ドランクドラゴン・塚地武雅が「童貞」カミングアウトで狙うポジション

 ドランクドラゴンの塚地武雄が童貞を宣言したとして話題を集めている。先月30日に放送された『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』(TBSラジオ)にゲスト出演した塚地本人が童貞を告白したことによるもの。おぎやはぎによる執拗な童貞疑惑の追求に、たまらず塚地が認めたというわけだ。その後、本人は童貞の主な理由として「女性不信」を挙げ、自身もレギュラー出演している『はねるのトびら』(フジテレビ系)でのドッキリ企画がそのきっかけになったと話した。

 2004年、現在は引退している元タレントのAと食事を共にした塚地は、飾り気のないAの魅力に恋をしてしまう。久しぶりに恋愛感情というものが湧き上がってきた塚地は、そのこと自体が嬉しくて、つい同じ事務所のおぎやはぎと仲の良い放送作家に相談する。しかし、その塚地の恋愛がネタになると踏んだおぎやはぎと放送作家は、『はねるのトびら』のスタッフに報告。24時間体制で塚地を観察する恋愛ドッキリ企画が番組で取り上げられることになった。

 塚地は、この経験をきっかけに女性不信になったと語る。しかし、このときすでに塚地は32歳。ゴールデンタイムでのレギュラーを持つほどの売れっ子芸人でありながら、それまでずっと童貞だったとは考えられない。ましてどんなに売れてなくとも、コアなファンがつくのが芸人という人々だ。塚地が好きで好きでたまらないという女性も1人や2人ではあるまい。やはり塚地の童貞宣言はネタであると見るのが自然だ。

 また、ネットユーザーたちも「マジだったら神w」「あんだけ金稼いでて童貞なわけない」などと、塚地の童貞宣言には懐疑的な目を向ける。しかし、たとえそれがネタでも「自分ヤリチンです」と宣言するよりは、はるかに好印象なようで、塚地に対する批判や非難といったコメントはほとんど見受けられない。やはり、塚地のイメージと童貞というキーワードは、事実とは異なるとしても、結びつきやすく相性のいい、視聴者にとって受け入れやすい関係なのだろう。

 俳優としても活躍する塚地とすれば、役柄をこなす上で偏ったイメージのつくことは避けたいところに違いない。だが、その偏ったイメージが独特な個性を生んでいるのも事実だ。そして、童貞というイメージが似合うというのもまたその独特な個性の1つといえるだろう。塚地とすれば、童貞臭も大事な武器というわけだ。今回、わざわざ童貞を宣言したのも、その武器を磨くためだったに違いない。

 今年の大河ドラマでは没落する貴族を怪演し、現在公開中の『ひみつのアッコちゃん』(松竹)にも出演。来月には主演映画『くろねこルーシー』(AMGエンタテイメント)の公開が控えている。11年半に及んだ『はねるのトびら』の打ち切りが決定し、いよいよ塚地の主戦場がバラエティからドラマや映画に移ろうとしている。明らかに供給過多の芸人飽和時代を迎えたバラエティ界。塚地は俳優という別世界に寄り道しながら、バラエティの世界を生き残ろうとしているのかもしれない。そして、その俳優世界で大きな威力を振るうのが童貞というイメージだということに、本人は気づいているのだろう。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

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