お笑いコンビ・アンガールズの山根良顕(35)に「強姦された」とする告訴状をネット上に掲載したとして、神戸市の自称パート従業員・河本順子容疑者(33)が逮捕された。河本容疑者は、大阪市内のホテルにデリヘル嬢として派遣された際に山根に強姦されたとして、実際に淀川署に告訴していた。
警察の取り調べで河本容疑者は「償いがほしかった」と供述しているが、乱暴は事実無根であり、歪んだファン心理が引き起こした犯行だったようだ。
この告訴状がアップされた当時、真偽を確かめることもなく「山根逮捕キター!」「大人しそうなキャラなのに強姦かよ」「意外とああいう奴が性犯罪をやるんだよ」などとネット上で大きな話題になっていた。真偽不明の情報があふれ、情報の拡散スピードも速いネットの落とし穴といえるだろう。
ネットが生んだ”冤罪”といえば、お笑いタレント・スマイリーキクチ(40)の事件も記憶に新しい。10年ほど前、スマイリーが1989年に東京・足立区で起きた「女子高生コンクリ詰め殺人事件」の犯人の1人であるという書き込みが巨大掲示板・2ちゃんねるで話題になった。
犯人とする根拠は、スマイリーが足立区出身で元不良らしいというだけの信憑性の乏しいものだったが、この書き込みは瞬く間にネット上で拡散された。その後、元警視庁刑事で作家の北芝健氏(年齢非公表)が自身の著書で、同事件の犯人が出所後にお笑いタレントとしてデビューしたと記したことが、その騒動を加速させることとなった。
スマイリーは同事件とは全くの無関係であったが、これらが元になり彼のブログに誹謗中傷が殺到。2009年にブログに「殺人犯」などと書き込んでいた男女18人が名誉棄損等の容疑で立件され、約10年の歳月を経て彼の潔白が周知されることになった。
また先日、15歳の少女が人気4人組ロックバンド・神聖かまってちゃんのボーカル・の子(26)と性的関係を持ち、妊娠したとネット上に書き込んだ騒動もあった。事実であれば淫行事件にまで発展する可能性もあったが、事務所の聞き取り調査により、少女の主張は事実と異なる部分が大きく妊娠も虚偽であったことが判明している。
ネットは個人が情報を広めることもできるツールであるが、悪意ある人物が使えば簡単に誰かの名誉を傷つけることができる。誹謗中傷に晒されることで実生活にまで影響が出ることもあり、「ネットの噂話だから」と片付けることもできない。これ以上、心ない者たちのネットの悪用によって”冤罪”が生まれないことを祈りたい。
(文=佐藤勇馬/Yellow Tear Drops)
『突然、僕は殺人犯にされた~ネット中傷被害を受けた10年間』
スマイリーの魂の叫び!