17日、東京ドームシティホールで開催された「第2回AKB紅白対抗歌合戦」の場で、AKB48チームAの河西智美(21)がグループからの卒業を発表した。「14歳の時からAKBに入って、たくさんチャンスをもらいました。ソロデビューも決まったので、自分の力でやっていきたい」と話し、前向きな卒業である様子だ。河西は今月26日にシングル「まさか」(日本クラウン)でソロ歌手としてデビューすることが決まっている。
「正直、『いきなり!黄金伝説』(テレビ朝日系)の逃亡事件が尾を引いている印象は受けました。でも河西はもうAKBとしての活動に意欲を失っていましたし、早く卒業してソロをやりたい意向があったので、事実上のクビだとしても本人は喜んでいます。もともと人見知りで、取材時は苦戦するメンバーの一人だったのですが、最近、妙に機嫌がいいなあなんて記者やカメラマンの間でも話題になってましたよ。河西と一緒のホリプロ所属である板野友美も同じく、このところ不機嫌な様子が減ってきて愛想良く振る舞っているので、彼女も来年卒業とソロデビューが決まっているのかななんてウワサされています」(スポーツ紙記者)
AKBではこの日、ISSAとの“お泊まりデート”を撮られてグループ脱退となった増田有華(21)も卒業。また、先月末には佐藤夏希(22)も突然の卒業を発表し、12月1日付でグループを離れている。奇しくも旧チームKの創立メンバーで2期生である3人が同時期にAKBを離脱することとなった。今年夏に前田敦子が抜けてから、AKBは9期生以降の「新世代」をメインに育てる方向にシフトしており、世代交代を盛んに謳っている。すでに8期生は全員去っているが、7期以前の加入者で選抜常連でないメンバーの卒業が、このタイミングで加速しそうだとの見方もある。
「AKB人気がピークに達した今、顔を売ってもらえない非選抜メンバーは残っていても旨味がない。泥船が沈みきる前に、グループを抜けて一人のタレントとして、あるいは女優・歌手としてスタートしたいというのが本音でしょう。まだ高校生のメンバーは猶予がありますが、社会人になっているコたちにとっては死活問題ですからね」(芸能記者)
しかし独り立ちしたとしても、順風満帆な活動ができるわけではない。彼女たちは「国民的アイドルグループ」であるAKBに在籍しているからこそ、テレビ番組やイベントに呼ばれたり、歌を歌うことができたりするのだ。そのトップに君臨していた前田敦子は、若手女優としてスタートを切っているが、「アイドルを6年やってきたものの、女優としては新人。でも本人もイチから修業を積むつもりで頑張っているので、今後、芽が出る可能性はあります」(前同)という状態だ。まして、前田ほど人気も知名度もないメンバーがソロとしてやっていけるものだろうか?
「増田は演技力・歌唱力共に、業界内では前田よりも評価が高いです。佐藤は学業に専念するとして芸能界そのものを引退しているので省くとして、問題は河西。これまでAKBを卒業して芸能界で“勝ち組”になれたメンバーはまだ出ていません。AKBのブレイク前夜に辞めた大島麻衣はソロ歌手としては鳴かず飛ばずで、バラドルとしての活動がメインですが、売れっ子というわけではない。どちらかというと恋愛事情や私生活も赤裸々にぶっちゃけるタイプのタレントで、男性人気と女性人気どちらを獲得したいのかも不明確です。河西は大島の後輩にあたりますが、バラエティは『黄金伝説』の件があるのでまず呼ばれることが少ないでしょう。河西本人もアーティスト志向でバラエティ出演は本意ではない。そうなると、『アイドルなのにアーティスト病』と嘲笑されることも多いのですが、実は歌唱力・表現力どちらも河西の評判はすごくいいんですよ」(前同)
AKBは、テレビでもライブでもいわゆる“口パク”歌唱が基本でお馴染みだ。あらかじめスタジオで録音していた歌声入りの音源を流し、それに合わせて口パクをするので、大勢で踊りながらでも、音程が乱れない。それゆえか、生歌になると音程もバラバラ、声量もなく聞き苦しいことが少なくないのだ。しかし河西は、AKBのカラオケ大会や、冠番組などで生歌を披露したことがあるが、ボイストレーニングに積極的だというだけあって音域が広く、特に雑になりがちな低音が美しいのだという。
「声質はやや甘くて、パワフル系ではなく、ともすればアニメ声とも言われますが、いわゆる西野カナ系。楽曲次第では若い女性の心をつかむことができそう。淡々と歌うというタイプではなく、聴かせるための表現力を出そうと苦心している様子もうかがえます。やりたくないことからは逃亡してしまいますが(苦笑)、本気でやりたいと切望している歌手業では成果を出せそうな気がしますね。逆に、元AKBだということが音楽ファンには敬遠されそうなので、アーティスト転身するにはマイナスなのが可哀想ですが」(前同)
河西の歌唱力・表現力については、AKBヲタクで著名な小林よしのり氏も自身のブログで「甘ったるい表情と声 マリリンモンロー並みの悩殺シンガーである」と絶賛している。泥船になりつつあるAKBからいち早く抜け出した彼女が、卒業後に花開くことはできるのだろうか。