九州~関東地方の桜は見ごろを終え、今はもう葉桜になっている地域がほとんどだろう。そして北日本は、まさにこれからが開花という時期で、花見気分も高まっているとは思う。それにしても、花見の際に、我々を悩ますのが、場所取りでも買い出しでもゴミ処理でもなく、なんといっても「トイレ」である。女子トイレはもちろんのこと、普段は混まない男子トイレも、これでもかというくらい行列ができる。
東京で、一番の見ごろを迎えた4月第1週目の週末などは、ツイッターにおいて「トイレ待ちの苦悩」を呟いている人の多さに驚かされた。「トイレ待ちの行列ハンパねえ。はよ出てくれ……」「トイレ待ち過ぎ。笑えない。もう限界」「漏れる3秒前。危機! ヘルプミー」など。読んでいるぶんには面白いのだが(失礼)、筆者も翌週代々木公園においてトイレ待ちの地獄を味わい、「桜は確かに美しいが、もう花見はこりごり」とさえ思ったものである。
そして、あまりにも待ち時間が長いと、人間は理性を失うものである。女子トイレの行列では、「男子トイレ入っちゃおうか?」という会話が多々聞かれた。いわゆる、オバチャン的発想である。男性の場合は、「女子トイレに入ろう」と思う人はいないだろう。女子トイレのほうが混雑しているのは、火を見るより明らかだ。よって男性の場合は、「おまるを持参するべきだった!」「おまるは言い過ぎだが、オムツをして臨むべきだった!」という思いが脳裏をよぎったという人のほうが多いのではないだろうか?
むろん、そういった極限状態で浮かんだ発想は、用を足し終えるとまたたく間に消えるものである。だが、花見のトイレ対策ではなく、オムツの着用に積極性を示す者も存在する。そう、オムツプレイの愛好家だ。
オムツプレイとは、オムツを着用し、排泄をすることで興奮を得るプレイのこと。オムツは、乳幼児が着用するものである。それを、成人であるにもかかわらず着用することによって羞恥心を楽しむのがオムツプレイの醍醐味だ。一見、Sッ気の強いカノジョがいなければ成立しないプレイにも思えるが、単独男性でオムツプレイを楽しんでいる者も存在する。ひとり、誰に見られることもなくオムツを着用し、その中で排泄し、悦に入る。さながら、オムツオナニーといったところだろうか。「一人だろうとカップルだろうと、要するにスカトロか!」と思う人もいるだろうが、スタンダードなスカトロプレイに比べて汚れる範囲が一点に集中しているため、スカトロよりもハードルは低い。また、「排尿はOKだが排便はNG」など、各々がこだわりを持っており、中には「オムツを着けていることに興奮するだけで、排泄は小も大もNG」という人もいる。
細かい分類はさておき、とにかくオムツを着用するのがオムツプレイの基本である。風俗店のオプションメニューで見かけることはあっても、体験したことがある人は少ないだろう。オムツプレイとは果たして気持ち良いものなのだろうか? オムツの醍醐味を、経験者に聞いたところ、なんといっても「トイレ以外で排泄をする」という非日常感がたまらないのだという。毎日、会社と家の往復で、これといって趣味もないという人は、オムツプレイを取り入れてみるのも一興かもしれない。パートナーがいるという人からは、オムツを着けてもらうことが楽しいという意見もあった。普段の洋服を着せてもらうこととは全く別物とのこと。「子供に返る」ようなものなのだろう。確かに、童心に返りたくても、児童公園で砂場遊びをするわけにもなかなかいかないので、室内で行なえるオムツプレイはお手軽なのだろう。ほか、「オムツを装着した姿に萌える」という声も挙がった。下半身まわりがだいぶボリューミーになるわけだが、その状態が可愛いのだという。そういえば一時期、女性のファッションで「かぼちゃパンツ」が流行ったことがあるが、それと似た美意識なのかもしれない。
次の疑問は、オムツプレイに用いるオムツはどのように調達しているのか、という点。これに関しては、マニアプレイ専門店でなくとも、一般的なドラッグストアで販売されている大人用の紙オムツで充分らしい。ところで、赤ん坊の場合は、紙オムツよりも布オムツのほうが、オムツ離れのトレーニングには有効だという説がある。紙オムツは、各メーカーの企業努力の賜物で、着け心地が良すぎるため、赤ん坊がオムツを快適に感じてしまうというわけだ。赤ん坊はさておき、大人のオムツプレイにおいては紙オムツを推奨する人がほとんどだった。大人の場合は、尿の量が多いので、布オムツで万が一漏れてしまっては、大惨事である。
最後に、おむつプレイの注意点について。排泄後は、速やかに交換すること! これに尽きるそうだ。排泄したまま、しばらくそのままでいたい、という嗜好の人もいるだろうが、やはり肌がかぶれるなどのトラブルもあるという。室内はまだしも、屋外で行なう際は、すぐに公衆トイレが見つかるとも限らない。初心者はまず、屋内から試すのが無難である。
(文=菊池 美佳子)