正義はどちらか? 「票は愛」言い切る大島優子とAKB商法を心配する研究生

※イメージ画像:SKE48『アイシテラブル!』avex trax

 6日に東京・日本武道館で開票が行われる「第4回AKB48選抜総選挙」。姉妹グループ含めて過去最多の237人が参加する同イベントは、AKBの27枚目のシングルを歌うメンバーをファン投票で決める。発売中のAKBの新曲「真夏のSound good!」に投票権が付属しており、CDを大量に購入して推しメンに複数投票するファンがいることで知られる。

 今回も大量買いのファンはいたようで、通販サイト経由でCDを1000枚購入した猛者が何十箱もの段ボールにぎっしりと詰め込まれたCDの画像をネット上にアップし、一般ユーザーたちを驚かせた。投票権つきの通常盤の定価は1600円。一部大手で400円ほど値引き販売されていることを差し引いても、120~160万円は使っていることになる。ここまでとはいかなくとも、何十枚も同じCDを購入して推しメンに投票するファンは多く、一種の愛情表現となっているようだ。

 こうした消費行動は、ハッキリ言ってしまえば運営側の思うツボ。メンバーにとっても、一人で大量に投票してくれる“太い客”は有り難い存在だろう。

 だが、こうした大量買いするファンを心配するメンバーが現れ、ネット上で「良い子すぎる」と話題となっている。

 そのメンバーとは、SKE48の研究生・松村香織(22)。松村は姉妹グループの研究生という立場でありながら、今回の総選挙の速報で暫定39位に入った注目株だ。今まで選抜入りの経験はなく、研究生としては年長の22歳という崖っぷちである彼女。AKBのベスト盤『神曲たち』で名字を「村松」と誤記されるなど、少し影の薄い存在だった。しかし、交流サイト「Google+」で始めた動画コーナー「BBQ松村香織の今夜も1コメダ」をきっかけに注目度が急上昇し、「ぐぐたす選抜」にも抜擢された。

 そんな彼女が、握手会を終えた4日に公開した同コーナーで以下のように発言した。

「今回すごく思ったのは、AKBの『真夏のSound good!』の通常盤、劇場盤、SKEの『アイシテラブル!』の通常盤、劇場盤、発売日がほとんどかぶっていて、4つも負担があるんですよ。ファンの方々の金銭的な負担って本当にあると思うんです。その中でCDを何枚も買ってくださったりとか、投票もしてくださったりとか。ほんとに、生活を切り詰めてまで大丈夫なのかな、って凄く思ってて。私は本当に皆さんに無理して欲しくなくて…。そこまでしていろいろ尽くしてくださっていて、私は本当に返せているのかと、とても不安で…」

 途中から涙交じりになった彼女は、握手会でファンから「○票投票したよ」「CDを○枚買った!」と声を掛けられたらしく、その負担を身近に感じたようだ。速報で39位にランクインした自身に入れられた1194票という票数の重みも影響しているだろう。だが、結局は“商売”であるのだから、ファンの消費意欲を抑制するような発言はタブーである。CDを買うことを「負担」と言い切ってしまっているのも、タレントとしては危険な発言だ。

 それでもファンの心配をせずにいられなかった彼女に対し、ネット上では「ええ子やな この子に票入れるわ」「すごくいい子で応援したくなる」「メンバーですら気を使うのに平気で買わせてる運営はヒデーな」といった声が上がった。彼女は握手会での態度が“神対応”といわれるほど評判がよく、その性格のよさが表れたようだ。この発言によって松村の順位がさらに上昇する可能性もあるが、それはファンを心配する彼女の思いと相反するだけに複雑なところである。

 これとは対照的に、今回トップ当選の本命とされる大島優子(23)は、昨年の総選挙の際に「第三者はいろんなこと言います。『投票数を何万(円分)も買って、本当に総選挙と言えるのか、選挙は一人1票じゃないのか』って。でも私たちにとって、票数というのはみなさんの愛です」とキッパリ語っている。CDの売上が大量買いのファンによって支えられている現実がある以上、プロとしては運営側の意も汲んでいる大島の発言の方が正しいだろう。

 だが、本当にAKBが国民的アイドルグループになったのであれば、いつまでも“アコギな商売”を続ける必要はないはず。今回の松村の発言は、一部のファンから絞り取るようなAKBの収益スタイルを変えるきっかけになるかもしれない。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops

 

SKE48フォトブック『放課後、二次元同好会』

 
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