飲み会や合コンの下ネタで、必ずといっていいくらい話題に挙がるのが、「SかMか？」のタイプ分けである。皆、自己申告でSだのMだの言い合って盛り上がるが、それはあくまでも「どちらかといえば」というニュアンス。実際に、本格的なSM経験者はほんのひと握りではないだろうか？
よって、一般人がSMに抱くイメージは、ごく漠然とした抽象的なものでしかないだろう。お笑い芸人の影響もあって、「女王様とお呼び！」「このメスブタが！」などのセリフは、コント的印象のほうが強いくらいだ。
上記のセリフのほか、一般人が想像するSMの世界と聞くと、ボンテージやムチ、バタフライマスクなども挙げられる。では、ミストレス（女王様）やスレイブ（M女）に抱くイメージはどうだろうか？ おそらくほとんどの人が、女王様は長身で美人、M女はムチムチのロリ系を連想するだろう。
男性のSM愛好家に対しても然り。S男性は巨根でM男性は短小のイメージが強いようだ。確かに、オトコのシンボルであるペニスが大きい男性は、そのことが自信に繋がり、性嗜好が能動的になる確率は高いだろう。また、ペニスが小さい男性は、それをからかわれることが性的興奮に繋がり、結果的に性嗜好が受動的になったのかもしれない。
だが、SM関係者に話を聞くと、必ずしもそうとは限らないようだ。S男性が短小のこともあれば、M男性が巨根のこともあるとのこと。
そういった場合、プレイに支障は出るのだろうか？ SM愛好家女性たちから意見を募った。まずは、巨根M男性に対するS女性の声。
プレイには全く支障がないとのことだった。「Mのくせにこんな大きなモノをぶら下げて……！」などのニュアンスで責めれば、特に不自然は生じないようだ。
では、短小S男性と接するM女性たちはどう考えているのだろうか？ 我々一般人のイメージでは、「ご主人様の小さなおチンポで虐めてください」では違和感がある。
しかしM女性目線では、S男性のペニスが大きかろうと小さかろうと従属してこそ真のM、とのことだった。あっぱれな心意気である。
逆に、「S男性のペニスが短小でも、それを巨根と見なしてプレイに臨む」と語るM女性も。さながらイメージプレイのようなものである。Aカップの女性に対して、「オッパイ大きいね」と言うようなものだ。難易度が高いのではないだろうか？ だが、Aカップのオッパイだろうと、男性の平らな胸板よりは膨らんでいるのだから、それに比べればというニュアンスで「大きいね」と言うことは可能だ。M女性が短小S男性のペニスを巨根と定義するのも、もしかしたら同じ感覚なのかもしれない。ペニスが生えていない女性の股間と対比すれば、短小ペニスでも「大きい」と捉えることはできる。
そして、S男性のペニスが小さいことを認めたうえで、「巨根のご主人様に虐められるならまだしも、短小ペニスに奉仕をさせられる自分は、M女の中のM女である」と、解釈する女性もいた。いやはや、ものは考えようである。
肉体面では、S男性が短小だと、アナルファックの際に挿入しやすいというメリットもあるようだ。巨根すぎると挿入まで多大なる時間を及ぼすが、短小ならアナル開発もラクとのこと。ポジティブシンキングである。
以上は女性側の意見。当の男性たちはどうだろうか？ まず、短小S男性に話を聞いてみた。ほとんどの人が、「ペニスのサイズには触れないプレイスタイルをとっている」と答えた。ごく無難なスタンスである。また、「大きさよりも硬さを強調する」と主張する人もいた。「ご主人様の大きなおチンポで虐めてください」ではなく、「ご主人様の硬いおチンポで虐めてください」になる。なんとなくしっくりこないのは気のせいか。
巨根M男性の声にも耳を傾けてみよう。相手が、熟練した女王様なら特に問題はないようだが、初心者S女性からは「本当にMなのか？」と疑われたこともあったらしい。やはり、「M男性＝短小」のイメージが強いせいだろう。だがそれは、あくまでも世間的イメージであって、M男性は巨根であってはいけないことはないし、S男性が短小であってもバツではない。ペニスサイズに関係なく、己の性嗜好を存分に楽しんでいただきたいものだ。
（文＝菊池 美佳子）