芸能取材歴30年以上、タブー知らずのベテランジャーナリストが、芸能界の裏側に横たわるオトコとオンナの深い業を掘り起こします。
俳優の塩谷瞬の“二股交際”の被害者である料理研究家の園山真希絵が、5月11日に放送されたTBSの『中居正広の金曜日のスマたちへ』に出演。傷心の身のはずの園山は、バラエティ番組のノリに合わせて、塩谷に罵詈雑言を浴びせた上に、番組では再現ビデオまで作成。完全に「ネタ」として扱うその開き直りようを見て、「二股騒動をあそこまで大きくしたのは、園山を売り出すための仕掛けだったのでは?」と疑惑を抱いたのは筆者だけだろうか。
そもそも、二股騒動が勃発したきっかけは、園山が所属する芸能事務所の関係者が、親しいスポーツ紙にリークしたことだとされている。それ以降、マスコミはこぞって、塩谷叩きに走った。それにしても、筆者の記憶では塩谷ほど、女性を股にかけたことで、業界関係者からバッシングの集中砲火を浴びたケースはない。「いい女とやりたいために芸能界に入った」という芸能人を何人も見てきたし、彼らは、いわゆる“世間”の倫理観からはハミ出る行為を堂々としてきた。二股、三股など珍しくないし、そんな彼らをマスコミも所属事務所も、当たり前のように眺めてきた。
ショーケンこと萩原健一は、映画で共演した女優を手当たり次第に口説き落としていた。座長公演を打つような大物歌手なども、妻がいる身でありながら、舞台で共演する女優とのウワサには事欠かなかった。しかし、誰一人、問題にされたことはなかった。それなのに、塩谷のような知名度がない俳優の女性問題が、あれほどの騒動に発展したのが不思議でならなかった。ましてや、被害者の女性が「二股を掛けられた」とマスコミの前に登場し、堂々とそれを話すなどとは聞いたことがない。金銭を詐取されたり、よほど手口が悪質だったりしたなら分かるが、塩谷は単なるだらしない男。そんな男に騙されたなどとは、普通なら、男性経験も積んできた34歳にもなる女性は、恥ずかしくて、名乗り出られないと思うのだが……。
しかし、園山は別だった。『金スマ』に出演して「バカでアホな男と知っていたけれど、このままじゃもっと脱落する。私が教育しないと、この男はどんどんダメになると思った」と語った。バカでアホな男に騙されたことを自己正当化する発言に開いた口がふさがらなかった。しかも、番組では再現ビデオが流された。騒動から、さほど日が経ってないのに、なんと段取りのいいことだろう。そこには、二股騒動をキッカケに園山を売り出そうとする、事務所の魂胆が見え隠れした。
というのも、園山の所属事務所の社長は、酒もたばこもやらない健康オタク。しかも、サプリメントや健康食品が趣味で、それが高じて、これまで健康ビジネスを手がけてきた。さらに、塩谷は、かつてはその事務所に所属し、さまざまな問題を起こしてきた。この事務所を辞め、個人事務所で活動を始めた後も、塩谷は前事務所の名前を持ちだして金集めなどしてきたそうだ。社長も、塩谷には相当呆れていたという。そんな塩谷だけに、他の芸能プロに所属する男性タレントとは異なり、遠慮なく、社長のお気に入りの健康料理を作る園山を売り出すための踏み台にした気がしてならない。相手が、塩谷ではなく、大手芸能プロ所属の売れっ子俳優だとしたら、状況はがらっと変わっていただろう。
しかし、園山が「私、お釈迦様だよね」と言った迷言を聞いて、塩谷と似たようなレベルの女だなと呆れた。どっちもどっち。くだらん男女の二股騒動に踊らされたマスコミがバカだったのかもしれない。
(文=本多圭)
「ナットウーマン。: 納豆でやせる、キレイになる「発酵美人」レシピ63」光文社
ダスト組からスター組へ躍進