女性が、オナニーにおいて必ずしも膣に指を挿れるわけではない、ということは周知のとおり。むしろ、指挿れオナニーをする女性のほうが少ないくらいだ(※)。
(※ https://www.menscyzo.com/2012/04/post_3824.html )
オトコとしては、「クリトリスが性感を得るのに特化した器官とはいえ、女性器の主役である膣に指を挿れないのは、オトコのセンズリでサオを握らないようなものである!」と、どうしても腑に落ちない気分にさせられてしまう。
だが、考えてもみたら、生理用品のコマーシャルを見ていても、各メーカーが推しているのはナプキンが主流である。膣に挿入するタイプのタンポンが、コマーシャルで取り上げられることはほとんどない。これこそが、膣に指を挿れる女性が少ないことを物語っている何よりの証であろう。
タンポンを使わない理由並びに指挿れオナニーをしない理由を訊ねてみたところ、ダントツで多かったのが「性器に指を挿れるのがなんとなく怖い」という意見。この、「怖い」という感情は女性特有のものかと思いきや、どうやら男性陣の中にも、「指挿れが怖い」という人が少なからず存在するらしい。
といっても、アナニー(アナルオナニー)のことではない。彼らが怖いのは、女性の膣である。そう、セックス時に、指マンが出来ないのだ。
「指マンをしない」と言ってしまうと語弊があるかもしれない。彼らは決して、前戯をしない自分本位な手抜き男ではない。キスもするし、オッパイも揉む。乳首も舐める。女性器も舐める。手マンもする。しかし、手マンはするが指マンはしないのだ。
ここで、手マンと指マンそれぞれの定義について触れておこう。両者とも、「手を使った女性器の愛撫」を意味する言葉なので、要するに同じなのだが、ここでは「外性器への愛撫」を手マン、「内性器への愛撫」を指マンとさせて頂きたい。
指マンしないオトコたちは、クリトリスへの刺激は熱心に行なう。摘まむ。擦る。こねくりまわす。しごく。だが、いっこうに膣へは触れようとしないのだ。
理由は、先述のとおり、「性器に指を挿れるのがなんとなく怖い」とのこと。タンポンを使わない女性や、指挿れオナニーをしない女性と全く同じである。
では、ペニスも挿れられないのか? という疑問が生じるが、ペニスの挿入は大好きとのこと。一見理解できない主張だが、「指挿れは、内臓を触っているような感触が直にくるので苦手」なのだという。
映画『ローマの休日』に登場する「真実の口」じゃあるまいし、日本男児たる者、膣への指挿れを怖がってどうする! とツッコミを入れたいところだが、そういえば女性陣の中にも、同じような意見を唱える者がいた。
「タンポンは、膣内の感触が直に伝わってこないので平気だし、バイブレーターを使ったオナニーも好きだが、指挿れオナニーには抵抗がある」という。
ここで、タンポンの仕組みについて説明しよう。種類にもよるが、市場に流通している主流タンポンのほとんどは二重構造になっている。アプリケーターと呼ばれる筒の中にタンポンが入っており、まずはアプリケーターごと膣に挿入する。そして、内側のピストンを押してタンポンを押し込み、外側のアプリケーターを抜く。膣に指を挿れる構造にはなっていないのだ。つまり、指が膣内の粘膜に触れることはない。よって、タンポンの挿入は平気とのこと。
バイブレーターも然り。第三者としては、ボリュームのあるバイブレーターよりも、指挿れのほうがよっぽどハードルが低いように感じるが、やはり「粘膜に触れること」がネックになっているようだ。男性で、「性器に指を挿れるのがなんとなく怖い」という人と相通じるものがあるようだ。
セックスにおいて、苦手なことを無理に行なう必要はない。糞尿が苦手な人が無理にスカトロプレイを頑張る必要はないし、獣姦が苦手な人が無理に動物と交わる必要もない。しかし、女性器への指挿れは、スカトロや獣姦に比べると、だいぶハードルが低いはずである。指挿れで、前戯のバリエーションが広がるのは明々白々。粘膜への苦手意識を克服することは、必ずやプラスになるであろう。とはいえ、どうにもこうにも指挿れが怖いというのなら、クンニリングスのテクニックを磨くなど、他分野での努力が必須である。
(文=菊池 美佳子)