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3月25日にカンボジア・オリンピック委員会から同国代表としてロンドン五輪出場が発表された猫ひろし。出場決定の翌日には日本で会見を開き、「スタートは“ニャー”で勢いをつけて、ゴールした後に、最高の五輪一発ギャグをできるように頑張ります」と話すなど出場の意気込みを語っていた。ところが13日、猫が五輪に出場できない可能性が浮上した、と複数のメディアが伝えている。
猫の五輪出場に“待った”をかけたのは、国際陸上競技連盟。国陸連は、1912年のストックホルムオリンピック後に設立され、競技規則の整備と世界的な競技大会の運営を統括している団体だ。
この国陸連では、国籍を変更した出場選手に対し規定を設けている。今までは、国や地域での代表経験を持つ選手に対し、新国籍取得から原則3年間は国際競技会に出場できないというものだった。しかし今年からは“代表経験がない選手”に対しても新しく規約が定められたという。この新規約では、国籍取得後1年が経過していない選手が出場するには、【1年間の連続した居住実績】か【国際陸連理事会による特例承認】のいずれかが必要になるとのこと。
猫は昨年11月にカンボジア国籍を取得しているため1年に満たず、同国に1年を通して居住した実績もないと思われる。そうなると、特例承認を受けるべく申請を行わなければならない。しかし、認められるために「重大かつ意義深い理由」がなければならず、猫に申請が下りる可能性は低いようだ。彼の所属事務所は、スポーツ紙の取材に対し「全く知らなかった。(マスコミからの)問い合わせで初めて知った」と答えているという。
五輪出場が危ぶまれ始めた猫。しかし、この事態に対しネット上では国陸連を賞賛する声も挙がっている。それは、猫の五輪出場に関しては、さまざまな批判が伝えられていたためだろう。
まず、元五輪銀メダリストの有森裕子は「日本人に代表を譲る(カンボジアの)若い選手の心中を思うと悔しい」と読売新聞に取材に対しと訴えていた。彼女はカンボジアを支援するチャリティーマラソンを企画するなど交流を深めてきたこともあり、同国の選手たちを慮っての発言だったのだろう。
そんなカンボジアの代表候補でもあるヘム・ブンティン選手は、「週刊新潮」(新潮社)のインタビューを受け、猫の代表決定は「彼の出場権は金で買われたもの」と非難している。そして、猫の国籍取得を支援したのは堀江貴文の右腕を自称するW氏の妻が社長を務めているK社で、同社からは同国五輪員会へ2万3,000ドル(約186万円)の金が流れたと伝えている。またW氏は、ブンティン選手に対し買収金ともいえるスポンサー契約を持ちかけるなどしていたという。
「五輪出場が決定すれば、用具の契約金などで1億円が入るなどと報じられましたが、白紙に戻されそうですね。猫は会見で、『批判している人が間違っているともいえません。僕を応援してくれる方もいますし、その半面厳しいご意見をいただくことも当然ある』と真摯に語っていました。ですが、報じられた通り、お金で五輪出場枠を買ったことが事実ならば、さらにバッシングが増すことは間違いない。これ以上マズイことが報じられる前に、国陸連の規定に従い辞退するのもありだと思いますが……」(芸能ライター)
今回突如として猫の前に立ちふさがった国陸連。現在、猫は日本でトレーニングを積んでおり、その模様をTwitterで伝えているが、この問題に関しては現時点(14日19:30)触れていない。彼はどのような決断を下すのか注目が集まる。
(文=本山文七)
どこに向かっているのだろうか?