2011年、業界内評判の高かったお笑い番組トップ3は

 年の瀬も押し迫ったこの時期、雑誌やテレビでは「今年流行った○○」という特集がよく組まれる。今記事でも季節感を出して1年を振り返りたいと思う。取り上げる内容は「2011年 業界内で評判だったテレビバラエティー」について。あくまでも「業界内評判」なので、視聴率云々や社会的ブームの度合いがどうだったかということに留意していない。そのため根拠となる具体的な数字は示せないが、業界関係者らの話を元に記者が総合的に判断し、今年業界内で評判だった番組のトップ3を選出させていただいた。

第1位
『クイズタレント名鑑』(TBS系)

※画像:「クイズタレント名鑑」(TBS系)公式HPより

 2010年夏からレギュラー放送を開始した同番組は、多くの業界関係者が「一押し」「見なければいけないバラエティー」と口を揃える。今春から始まった番組の人気企画「ガチ相撲」は、当然ながら同時期に発覚した大相撲の八百長問題を痛烈に皮肉ったものといえる。そして、その”ガチ”という命名には、「そもそも大相撲とは”ガチ”じゃないでしょ」と言いた気なニュアンスがある。さらにそのニュアンスは、多くの視聴者が思っていることでもある。つまり『タレント名鑑』は、声にならない視聴者の声を敏感に聞き取り笑いに昇華する番組なのだ。だから多くの業界関係者が必見と言うのだろう。

第2位
『ほこ×たて』(フジテレビ系)

※画像:「ほこ×たて」(フジテレビ系)公式HPより

 昨年秋に深夜枠で番組をスタートさせ、今年の10月よりゴールデンタイムに進出した同番組。放送開始当初から、業界内の評判は高かった。ゴールデンタイムに上がってから、少しネタ切れの感もあるが、それでも、番組コンセプトの素晴らしさから業界関係者の評判は高い。また、今年ヒットしたバラエティーといえば『シルシルミシル』(テレビ朝日系)などの工場見学系が浮かぶが、同じく中小企業の人々を取り上げた『ほこ×タテ』は、他の企業紹介バラエティーより、さらに深い人間ドラマが堪能できる構成になっている。

第3位
『マツコ&有吉の怒り新党』(テレビ朝日系)

※画像:「マツコ&有吉の怒り新党」(テレビ朝日)公式HPより

 先日当メンズサイゾーの記事(「2011勝手にお笑い芸人ヒットランキング」https://www.menscyzo.com/2011/12/post_3324.html)で今年の芸人MVPを有吉弘行に選出したが、その有吉をメインに据える同番組も業界内の評判は高かった。震災以降、いたるところでバラエティーの存在意義が問われたながら、飛躍的に活躍の場を広げた有吉という芸人。彼の、刺激的ながらも率直な本音に裏打ちされた笑いは、『怒り新党』という番組で大きく花開いた。偏った放送や国政への不信感に嫌気がさしている多くの視聴者は、そんな有吉の笑いで癒されているのだろう。業界関係者としては、有吉が次にどこに笑いを向けるかチェックしているという。

 以上の3番組に共通するのは「視聴者」というキーワードだろう。視聴者の声を代弁するかのような構成の『タレント名鑑』に、いち視聴者であった名もなき人々にスポットを当てた『ほこ×たて』、そして視聴者の怒りをテーマにする『怒り新党』。常に視聴者というものを意識している業界関係者からの評判が高かったのも頷ける。ただ、上記の番組ももちろんそうなのだが、この結果はあまりにも視聴者を意識しすぎてはいないだろうか。テレビ番組としてそれは当然のことなのかもしれないが、視聴者に寄り添いすぎている気がする。2012年には、視聴者を置き去りにするようなバラエティーが出てきてもらいたい。

 番外編として、2012年に注目すべきバラエティーとして、多くの関係者が『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)を挙げた。毎年のように打ち切りのウワサが出る同番組だが、今年は年間平均視聴率13.9%を獲得。バラエティーの年間平均視聴率ランキングで久々のトップ10入りを果たしている(『日経エンタテイメント!No.178』調べ)。今年に入ってから続々と新企画を打ち出し、以前の「食わず嫌い」一辺倒からやや脱却した様子も伺える『みなさんのおかげでした』。島田紳助の引退した翌年になる来年、これまで視聴者の先に立ってきたとんねるずという東の大御所がどんな活躍をするのか、確かに注目だ。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/
著書『松本人志は夏目漱石である!』(宝島社新書)

 

『とんねるずのみなさんのおかげでした 博士と助手 細かすぎて伝わらないモノマネ選手権 Season2 Vol.2』

 
来年は注目!?


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