◆メーカー:桃太郎映像出版◆品番:MSBD-002◆時間:90分◆価格:2,980円
AVをスマホでさくっとストリーミングして楽しむ人が増えている中、あえて劇場で鑑賞して欲しいと主張するエロスの匠たちがいる。匠たちの正体は、老舗AVメーカー・桃太郎映像出版の監督陣。AV史始まって以来の試みとして、AV作品を一般劇場でフル公開するという特別イベント(※)を、今年3月よりスタートさせた。
※この作品の劇場公開イベントは終了しています。次回作の上映スケジュール及び上映作品についてはメーカーサイトにて発表。
その世界観は、これまで我々が親しんできたAVとは明らかに毛色が違っているばかりか、先人たちが楽しんできたピンク映画とも違っている。描かれるテーマは、メインタイトルでもある『むさぼる』。常識や倫理を逸脱し、男が女をひたすら“むさぼる”情景を、複数の監督がそれぞれの感性で造りあげていくシリーズ企画で、その作風はどれも異様なもの。出演者は男と女の2人きり。この、喰うものと喰われるものが織りなすセックスは、純愛であるのか、狂愛であるのかさえ分からない。
第一弾として登場した『むさぼる 拉致・監禁・拘束・中出し、そして… 加藤ツバキ』(2012.3.7リリース)では、余命宣言された初老の男が、同じ団地に住んでいると思われる美人妻・ツバキを拉致監禁し、鼻の穴まで舐めまわし、昼夜を問わず犯し続けるという衝撃作。この作品で監督デビューを遂げた神吉甚作氏は「女の人の最高に優しい顔を描きたかった」とコメントしており、事実、舞台となった薄暗いボロアパートの中で散々いたぶられ続けていたツバキは、最後に聖母のような神々しいオーラを放つことになった。
AVが芸術作品と肩を並べることができるとは思わないし、そもそも肩を並べる必要もない。けれど、どうしても心理的には芸術作品に触れたかのような衝撃がこみ上げてしまい、そんな自分に動揺すらしてしまった。あくまで劇場の大スクリーンで鑑賞した時の感想ではあるが……。
さて、今回紹介する第2弾は、さらなる動揺と興奮と悦楽を感じずにはいられなかった問題作。主人公は元高校の美術教師とその美しい教え子・ありさ。
美しいカラダをこの手で描きたい――。
数年来、そう心に秘めていた想いを果たすべく、元美術教師は社会人となったありさを拉致監禁する。彼は彼女に睡眠薬を飲ませると、全身をラップでぐるぐる巻きに拘束し、その寝姿を熱い眼差しで見つめながら、キャンバスに筆を走らせていく。やがて目を覚ました彼女は、怒り、嘆くが、諦めを覚え始める。ただ男の欲望のままに貪られ続けたありさは、遂には彼の愛を受け入れ、拘束を解かれた後も部屋に留まり、彼の描いた絵を静かな眼差しで見つめる。しかし、そこには、恐るべき事実が隠されていた。
といった“こだわり”の部分は多々あるものの、作品中に行われるプレイはどれも本格“AV仕様”。ラップ拘束ファック、玩具イカセ&放尿、ディープスロート、手錠拘束セックスなどハードコアセックスが続く。さらに、油絵具を美しい尻に塗りたくっていくメッシープレイなど、フェティッシュな興奮も煽り立てていくので、ヌキ目的で鑑賞するのも勿論OKである。
AVにひと時の快楽以上のものを求める、真のAVマニアにお奨めしたい新シリーズ。ただ消費されるだけのAVとは違う、深い興奮がこみ上げる新体験をぜひ味わっていただきたい。
(文=文月みほ)
そこに愛はあるのか!?