大きな事件になってしまった逗子のストーカー殺人事件をはじめ、とにかく別れた相手に執着してストーカー化したり、暴力をふるったり、人間不信に陥ったりというケースが多発している。復縁を迫って……という事件は以前もあったが、最近は特にネットなどを使った陰湿なストーカー行為が増え、さらに殺人・暴行など凶悪事件に発展したあげく、犯人が自殺するというパターンが多い。
もちろん、犯罪にまで発展するのは、ほんの一握りの特殊な人間だけだが、相手に別れを切り出されて、この世の終わりのような気分になって落ち込んでしまう男性というのは、この世に「草食男子」という言葉が流行し出してから、かなり顕著に増えているそうだ。ようするに恋愛することに使うエネルギーというかパワーが低下しているから、一度捕まえた女性に固執するし、依存もするというわけ。
筆者も、とあるSNSで恋愛系のコミュニティを管理しているが、寄せられる相談というのは、ほとんどが復縁がらみ……復縁をしたいがどうしたらいいかという話か、復縁を迫られて困っているという話である。
特に、前者の相談は、4~5年前までは女性が圧倒的に多かったのだが、ここ数年、男性からのものが半数近くまで増加している。
結論から言うと、「復縁」というのは99.9%不可能だ。一時的に別れを取り下げたとしても、それは意識の回復しない延命処置みたいなもので、よほどの奇跡がない限り、『もとどおり』になることはない。フラれるのも辛いだろうが、別れを切り出すほうだって、そう簡単に結論を出すわけではない(ことも多い)のだ。「なんとか考え直してくれ」といってどうなるものでもなく、「悪いところあったら直すから」と言って、直る可能性は低いのである。
しかしながら、100%とは言わないが、40~50%の確率で復縁が可能になる言葉があるといったら信じてもらえるだろうか?
いや、信じてもらえなくても教えてしまうが、その言葉とは
『わかった。ごめんな』
である。
これは簡単な話で、先ほど言ったように、別れ話を切り出すほうも、様々な葛藤をして、エネルギーを使って、緊張しながら切り出すわけだから、当然、振られるほうの抵抗を無意識に計算にいれて、様々な説得をシミュレーションしていることがほとんどだ。
「どうして?」と言われたらどう説明しようか? とか、「いやだ」と言われたらどう説得しようかと考えているところで、いきなり「わかった」と納得され、さらに「ごめん」と謝られたら、お白州で桜吹雪を見せようと構えていたところで、顔を見た途端「あ、金さん! 参りました」と悪党に土下座された遠山の金さんみたいなもので、困惑して感情のやり場に困るのである。
そして、その困惑を、実は自分もまだ相手に未練があるのではないかと勘違いしてくれる女性は結構多い。恋愛というのが、恋人への好奇心を満たすための感情であるとしたら、予想外の対応をされたときに、まだ自分が相手をよく知らなかったということに後悔の念を抱いてしまうのが人間心理というものなのだ。
そして、蛇足ではあるが、この復縁後のSEXというものが、実はかなり快感を増幅させるものであることも説明しておきたい。
別れる直前のSEXは、やはりどこかマンネリ化していたりするものだが、復縁(というより、見直されて二度目の新縁となっている状態)後のSEXの場合、身体の相性はわかっていながら、新しい魅力を感じての行為になるため、非常に新鮮なのである。
相性がいいのに新鮮なSEXという状態は、快感を求める積極的な気持ちとともに、どこか初々しさのオーラが漂っている。
そこで、例えば愛撫の順番を変えてみるとか、キスを長めにして、丁寧なソフトタッチで攻めるなどの変化を加えると、女性の身体は驚くほど敏感になる。身体が敏感になるだけではなく、心理的にも愛しさが募るような気になるとも聞いた。
別れ話を切り出されたときは、マンネリを打ち破るチャンスでもあるのだ。振られてこそ、咲く花もあるということで、どんどん振られよう。ただし、先ほど言ったように、この成功例もせいぜいが50%程度のこと。すべてが上手くいくわけではないので、失敗しても責任はもてません(笑)。
(文=潜水亭沈没)