AKB48の前田敦子(21)の卒業公演が、27日に東京・秋葉原のAKB48劇場で行われた。プラチナチケットをゲットできた幸運な約250人のファンを前に、前田が所属し続けてきたチームAメンバーによる“いつもどおりの公演”と、別チームの大島優子(23)らも加わった特別公演を披露した。
劇場周辺にはチケットを持たない大勢のファンが押し寄せ、歩道に収まらないほどの人数になったが、万世橋署が事前に警察官を配置していたため大きな混乱は起こらなかった。だが、現場の写真がネット上にアップされると、あまりの混雑ぶりに「死人が出るのでは?」といった声まで上がった。一般層の関心度も高く、卒業公演を生中継した音楽番組『HEY!HEY!HEY! 今夜が最後!前田敦子 AKB48 さよならライブ生中継 緊急2時間スペシャル!』(フジテレビ系)は平均視聴率14.3%(関東地区・ビデオリサーチ調べ)をマーク。前週の平均視聴率7.2%(同)から倍増した。卒業直前に行われた東京ドーム3days公演も14万4,000人を動員しており、まさに“あっちゃん狂想曲”といえる卒業フィーバーが巻き起こっていたのだ。
当の前田は公演翌日の28日からソロでテレビ収録をこなしている。今後は女優業を中心に活動していくという彼女は「ニューヨークに留学したい」という夢も明かした。だが、前田とAKBの前途を不安視する声は絶えない。
「AKBの人気は間違いなく今がピーク。今後は確実に下り坂になっていく。それは運営側も分かっており、延命のために新組閣を発表したり、資金回収のためにパチンコ化したりと、店じまいに向けた動きが活発化している。AKBと同じく、前田の未来も決して明るいものではない。NY留学という言葉が出たのは、彼女が女優としての実力不足を自分で認識しているから。だが、周囲の大人たちは人気があるうちに彼女で稼いでおきたいので、スケジュールは目いっぱい詰め込まれ、実力を磨いているヒマなどない」(芸能関係者)
前田の卒業に際して、ネット上では「あっちゃんが卒業したら前田敦子ファンはどうするのか?」という疑問が話題になった。これに対して「他のメンバーに推し変する」「女優の前田敦子を応援する」という声は意外と少なく、「AKBファンを卒業する」という意見が驚くほど多く挙がっている。前田ファンにとっては、前田がいるからこそのAKBであり、AKBの看板が外れた彼女にも興味はないということなのかもしれない。「顔面センター」などと揶揄され、センターを務め続けることを疑問視されたこともあった前田だが、彼女の存在感は想像以上に大きかったといえるだろう。
「今後、AKBが人気を維持するためには定期的に有力メンバーの卒業を盛り上げるしかない。次はキャプテンを交代させられた秋元才加(24)や柏木由紀(21)が卒業をウワサされており、卒業ビジネスの玉数はそろっている。しかし、名前を知られているメンバーがいなくなれば、メンバーの入れ替えを繰り返したモーニング娘。のように没落する危険性がある」(前同)
また、新組閣で宮澤佐江(22)と鈴木まりや(21)が中国・上海のSNH48、仲川遥香(20)と高城亜樹(20)がインドネシアのJKT48、多田愛佳(17)が福岡のHKT48に移籍することが発表されたが、これもファンの間で物議を醸している。
「ファンとのスキャンダルが発覚した指原莉乃がペナルティとしてHKTに移籍したはずなのに、今回の新組閣で何もしていないメンバーが海外にまで飛ばされたというのは理解しがたい。海外移籍は希望制ということでしたが、運営に命じられれば嫌とは言えないでしょうし、本当に本人が望んでいたのかどうか……。指原は前田の卒業公演にも出演していましたし、スキャンダルがウヤムヤにされたことが一番納得いきません」(AKBファン)
サプライズがAKBの魅力とはいえ、何の前触れもなく推しメンが海外移籍になったファンの心境は複雑だろう。AKB以外のグループの黒字化や資金回収を進めるためそちらの注目度を高める必要性があることは理解できるものの、ファンを置き去りにしてしまえば人気の衰退を早めることになりかねない。
AKBと同じくサプライズをウリにしていたモー娘。は、奇をてらった仕掛けとファンの望むものがかけ離れていき、深刻なファン離れを引き起こした。サプライズに対するファンの拒否反応こそが、水面下で始まっているAKBの人気衰退をあらわしているのかもしれない。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)