたてだから具体的な目標を挙げるのは難しいだろうけど、AV女優として自分で達成感があった時って考えればいいのかな。
「そうですね」
──お金が欲しくてっていう理由はまったくなかったの?
「お金のために始めたお仕事じゃないので、お給料を使ったことはないんです。使ってしまうと自分の目標がずれてしまうというか、変わってしまうのが怖いから今まで通りの生活を続けています」
──だったらAV女優以外の選択肢もあったのでは?
「ブログとかTwitterをマメに更新しているので、そのマジメさがあるんだったら他のお仕事でも良かったんじゃないかって言われるんです。やっぱりAV女優さんって人に批判されるし、大抵はグラビアアイドルとAV女優というお仕事だったらグラビアアイドルを選択したいだろうし、できるだけキレイな世界にいたいじゃないですか。でも私はグラドルやアイドルって全く興味がなくて。脱ぐってことはスゴく大変なことだし、今後自分の動画や写真が一生残ってしまうじゃないですか。AV女優を引退したからといって、その事実は完全に消えるものじゃないけど、カミングアウトするために、そこまでやったんだって軌跡を残したいんです」
──なかなかAVに出ることのリスクを口にする新人AV女優なんていないよ。それぐらいカミングアウトの内容は重たいんだ。
「重たいですね。AV女優さんって、たとえ賞を取ったとしても、一般映画に出て演技が評価されたとしても、『しょせんAVでしょう』って言う人が絶対に出てくると思うんです。そういう批判的な場所にいないと意味がないんです。そこまで覚悟を決めて、自分の体を使ってやりきったんだって。このお仕事を始める時もAV女優さんになるリスクって、ある程度は予測していたんですけど、デビュー作がリリースされて、より覚悟は決まりました。もちろん不安もありますけどね」
──例えば「私の性別は男でした」ってカミングアウトじゃないよね(笑)。
「ネットでもそう言われたことがあるんですけど違います。一応、ちゃんと女性です(笑)」
──ニコ動でAV女優になるための意気込みや取り組みを自画撮りして頻繁にアップしているけど、いろいろシビアな書き込みもされる訳じゃない。そういう覚悟はあったの?
「覚悟はありましたけど、やっぱり傷付きますよね。昨年の7月からニコ動は始めたんですけど、それまでは、ほとんど誰も見てくれないような状況で、こじんまりと私のことを応援してくれる人たちとやっていたのに、プレステージ専属女優が決まったと言った瞬間に、より批判的なコメントが増えたんです。デビュー作の動画サンプルなどが出た時は、さらに言われるようになって。中にはAV女優だから何なのとか、それしか言えないのとか、攻撃的なことを書きこむ方もいるんですけど、それを見る度に落ち込んでいます(笑)」
──まともに受け止めちゃう方なんだ。
「そう言われることも分かるんですよね。だから、そういう批判的なことにも、自分の中でそうじゃないよって思ったことは、ちゃんとブログやTwitterなどで伝えています。そうすると納得してくれる方もいるんですけど、一個ずつ答えていくのは難しくて。いちいち悲しんでいるんですけど、ネガティブなメッセージからもポジティブなものは生まれると思っていて。最近あったことだと、こないだデビューイベントをさせていただいたんですけど、場所は東京じゃないですか。ずっと応援してくれていた方の中に、東京だと行けないから地方差別だとか、AVデビューしたら俺らなんて関係ないんでしょうとかいう声もあって、そういうのは悲しいじゃないですか。でも、それは納得できることだし、東京以外の人にも今まで支えてくれてありがとうって伝えられたらなって思って今度ニコ生でイベントをするんです。そこではリアルタイムで視聴者の方とやり取りをして、サイン会みたいなことができればなって思っているんです。そういう発想が浮かんだのも、コメントのおかげですね」
──ニコ動を見ると、最初の投稿から一人語りが巧いよね。
「そうですか? あんまり目立つのは得意じゃないんですけどね。ただ応援してくれる人がいっぱいいると、その期待に応えなきゃって気持ちになるんですよね。それが強過ぎて、途中でダイエットを頑張り過ぎて食べれなくなったこともあるんですけど(笑)。でも自分が変わっていくことで、皆も自分のことのように喜んでくれるので、一人じゃないんだって思えるし、成果を一つ一つ味わえるのもやりがいがありますね」
──ほんの数カ月で目に見えてダイエットの成果が現れているんだからスゴく意志が強いよね。
「頑張りました(笑)。昨年7月から応援してくれている方だと、半年近くメッセージのやり取りをしているので家族や友達みたいになるんです。私が頑張ることで『俺も仕事頑張るね』とか言ってくれたり、女の子からも話しかけてくれたり。最初にネガティブな部分も含めて、ありのままの自分を見せているじゃないですか。失うものは何もないから、すっぴんやメイクの過程まで今でも見せられるんです。だから女の子も共感してくれるのかなって思います」
──そもそもAVにどんなイメージを持っていたの?
「ダークな世界(笑)。それまで自分は普通の生活をしてきたので、周りでそういうお仕事をしている人が全くいなかったから、お金と欲と男が渦巻いているような汚いイメージでした。一度入ったら戻れないぐらいに思っていたんですけど、実際に撮影現場に行ったらスゴく明るくて。そういうところだからこそ卑猥な言葉だとか、ふざけた雰囲気は一切なくて、逆にビックリしました。デビュー作が『続・素人娘、お貸しします。』ってシリーズだったのもあって、事前に打ち合わせが一切なくて、車で移動して置いてかれてみたいな。あんまりAVっぽくなかったなって印象があるんです。でも撮影を重ねていくとスタッフさんも増えてきて、やっぱり大変だなって思うし、こんな大変なことをやっているんだからこそ自分の目標を達成したいって気持ちも強くなるし。反面、それまで自分の心が持つのかなって心配もあります(笑)。AV業界を盛り上げていきたいとか、皆のために頑張りますって方もいますけど、私の中では人のために脱ぐのはできないんです。誰かのために自分を犠牲にするんだったら、他のお仕事でもいいかなって思います」
──でも、どうせやるんだったら多くの人に見てもらいたいよね。
「あまり自分に自信が持てないから、作品を買ってくださいって一回も言ったことがないんです。見てくれると嬉しいですとしか言えないんですけど、皆が見たらどう思うのかなとかは気になりますね」
──どうして自分に自信がないの?
「まず自分の顔が好きじゃない」
──ずいぶん根本的なところから入ってくるね(笑)。
「コンプレックスの塊なんです。だから他人の評価が気になるんです。こういうお仕事があるってなったら、相手がどういうことを求めているのかなって考えちゃうんですよ。今日みたいなインタビューのお仕事とかも、スポーツ新聞だったらこう答えなきゃとか考えてしまうので、直前までマネージャーさんが媒体や内容を教えてくれないんですよ。じゃないと、いろいろ調べたりとか勝手に自分で負担を多くしてしまうんです。昔から心配性だし、気も小さいし、こういうお仕事は向いてないんです(笑)」
──デビュー作で「大学生」と公言しているけど、学校で誰かにAVのことを言われたりしない?
「もともと目立つ方ではないので誰にも言われていないです。それに急に見た目も変わったので分からないと思うんですよ。デビュー作の頃と較べても違うって言われますからね。デビュー作の撮影が終わってから化粧をするようになって、ジムにも通うようになって。ただ大学に行く時はスニーカーにリュックで、以前と変わってないですけどね(笑)」
──確かにデビュー作の頃より顔がシャープになって、体も締まっているよね。
「ただ体重を落とすだけじゃダメだと思って、ジムに週2回通ってトレーナーさんとマンツーマンでやっています。1本目よりも2本目、2本目よりも3本目って結果を出して行かないと、見ている人もツマらないだろうし応援したいって思わないじゃないですか」
──それまで自分磨きをしようと思ったことはなかったの?
「ありましたけど自分には無理だなって諦めてました。『小悪魔ageha』とかを見るのは好きだったんですけど、自分とはタイプが違うから派手な女の子に憧れはあったんです。ただ最近、イベントが自前メイクだったので、メイク道具一式を揃えました。お店に行って、店員さんに言われるがままに買ったんですけど(笑)」
──コンプレックスの塊って言ってたけど、それは何か原因があったの?
「小・中・高と不登校だったんですよ。小学校の時はお母さんが一緒に学校に行って、授業中も立ち合ってってこともありました。中学ではいじめられていて、それが原因で学校も変わったことがあったし、そういうのもあって人の評価とかが気になっちゃうんです」
──いじめられた期間は長かったの?
「いじめ自体は中2ぐらいまでだったんですけど、高校に入ってからも電車には乗れなかったので、お母さんが送ってくれたり、家から学校まで何駅もあったのに歩いたり。電車で向かい合って座った時に、自分のことをブスだと思っているんじゃないかって気になるんですよ。それで過食に走ったこともあります」
──今は人の目を見て話すから、そんな過去があるなんて想像もつかないけど、それは訓練したの?
「ニコ動を撮る時にカメラのレンズに向かって話すので、何かに向かって喋らないと伝わらないのかなって。最初は下を向いて話すことも多かったんですけど、上を向いた方がいいとか、胸を張った方がいいとかアドバイスを受けて、それが身に付いたんでしょうね。だから3作目の撮影で主観シーンを撮ったんですけど、事前に主観は難しいって言われていたのに、一回でOKが出てスタッフさんがビックリしていました(笑)」