「能ある鷹は爪を隠す」ということわざがある。鷹は狩りをする際に、獲物に知られないよう、鋭い爪を隠しておくものである。「実力や才能がある者は、それを軽々しく見せつけるようなことはしない」というたとえ。
このことわざを知ってか知らずか、女性の場合、初回セックスではあえて封印するプレイがあるようだ。何度かセックスしている間柄はさておき、初めての男性に対しては、「恥じらいを演出したほうがベター」という思惑があるのだろう。
まずは、フェラチオ。慣れ親しんだ恋人間・夫婦間ならば、前戯の必須事項として、当然のように行なわれるプレイである。初回封印する理由に関しては、「元々、フェラチオがあまり好きではないのに、今後関係が継続するかわからない男性のペニスを咥える気にはなれない」という女性がいた。なるほど、一夜限りの関係で終わる可能性もあるのに、わざわざ自分が嫌いな行為はしたくないということなのだろう。ほか、「初回からフェラチオしてしまうと、今後、生理中も、『口だけで抜いて』と言われてしまいそう」という不安を挙げる女性もいた。
男性側でも、「初回からフェラチオはリクエストしづらい」という考えを持つ人は珍しくない。そのぶんクンニリングスやアナル舐めも封印するとのこと。「セックスはギブ&テイクなのだから、女性側にフェラチオを求めないぶん、自分もクンニリングスする必要はない」というドライな意見もあれば、「初回から(アナルを)舐めてしまうと、アナル舐めが当然の行為と思われてしまうが、舐める側にとってはそこそこハードルの高いプレイなので、ありがたみを持たせたい」という男性も。
次に、体位に関して。騎乗位や後背位は封印するという女性が多いことに驚かされた。「積極的と思われたくない」という懸念があるようだ。男性陣からも、「初回騎乗位女性は(セックスに)慣れていそう」という声が挙がっている。ということは、双方の考えが一致しているということで、初回騎乗位はナシということにするべきなのか? いや、そんなことはないだろう。初回だろうと十回目だろうと、正常位で黙々と腰を振り続けるのは、男性としては体力的にかなり厳しい。
後背位に関しても然り。体位にバリエーションを持たせないと間が持たないという遅漏男性にとって、体位チェンジは必要不可欠! なのに、女性が正常位以外応じないというのは死活問題である。そのためか、「初回セックスでは、射精に至らなくてもやむを得ない」というスタンスの男性も。射精しないのは辛いのではないかと思いきや、意外なメリットもあるようで、「射精してしまうと、初回のみで相手女性に飽きてしまう可能性もあるが、射精しなかったセックスは、一夜限りの間柄にならないケースが多い」とのことだった。
そして、初回セックスでは、「二回戦」を封印するという女性も多い。「がっついていると思われたくない」「相手男性が、一晩で二回は(体力的に)ムリかもしれないのに、求めて気まずい雰囲気にしたくない」など、人それぞれ様々な考えがあるようだ。
フェラチオも体位チェンジも二回戦も、女性側としては、「初回から全力を出してしまうと、スキモノと思われ、二回目以降誘われないかも」という思いから封印しているのだろう。女性に、初回から乱れてもらうには、とにかく「一夜限りで終わらせないですよ」「二回目以降も誘いますよ」というアピールが大切である。「今度は週末に会おうよ」「次はTバック穿いてきてよ」などの言葉や、先にアドレス交換しておくことによって、女性たちは安心し、存分に乱れてくれるだろう。「一発ヤリたいだけで、二回目以降誘う気はない」という場合でも、目先のセックスを盛り上げるには、二回目以降も誘うという姿勢を示唆すべきである。その後の「会いたい攻撃」のかわし方は、個人の力量次第だろう。
(文=菊池 美佳子)