「不倫」と聞くと、おそらくほとんどの人が、「配偶者以外の異性とセックスをすること」を思い浮かべると思う。しかし、本来の意味は、「人の道や倫理から外れた行ない」を指す。それがいつから、「配偶者以外と異性とセックスをすること」というニュアンスが強くなったのかというと、やはり80年代の大ヒットドラマ「金妻(きんつま)」の影響が大きいだろう。不倫を題材にしたドラマは、これ以外にも「失楽園」「愛の流刑地」なども記憶に新しい。また、有名芸能人の「不倫は文化」発言や、米国大統領が実習生の女性と執務室で性的行為に及んだ際の「不適切な関係」という言葉なども、「不倫」という行為の知名度を高めた要因の一つかもしれない。
近年では、不倫専用のコミュニティサイトやネット掲示板なども多数登場し、それらの影響からか「不倫=カラダだけの割り切った関係」というイメージが強まってきているように感じる。金銭などのやりとりをせず、お互いの肉体的欲求を満たす、という意味での「割り切り」だ。
しかし、性的関係に重点を置かない不倫も存在する。第一の目的が、お互いのカラダではない、「愛」のある不倫。つまり、「婚外恋愛」ということである。婚外恋愛の有無について訊ねてみると、男女共に多くの人が「ある」と答えたことに驚かされた。念のため、「カラダ目的ではなく、そこに愛はあるのか?」と2度聞きしてみたのだが、イエスとのこと。多くの人が経験している婚外恋愛とは、いったいどのようなものなのだろうか? ここでは、性的欲求が第一目的であるパターンを「不倫」、恋愛感情が伴うものを「婚外恋愛」と仮定して、後者のほうについて紐解いていきたいと思う。
まず、婚外恋愛に至る理由について。不倫の場合は、肉体関係に発展することを期待して、先述のコミュニティサイトやネット掲示板にアクセスする、という人が多い。対して婚外恋愛は、「ひょんなことから」陥るパターンが中心のようだ。合コンなどではない、普通の飲み会で出会ったり、「同窓会で再会し、婚外恋愛に発展」という人もいた。余談だが、同窓会は地元で行なわれたが、普段は首都圏在住のため、遠距離婚外恋愛なのだという。当然、ちょくちょく肉体関係を持てる状況ではない。ということは、やはり相当強い恋愛感情が伴っているのだろうか。因みに、女性の場合は、子供の塾で出会った父兄であったり、宅配業者と恋愛に発展することもあるようだ。
次に、婚外恋愛の密会スタンスはどうだろう。「会ってすぐにラブホへ直行」というセックス重視の不倫に対して、いわゆるデート的なこともするというのが特徴的だった。お互いの趣味にあわせて、遊園地に行ったり、寺社巡りをするというカップルも存在する。さらには、「会えば必ずセックスする」というわけでもないらしい。デートだけで密会が終わることもある、というのが不倫カップルとの大きな違いだろう。
最後に、婚外恋愛の終え方について。不倫カップル間は、「自然消滅」という終わり方も珍しくないようだ。「当面の性的欲求はとりあえず満たされたことだし、ちょうど仕事も忙しくなってきたので」「他に、相性の合う不倫相手が見つかったので」など、理由は様々だが、それに対していちいち「終わりにしよう」など形式張ることはしないとのこと。だが、婚外恋愛の場合はそうもいかない。「罪悪感に悩まされて」「将来を考えて」「親しい友人の説得」などで、断腸の思いでピリオドを打ったというエピソードも多数寄せられた。確かに、婚外恋愛の行き着くところは、離婚して一緒になる以外は、早かれ遅かれ別れなければならない。しかし、配偶者と離婚することもなく、「今を楽しむ」といったスタンスで10年近く婚外恋愛を継続しているというカップルもいる。
婚外恋愛に対する意見は賛否両論だろう。「好きになってしまったものはしょうがない」という人もいれば、「倫理的にも良いこととはいえない」という人もいるだろう。いずれにせよ、「婚外恋愛に足を踏み入れる可能性は誰にでもある」ということは、頭の片隅にでも留めておくべきなのかもしれない。
(文=菊池 美佳子)