先頃発足した野田改造内閣で、”さっそく素人ぶりを露呈した”とマスコミに突っ込まれた田中直紀防衛相。またしても、鳩山前々首相や一川前防衛相同様、沖縄県民に大きな不信感を抱かれる船出となったが、現在の沖縄風俗には迷走する政治抜きには語れない直近の歴史がある。
民主党政権が誕生する以前の沖縄には、ヤシの木揺れる南国リゾートという表の顔のほかに、「日本一のちょんの間アイランド」という夜の顔があった。
ウチナー(島民)の間で通称”新町”と呼ばれていたのは、那覇市内からクルマで20分ほどの普天間基地近くにある真栄原(まえはら)社交街。そこは戦後、普天間基地に付随して誕生し、米兵相手の色街からちょんの間へと移り変わった歓楽街だった。最盛期には200軒程の店が並び、20代の若くてカワイイ女のコと15分たった5,000円で遊べる、日本一格安な美女ちょんの間街だったのだ。
ところが、鳩山総理の「最低でも県外」発言で基地の移転気運が高まるや、真栄原社交街への摘発が頻発し、記者が取材に訪れた一昨年5月末の時点で営業していた店はわずか20軒ほどとなり、同年夏には壊滅となってしまった。
その後、真栄原社交街で働いていた女のコや遊んでいた客たちが移動したのは、さらに北の沖縄市にある沖縄第二のちょんの間街・吉原社交街だった。
そこもやはり嘉手納基地に隣接する色街で、真栄原社交街ほどは人気のない暗いちょんの間街だった。しかし、真栄原が縮小すると吉原は逆に賑わい始め、真栄原壊滅直前には、そこが日本とは思えないほどハデで賑やかなちょんの間街へと変貌していた。そのヤリすぎた光景にはさすがに危機感を感じたが、そのせいか案の定、吉原にも摘発が始まり、昨年夏にはほぼ壊滅状態となってしまった。
二大ちょんの間がなくなった後の現在の沖縄風俗の主役は、辻のソープランドである。表風俗ではあるが、しかし、そこにも問題が浮上している。それは強引な客引きとボッタクリ問題である。
観光客の多い沖縄の歓楽街の客引きの数は凄まじく、飲み屋街の松山を歩くと、次から次へと客引きが現れては、居酒屋、キャバクラにおさわりパブはもちろん、隣町の辻にあるヘルスやソープにまで誘惑してくるのだ。ボッタクリのクレームは、そういった客引きやタクシー運転手に連れて来られた客からが多い。
沖縄ソープの料金相場は総額50分1万6,000円である。彼らはそれに2,000円や3,000円上乗せするのは当たり前。悪質な場合は、連休だからという理由で総額2万円ほども取るという。さらに、店に電話で女のコの出勤状況や料金の確認をしただけで、指名料や予約料を上乗せされたという話も聞く。
正規料金で営業している優良店も多いだけに、非常に残念な状況であるが、対策としては、あらかじめ雑誌やネットで行きたい店と料金を調べ、予約しておくのがベストだ。予約していない場合でも、客引きよりは近所にある無料紹介所で紹介してもらう方が安心である。
また、ソープだけでなく箱ヘルも多数出店している。本番NGながら、ソープより若くてカワイイ女のコがいると評判。昨年秋には博多から有名な「トクヨク」(博多でいうところのヘルス)のチェーン店が出店して話題となっている。
ソープが現沖縄風俗の王道なら、裏道は連れ出しスナックである。ソープ街から道を1本隔てた大駐車場付近には、連れ出しスナックが数軒ある。
外観は普通のスナックだが、女のコとしばらく飲んだ後、気に入れば近くのラブホに連れ出して遊ぶことができ、料金は女のコ次第。店内では金額の相談は御法度となっているが、飲み代と連れ出し料、ホテル代全て含めて3~4万円というところ。ソープの倍程かかってしまうが、日本人の若い女のコのいる連れ出しスナックは全国的にも珍しく、さらに地元沖縄の女のコと飲んで遊べることもあり、観光客には人気となっている。
ちなみに、彼女たちの間では「観光パブ」や「デートクラブ」などと呼ばれ、入れるのは県外から来た観光客のみ。理由は、”島民だと顔バレするから”というあたりが、本州の文化とは大きく違う。情報は無料案内所でも教えてくれる。
他に、栄町市場付近に小さなちょんの間街があるが、数も少なく熟女中心。松山の隣町の前島には本サロがあるが、現在は客も店も激減している。不思議なのは、デリヘルには若いコも多く、プラス5,000円で本番できる場合が多いにも関わらず人気が薄いこと。観光客が宿泊しているホテルに呼べない場合、ラブホを使わねばならないことが原因と思われる。
今年5月には返還40周年を迎える沖縄。イベントも多数予想され、沖縄に行かれる男性も多かれと願うが、ボッタクリ店の餌食になることだけは気を付けて遊んでいただきたい。
(文=松本雷太/著書『超おいし~日本全国フーゾクの旅』宝島社)
【ニッポンの裏風俗 バックナンバー】
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第2回 顔見せが無くても人気の新地…大阪五大新地