ひと昔前と現在では「エステ」に対する感覚がずいぶん変わってきている。以前は、一部の美容意識の高い人や富裕層・芸能人など、限られた人々だけのものだった。しかし最近では、一般女性の中にもエステを気軽に利用する人が多くなってきている。これにはおそらく、エステティックサロンが増えたことによる価格競争で、一般人でも通えるようなリーズナブルな価格帯になってきたこと、もしくは「安くなくとも、美容にお金をかけたい」と考える人が増えてきていることの表れであろう。
こうした動きは、何も女性に限ったことではない。「メンズエステ」といわれる、男性向けのエステも目立つようになってきた。メニュー内容は、肌を整えたり、ボディシェイプだったり、女性版エステとほぼ変わらない。「日本男児たる者、見た目なんぞ気にしないもの」という考え方はもう古いようだ。
なお、男女共に最近の傾向として特に強いのが、「脱毛」をする人が増えてきたということである。女性の場合は、ワキや手足など、ファッションにおいて気になる部分を永久脱毛し、日々の手入れをラクにしたいという理由が多いようだ。そしてアンダーヘア。水着や小さめの下着を履く際に気になるVラインだけでなく、性器サイドのIゾーンや、肛門周りのOゾーンも含めて永久脱毛しているという女性も珍しくない。いわゆる、パイパン状態にしているということ。
男性の場合は、「毛」というと、頭髪を気にする人がほとんどだろう。薄毛に関する悩みや不安は遅かれ早かれやってくるもの。できれば、いくつになってもフサフサな状態でいたいと思うのが男心である。ところが、頭髪はフサフサ状態を望む割に、ボディのほうは女性と同様にツルツル状態を求める男性もいるようだ。メンズエステのメニューでも、フェイシャルエステやボディシェイプ以上に、脱毛に関心が集まっている。
脱毛する部位は、女性と同様に手足だったり、男性特有の部位としては、やはり胸毛やヒゲを気にする人もいるようだ。では、女性がパイパンにするように、男性の陰毛処理も行なわれているのだろうか? これに関しては、「アンダーヘアの処理は女性のみで男性は受け付けていない」というサロンもあるが、探してみると医療脱毛(皮膚科など)で、男性のアンダーヘアも請け負っているところがあるので、興味がある人は探してみるといいだろう。とはいえ、女性のアンダーヘア施術に比べるとまだまだ数は少ないようで、そのためか筆者の周りでは、「自宅で自己処理している」ケースがほとんどだった。
それにしても、胸毛やヒゲを気にする気持ちは分かるが、男性が陰毛を処理したがるのはいったい何故なのだろう? 陰毛処理の経験がある男性に話を聞いてみると、「フェラチオの際、剛毛すぎると女性に申し訳ない」という意見が圧倒的多数だった。実に細やかな心配りである。カノジョだろうと風俗店の女性だろうと、相手を思いやって、ツルツルとまではいかなくても、ハサミでカットしているという男性は決して珍しくない。また、陰毛をすっきりさせたことによって、ペニスが大きく見えるという視覚効果もあるとのこと。デカチン好きな女性を相手にする際は、陰毛処理を取り入れ、視覚のマジックを有効活用するというのもアリだろう。
ほかには、「オナニーの際、陰毛が生えていないほうが、ペニスの感覚が研ぎ澄まされる気がする」という声も聞かれた。なるほど、確かに皮膚感覚としては余分なものがないほうが感じやすいのかもしれない。
仮性包茎の男性からは「皮と亀頭の間に陰毛を巻き込まないように」という切実な理由が挙げられた。そういえば、仮性包茎でなくとも、コンドームの装着時に陰毛を巻き込んでしまうことがある。手先が器用でない人は、陰毛処理をすると、諸々スムーズにことが運べるようになるだろう。
衛生上の観点から陰毛処理している男性もいる。特に肛門周辺は、排泄後のことを考えると、毛がないほうが絶対にいいと言いきる人もいた。そう、陰毛とは何もペニス周りだけではない。肛門や陰嚢にまで気を配る男性も珍しくない。陰嚢といえば、「陰毛を処理したほうが風通しが良くなるので、精子の製造に適している気がする」という意見もあった。
これら、男性陣の努力を、女性たちはどのように捉えているのだろうか? 「オーラルセックス時は、陰毛が少ないほうが舐めやすい」という好意的な声の一方で、「男性がきっちり処理しているのは、女性にとってはプレッシャーである」「処理していないほうが男らしくていいと思う」「盲腸直後かと思ってしまい、何も聞けなかった」という戸惑いを見せる女性も。
いずれにせよ、性器周辺は非常にデリケートな部位である。もし処理するのだったら、くれぐれも衛生と安全に配慮して臨んで頂きたいと切に願う。
(文=菊池 美佳子)