先日発売された「週刊実話」(日本ジャーナル出版)に、「月9打ち切りか!?」という記事が掲載された。フジテレビ社長の豊田皓が、放送時間の見直しと内容の一新を現場に指示したというが、そんな豊田の発言に同誌は家庭用録画機器の普及で視聴者の視聴環境が変わったことが原因であり、すでに月9という枠自体に意味がないと指摘。さらに韓国スターの度重なる流入から、平均年齢37歳となったSMAPを筆頭にジャニーズ事務所所属のタレントたちに賞味期限が迫っていることにも言及した。
この報道に対してネットユーザーはさまざまな反応を見せた。月9廃止論に傾く者がいれば、逆に擁護する者もいて、ただ寂しがる者もいるといった具合。ただ、大方の意見としてはそもそもドラマ自体が面白ければ、月9だろうとジャニーズ主演だろうと関係ないというものだった。実際、彼らの意見を象徴するかのように、4月からスタートした最新の月9ドラマ『幸せになろうよ』(フジテレビ系)は、SMAPの香取慎吾を主演に据え、初回視聴率は平均16.4%を稼いだ。にもかかわらず、2話目の視聴率は11.9%を記録。4.5%も数字を落とし、それ以降も持ち直していないのが現状となっている。期待はされるものの、その期待に応えられていないのが明白と言える。
「月9が低迷と言われてますが、『JIN-仁-』(TBS系)のように、ドラマ自体が面白ければ、HDRうんぬんといった視聴環境の変化に関係なく視聴率は取れるはずです。それに、漫画やアニメが注目されるように日本の文化は海外からも評価が高いですから。面白いドラマであれば、『JIN』のように世界中で売れる可能性は十分にあります。ただ、局側が絶大な力を持っている日本のドラマ制作システムでは、実際に制作するチームに二次的なお金が入らず、たとえどんなに世界中でヒットしても制作チームが潤うことがないんです。そんな現状では、どうしてもモチベーションに欠けてしまうのでしょう」(芸能ライター)
こう日本ドラマを分析するライターは、アメリカで制作されるドラマのシステムと日本のシステムが根本的に違うと述べ、以下のように説明してくれた。
例えば、世界中で大ヒットしているアメリカの人気ドラマシリーズ『CSI』は、プロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーの指揮するチームが作り、その放映権をテレビ局に売っている。日本の場合だと、この時点でドラマそのものの権利がテレビ局に売られることになるが、アメリカの場合はあくまでも放映する権利だけが売られる。そのため、DVD化などでの配当は権利者であるドラマ制作チームが保持し、その配当金は俳優や監督といった人々に分配されるという。
しかし日本ではほとんどの場合、慣習として、テレビで放映されたドラマの権利はすべて局が放映権とともに買い取る。そのためプロデューサーや監督などへの分配はない。つまり売った時点で終わり。制作を引き受けた時点で決められた費用以外が、制作会社サイドに入ることはないというのだ。この違いは、当然と言えるだろうが、制作にかかわった人々の懐具合を左右する。
DVDでもネット配信でも、売れたら売れた分だけ潤うチームと、たとえ世界で売れたとしても何一つうま味のないチームとではモチベーションに差が生まれるのは当然。では、いったいそんなシステムで作られたドラマとはどんなものなのだろうか。海外ドラマに疎い読者のために、すでに大ヒットドラマではあるが、当メンズサイゾー厳選のエロかわいいヒロインが登場する上質な海外ドラマを紹介しよう。
まずは、キャスリン・モリス演じるリリーがセクシーでかわいい『コールドケース』。未解決事件の解決を目指す刑事物でシーズン7まで続いた人気ドラマ。基本的に1話完結だが、各キャラクターのバックグラウンドがさまざまな場面で細かく挿入され、全編を通して徐々に見えてくる人物像の描写は見事。残念ながらシーズン8の予定はないようだが、現在AXNでシーズン4を放映中。リリーの悩ましくも魅力的な笑顔は一見の価値あり。
そして本国アメリカではCBS系のテレビ局が放映していながら、日本での放映はFOX系となり、上記に説明した配給システムを見事に活用している『ゴースト~天国からのささやき』。ドラマの主人公であるメリンダを演じるのは、1997年に公開された映画『ラストサマー』(コロンビア映画)で一躍ブレイクしたジェニファー・ラブ・ヒューイット。身長159㎝と小柄ながらも抜群のプロポーションを持つ彼女は、アメリカの男性誌が選ぶ「もっともセクシーな女性100人」の常連というセックスシンボル的アイドル。そんな彼女が霊能力者として活躍するドラマは、そのタイトルから受けるホラー的な印象とは違い、非常に人間味あふれるもの。彼女のグラマーさも十分見ものだが、心が癒やされる内容となっている。
また、昨年の秋にアメリカでの放送がスタートしたばかりで、日本ではまだ解禁されていない『NIKITA/ニキータ』も大注目のドラマだ。6月からAXNで放送が予定され、同時期にDVDのレンタルとセル販売が控えている同作の主演は、日本でもおなじみのセクシー女優・マギー・Q。彼女のスレンダーな肢体と見事なアクションは、まさに美しき暗殺者といった形容が見事にはまる。『コールドケース』と同じように、1話完結でありながら、謎多き美女アサシン・ニキータの正体が全体を通して徐々に浮かび上がってくるという触れ込みは、ファンならずとも見逃せないものになるだろう。
アメリカのテレビ業界では、70年代から制作サイドと配給側とが互いに作品の権利をめぐって泥沼の法廷闘争を繰り返してきたという。その末に構築されたのが前述した仕組みであり、数多くの優れたドラマなのだ。そしてその優れたドラマは、質の高さゆえ世界中の人々に愛されるものになった。月9ドラマの人気低迷を筆頭に、近年めっきり話題作の少なくなった日本のドラマ。前出のライターが指摘するように、その原因はドラマ制作のシステムそのものにあると言える。
(文=峯尾/http://mineoneo.exblog.jp/)
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