5月1日、テレビ朝日は4月の月間平均視聴率で、1959年の開局以来初となる四冠に輝いたことを発表した。四冠とは、午前6時~深夜0時の「全日」、午後7~10時の「ゴールデン」、午後7~11時の「プライム」、午後11時~深夜1時の「プライム2」のことで、それぞれ全日が8.0%、ゴールデンが12.4%、プライムが12.8%、プライム2で8.6%を獲得、各時間帯で首位に立った。
同局は、四冠の要因を「改変期の特番の好調」と「レギュラー番組の底上げ」、そして「スポーツ特番の成功」と分析。4月5日に放送された「キリンチャレンジカップ2012なでしこジャパン×ブラジル女子代表」で17.5%を獲得したことや、21日に放送された「世界フィギュア国別対抗戦2012 女子フリー」での16.2%などが全体の高視聴率につながったとしている。
そんなテレビ朝日が5月も好発進を遂げた。1日に放送された同局の二枚看板バラエティ『ロンドンハーツ』と『アメトーーク!』のコラボ特番が、平均視聴率16.4%という、これまた高い数字をたたき出したのである。人気番組の合体スペシャルとして放送前から話題を集めていた同番組だが、一部では企画のマンネリ化が危惧され限界もささやかれていたところでのこの数字。一桁後半で及第点、10%で合格、15%で万々歳という近頃のテレビバラエティとしては、かなり高い数字だったといえる。
バラエティにとって番組の運命を左右するのは、いかに人気企画を生み出せるかどうかという一点に限る。前述した『ロンドンハーツ』では、「ガサ入れ」「格付け」「マジックメール」といったコーナーが番組の存続を運命付けた人気企画となった。もちろん『アメトーーク!』では「くくりトーク」という企画がそれだ。
そして、こういった人気企画は、番組そのものの企画というより、試行錯誤しながら放送を続ける中で生まれていくことが多い。たとえば、テレビ朝日の人気バラエティでいえば、『お試しかっ!』の「帰れま10」や『Qさま!』の「プレッシャーSTUDY」というものが挙げられる。いずれも、番組開始当初はまったく違った形の内容を放送していたが、ヒット企画を見つけるや、番組そのものの内容を変更させている。
ともすれば企画頼みの安直な番組作りという批判が聞こえてきそうだが、本当に面白い企画はやはり飽きないものだ。しかもそれが出演者とマッチしていれば、放送期間が延びるほどに飽きるというより安心感を与えてくれる。「帰れま10」のタカアンドトシなどは、その好例といえるだろう。テレビ朝日の言う「レギュラー番組の底上げ」とは、まさにこうしたヒット企画が、放送開始から数年を経て、視聴者に安心感を与え始めていることを示している。
平日夕方の各局ニュース番組が並ぶ時間帯でも、『スーパーJチャンネル』がトップを獲得したテレビ朝日。朝の時間帯こそ、フジテレビの『めざましテレビ』『とくダネ!』にトップを譲ったが、固定ファンの多い連続ドラマシリーズは健在。特に、例年通りなら秋からスタートするであろう『相棒シーズン11』は、新相棒に成宮寛貴が決まっていて多くの期待が寄せられている。バラエティならフジテレビというのも今は昔。2012年の年間視聴率を独占するのはテレビ朝日かもしれない。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
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