クリトリス至上主義は迷信だった!?


※イメージ画像:『クリトリス愛撫教本』データ・ハウス

 男性向けのセックスハウツー本などの、クリトリスに関する記述を読んだことがあるだろうか。

「クリトリスは、男性のペニスに相当する器官」
「ペニスは排尿の役割も兼ねているが、クリトリスは性的快感を得るためだけに特化している」
「そのため、クリトリスで感じない女性はこの世にいない」
「世の中の女性の大半はクリ派である」

 などなど。そういったクリトリス至上主義な情報が錯綜しているため、セックスの前戯ではクリトリス攻めを重視すべきと思わされるが、果たして本当に、ほとんどの女性は「クリ派」なのだろうか?

 一般男女からクリトリスに対する意見を募ったところ、「そもそもクリトリスの位置がわからない」という女性も存在することに驚かされた。女性器は、クリトリス・大陰唇・小陰唇・膣などで構成されているが、どれがどれなのか把握できていない女性もいるようだ。クリトリスから話はそれるが、「小陰唇を大陰唇だと思い込んでいて、ということは自分には小陰唇が無いのではないか? と真剣に悩んでいた」(30代女性)という人も。オトコとしては、「自分のカラダなのにわからないことがあるのか?」と疑問に感じてしまうが、女性の場合は男性と違って、トイレに行っても自分の性器が目に入る構造ではないので、詳細を把握できていないことも十分あり得る。

 なお、「クリトリスの位置がわからない」という人は、男性にもいるようだ。しかも、童貞男性ではなく、非童貞男性でも、クリトリスの正確な位置に関して「正解する自信がない」という。アダルトビデオで学習しようにもモザイクがかかっているので無理、とのこと。さすがに、「裏ビデオで勉強せよ!」と言うわけにはいかないが、昔は男友達から裏ビデオが回ってきたりしたものだ。人付き合いが希薄になりつつある現代では、同性同士で裏ビデオを貸し借りするということがなくなってきているのだろうか。また、女性を大股開きにさせて性器を観察したり、電気をつけた状態でのセックスをリクエストできない草食男性が増えてきたことも要因なのかもしれない。

 男女共に、クリトリスの正確な位置がわからないのに、クリ派云々を語ることは出来ないだろう。

 次に、「クリトリスの位置はわかるが、包皮がぶ厚いためか、ほとんど感じない」という女性。「剥けばいいじゃないか!」とツッコミたくなるかもしれないが、これまた男性にも「クリトリスの剥き方がわからない」という人がいる。これに関しては、「剥く」という表現方法がわかりづらいのかもしれない。「剥く」という表現は官能的ではあるが、むしろ「包皮をスライドさせてずらす」といったほうが的を射ている。

 表現方法はさておき、包皮をスライドさせてクリトリスを露出させようとしても、すぐに包皮が戻ってしまうタイプの女性もいる。そのため男性は、ぶ厚い包皮の上からクリトリスを攻めることになる。結果、女性は包皮の上からの刺激しか知らないため、「クリトリスの快感は世間で言われているほどのものでもない」という認識に至るのだろう。

 そして、「元々、膣派である」という女性。これまた、巷のセックスハウツーには、「若いうちはクリ派、年齢を重ねると膣派」「経験が少ない女性はクリ派、経験豊富な女性は膣派」「クリ派女性は未開発なので、キミが開発してあげよう!」という断定的な記述もあるので、つい惑わされそうになってしまうが、一般女性に聞いたところ、決してそうではないようだ。10代でも膣派だという女性もいれば、経験人数は2~3人という女性でも、クリトリスよりも膣のほうが感じやすいという女性もいる。

 クリトリス至上主義の情報に躍らされて、「(前戯で攻めるに際して)無難なのはクリトリスだな」と思い込んでしまいがちだが、考え方を柔軟にして、「クリトリス至上主義ではない」ということも知識として蓄えておくべきだろう。
(文=菊池 美佳子)

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