「顔が見えないから後背位はイヤ」というオンナたちの持論とは

※イメージ画像 photo by bildwunsch from flickr

 日本の常識と、世界の常識が必ずしも一致するとは限らない。その代表的な事柄といったら、なんといっても食文化だろう。刺身のように、魚を生で食べる習慣に驚く外国人も多いし、意外なところでは、スパゲティをフォークとスプーンを使って食べるのも、日本独自のスタイルだという。スパゲティ発祥の地・イタリアでは、フォークのみで食べるものだ。

 食文化のみならず、セックスにおいても、海外との感覚の違いはある。むろん、「ペニスを膣に挿入する」という基本的な部分は同じであるが、挿入する際の体位に違いがある。世界的に、もっとも多く行われている体位は、騎乗位とのこと。次いで、僅差で後背位。正常位は第三位と、意外と順位が低い。日本人とて騎乗位や後背位でセックスを行なうことはあるが、やはりメジャーな体位といえば、なんといっても正常位だろう。前戯を終えていざ挿入という際に、いきなり背後から、という人は滅多にいないはずだ。「最初のデート代は男性が支払う」という感覚と同じように、「最初の体位は正常位で行なう」というのが定着しているのが、我が国のセックスの特徴なのかもしれない。

 とはいえ、正常位とは、実はオトコにとってはそれなりにハードな運動である。正常位といっても、様々なバリエーションが存在するが、やはり腕や膝にはそこそこ負担がかかる。また、正常位だけで黙々とセックスを続行するというのは、気分的にも肉体的にも飽きが来るので、いざ体位を変えようとすると、「後ろからはイヤ」と駄々をこねる女性も存在するので困ったものだ。これが、まだセックス経験の浅い女性が言うならまだしも、それなりに経験豊富であろう遊び慣れした女性でも後背位を拒むことがある。これには、驚かされるというよりも、怒りすらこみ上げてくるという男性もいるだろう。

セックスの体位の中でも有名な後背位 セックスの体位の中でも有名な後背位。バックとも呼ばれるこの体位で「もっと興奮したい」「彼女をもっとイカせたい」「後背位にはどんな種類があるの?」と考えたことがある男性も多いのではないだ

 彼女たちは、なぜ後背位を拒むのだろうか? 後背位を苦手とする女性に意見を求めたところ、「奥まで深く入りすぎて痛い」「アナルが見えるので恥ずかしい」「顔が見えないからイヤ」などの声が挙がった。

 奥まで深く入りすぎるため性交痛が生じるというのは、膣の位置や角度によっては、確かに痛みを伴うことがあるのかもしれない。アナルが見えることに対する羞恥心も、「彼氏が、あわよくばアナルにも挿れたがっているので、万が一を思うと、うかつに尻を向けられない」などの事情があるようなので、なんとなく理解はできる。しかし、「顔が見えないからイヤ」とは、いったいどういう心理状況なのだろうか。「顔が見えないと寂しい」「顔が見えないとキスが出来ない」など、セックスにおいて、顔が見えるか見えないかという点を気にする女性は意外と多い。しかし、前戯の時点では、あんなにも「電気を消して」と、己を見られることに恥じらいを持っていた女性たちが、挿入になると途端に「顔が見えること」を重要視するのだろうか? 挙句、そこまで言うなら、男性側の顔をちゃんと見ているのかと思いきや、目をつぶっていたりもするから、女心は難しいと、頭を悩ませている男性も多いだろう。

 目をつぶるくらいなら、バックでガンガン突かせてくれ! と言いたいところだが、どうやら彼女たちは、「男性の顔を見たい」のではなく、「自分自身の顔を見せたい」ようだ。というのも、「顔が見えないから後背位が苦手」と言った女性たちは、美人が多かった。もちろん、誰一人として、「セックス中も、アタシのキレイな顔を見てほしいの!」などと高慢チキなことを言う者はいなかったが、深層心理には、そういった自我が隠れているのかもしれない。

 確かに、美人が感じまくって乱れる表情は、オトコにとってはたまらない興奮材料になる。しかし、よく見ると、感じすぎてアヘ顔になっていたり、半目になっていたり、二重アゴになっていたり、滑稽に感じることもある。そう考えると、どんなに美しい女性であろうと、正常位にばかり固執しないで頂きたいものだ。

 ただし、美人に対して、「今の表情が滑稽だから、ドギースタイルになって」と言うわけにはいかない。よって、後背位も楽しみたいという男性は、美人でない女性を選ぶと良いだろう。容姿に自信を持っていない謙虚な女性なら、感じまくっている顔が滑稽に見えることも、自身で充分にわかっているはずである。悦んで後背位に応じるであろう。むろん、「後背位を楽しみたいから、美人でないキミを選んだ」などと本音を言ってしまうのはナンセンス。あえて理由は明かさないのがセックス紳士の嗜みである。
(文=菊池 美佳子)

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