宇多田ヒカルも反対! 違法ダウンロード刑事罰化の危険性

※イメージ画像:世界的ハッカー集団「アノニマス」の標的にも。
photo by JacobDavis from flickr

 長期休養中の歌手・宇多田ヒカルが、自身のTwitterで「ダウンロード違法化がなんぼのもんじゃい」とつぶやいたことが話題になっている。

 今月5日、母親・藤圭子の誕生日であることをフォロワーに言及された宇多田は「ブクマしてた母の『面影平野』Youtube動画を久しぶりに観ようとしたら削除されてて大変悲しゅうございます…」「あれ ダウンロード(保存?)しときゃよかった…」とコメントした。

 折しも先月20日、違法ダウンロードの刑事罰化を盛り込んだ改正著作権法が国会で可決されたばかり。同改正法は一部を除いて10月1日から施行される。別のフォロワーから「ダウンロード違法化とかあるから、こっそり言った方がいいですよ」と忠告された宇多田は、「ダウンロード違法化がなんぼのもんじゃい カーチャンのレア映像を保存しかったんじゃ」と言い放った。

 違法ダウンロードの規制強化は、著作権を守るという名目のもの。守られる立場のアーティスト側から意外な爆弾発言が飛び出した格好だ。しかも宇多田は、日本レコード協会の呼びかけで浜崎あゆみら250人のアーティストが違法ダウンロード禁止のキャンペーンを張った参加者の一人。今回の騒動により、名前を貸しただけで実際はアーティストの考えと無関係なキャンペーンだったことが明らかになってしまった。

 違法ダウンロード刑事罰化は、音楽業界からの強い要請を受けて、自民・公明が改正著作権法の修正案として提出し、民主も賛成した。だが、改正法原案の審議が済んだ後に提出され、それから参院合わせて1週間足らずで審議・可決されており、消費税増税法案のドサクサ紛れでもあったために国民としては寝耳に水といった状態だ。

 刑事罰化を歓迎する日本レコード協会によると、違法にアップロードされたファイルの推定ダウンロード数は43億6,000万件に上り、販売価格に換算すると6683億円の損害に相当するという。この数字だけ見ると、ダウンロード違法化もやむなしといった気持ちになるが、音楽市場全盛期だった90年代後半の市場規模が約6000億円だったことを考えると“盛り過ぎ”ではないかとの指摘もされている。

 改正法施行後は、違法にアップされた音楽ファイルなどを“違法と知りながら”ダウンロードすると、罰則として200万円以下の罰金もしくは2年以下の懲役、またはその両方が科されることになる。

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