ポニーキャニオン
昨シーズンの休養を経て、リンクに戻ってきた韓国のキム・ヨナ(22)。12月にドイツで開催されたNRW杯で1年8カ月ぶりに競技会に復活し、今季世界最高得点の合計201.61点をマークして優勝した。フジテレビのスポーツ情報番組『すぽると!』では、彼女の復活を大々的に報じ、NRW杯翌日の10日に「キム・ヨナ復帰完全検証」という特集を組んだ。しかしこれが波紋を広げているようだ。
同特集では直前にISUグランプリファイナルを4年ぶりに制した浅田真央(22)とキム・ヨナを比較し、浅田がマークした今季世界最高得点(196.80)を上回る得点でキム・ヨナが優勝したこと、そしてヨナの実力はまだこんなものではなく、7割程度の力しか出せていないとも伝えた。だがそもそも、グランプリファイナルとNRW杯では大会のレベルが異なり、NRW杯の方が格下のため、得点を比較して「キム・ヨナの方が優れている」と語るのはナンセンスだ。『すぽると!』に対して日本のフィギュアスケートファンは「偏向報道をしている」と怒りを爆発させ、ネット上で話題となっていた。
この番組構成に違和感を覚えたのはファンだけではなかったようだ。一部夕刊紙によれば、浅田の所属事務所が「公平性を欠く報道だ」としてフジテレビに厳重抗議、「今後、浅田に関する取材協力はできない」とも伝えたという。浅田とキムは来年3月にカナダで行われる世界選手権で2年ぶりの直接対決をする予定となっており、これまでもフィギュアスケートを積極的に取り上げてきたフジテレビとしては、大会直前にキム・ヨナだけでなく浅田をクローズアップした特集も組みたいところだろう。取材拒否となってはたまったものではない。それゆえ、現場だけでなく上層部も大慌てで謝罪に追われているという。
「フジテレビは以前にも浅田が優勝した試合のインタビューで、なぜか彼女が転倒しているシーンを切り取ったパネルを作成して放送していましたからね。スケートファン、そして浅田本人も怒って当然です。それに、キム・ヨナのNRW杯での異常な高得点は世界中のスケートファンがおかしいと思ったはずですよ」(スポーツ紙記者)
同大会でのキム・ヨナの演技は確かに「最高」と称賛されるほどの出来栄えではなかった。村主章枝の妹でスケート解説者の村主千香は、出演している『モーニングバード!』(テレビ朝日系)で、「後半はスタミナが切れていた」「おぉ~と感動するような演技ではなかった」「正直、なんでこれほどの高得点が出たのかわからない」と正直な感想を語っている。
「難易度の高い技を取り入れて成功しているわけでもなく、後半では転倒やダブルアクセルからの三連続ジャンプが全部一回転になるなど大きなミスを犯しました。演技全体にキレもなかったのに、どうしてこんな点数が? と、疑問に思いました。まあ、バンクーバー五輪の頃から、キム・ヨナの異常な高得点はおかしいと話題でしたけどね」(前同)
不可解な採点はフィギュアファンにも全力で戦っている選手たちにも不信感を植え付ける。このままではもう誰もフィギュア界に公平さを期待しなくなってしまうかもしれない。
「余談ですが、キム・ヨナの傲慢な態度もスポーツマンシップに欠けていると思います。演技終了後、応援してくれた客席への挨拶もそこそこにキスアンドクライへ行くと、背もたれに寄りかかって脚を投げ出し、ダルそうに座る。彼女が演技も舞台裏での態度も一流ならば、フィギュア界の女王と呼ぶこともできますが、そんな非礼な態度を公式試合でとるなんて、とても女王の品があるとは言えません。さすがに引きます」(前同)
ともあれ、3月の世界選手権で二人がどのような演技を披露し、またそれを各メディアがどのように報じるのか……楽しみである。