韓国アイドルグループの日本上陸が止まらない。今月2日は”最強K-POPアイドルグループ”という触れ込みで、少女時代に続き美脚ぞろいのAFTERSCHOOLが8月に日本デビューすることが発表された。デビュー前である3月、すでに「東京ガールズコレクション」へも出演しており、根回しは周到だ。さらに”KARAの妹分”として韓国で人気のグループRAINBOWも、AFTERSCHOOLに続く9月に日本デビューすることが分かっている。KARAと同じ事務所であるDSP mediaの最終兵器とも称されており、その日本デビュー曲「A」においては、おヘソを出して踊る”ヘソダンス”が韓国で「扇情的すぎる」として、衣装や振り付けすべてを変更させられたなど、早くも話題を振りまいている。
さらに今月10日と11日にはフランスで、少女時代や東方神起をはじめとする韓国大手芸能事務所SMエンターテインメント所属のアーティストらがライブを行っており、6,000人を収容できるライブハウスには欧州各国からのファンが詰め掛けたという。韓国アイドルグループは今や、日本だけでなく欧州へも勢力を広げつつある。
そんな中、イギリスBBCが14日、このK-POPの海外進出の背景に「アーティストとの奴隷契約」がある、と報じた。「韓国のポップミュージックの闇」と題されたそのレポートでは「K-POPの成功神話は”奴隷契約”と呼ばれる長期間の不平等契約の上に成り立っている」と韓国芸能界の現状をあらためて分析している。その事例として、専属契約が長過ぎること、またその成功に対しての報酬が少なすぎることなどを挙げている。
確かに、これらの事例に該当するグループについては日本でもすでに過去、報じられてきた通りだ。2009年には東方神起の元メンバー3名が、契約期間や収益配分の規定について不当性を訴え、所属事務所に対し専属契約効力停止仮処分申請をソウル中央地方裁判所に提出した。以降、所属事務所側も裁判所の仮処分に対する異議申し立てを行うなど、泥仕合となる。結果、しばらく活動停止していた東方神起は元メンバー3名以外の2名で活動を再開し、元メンバー3名はユニット「JYJ」として活動を続けている。
またKARAのメンバー3名が今年1月、所属事務所に専属契約解除を申し出、翌2月にはソウル中央地方裁判所へ正式に訴訟を起こしたという騒ぎも記憶に新しいだろう。これについては4月、所属事務所がホームページ上にて「すべての争いを円満に解決し、メンバー3名はKARAでの活動を再開することで合意した」と発表されたが、円満解決の中身がどのようなものであるかは明かされていない。1月当時、3名のメンバーは正当な利益を受け取っていなかったと主張しており、月の報酬が1人当たり14万ウォン(約1万円)だったこともあるという噂もある。
さらに韓国の女性芸能人には、いわゆる”枕営業”の噂も付きまとう。09年に自殺した女優チャン・ジャヨンが「性接待を強要された」と直筆のメモを残していたというニュースは日本でも大きく取り上げられた。結局、筆跡が本人と一致しないという結果となっているが、この手の噂は絶えない。その背景にはおそらく契約期間の長さ、事務所との泥仕合になるというおそれなどから訴訟がためらわれるなどまさにBBCが”奴隷”と評しているような状況から、性接待のような事態にも発展しているのでは、という憶測が広がった……との側面もあるだろう。
しかし、今回のようにイギリスの大手メディアが韓国の芸能界に対する分析を発表したことは、欧州におけるK-POPの台頭ぶりを示すものであることは間違いない。韓国の芸能事務所からすれば、むしろそれこそがK-POP市場を世界に広げるためのチャンス、言ってみれば宣伝の一環と捉えることもでき、話題になることでK-POPの延命にもつながる、という狙いもあるのではないだろうか。そうであれば、韓国芸能界における特殊な契約事情は当分、改善しそうにないだろう。
先に挙げたRAINBOWの”ヘソダンス”が本国で物議を醸した件についても、その話題自体が宣伝となり、各国へ飛び火する。K-POPは当分、こうした契約をめぐる闇や、本国でのセンセーショナルな話題も込みであらゆる国を席巻していくのではないだろうか。
彼女たちの裏の顔?