2010年5月7日(土)の深夜24時、鶯谷「東京キネマ倶楽部」を舞台にラバリスト(ラバーフェチ、ゴムフェチ)、ドラァグクイーン、そしてさまざまなフェティッシュを持つ方々が大集結するイベント「デパートメントH2099」が開催された。
イベント前の会場付近にはすでに仮装した人もおり、異様な盛り上がり。中に入ると、フロアにはオリジナルSMグッズを売る人や特殊メイクをする人など、たくさんのブースでワークショップも行われていた。
ここで、「デパートメントH2099」(デパH)について少し説明しておこう。
デパHは毎月第1土曜日に開かれているクラブイベントで、アンダーグラウンド・エンターテインメント。内容はキャットファイト、ストリップ、ドラァグクイーンのダンスショーなど、さまざまなステージイベントが月替わりで用意されている。イラストレーターが本職のゴッホ今泉さんが主催を務めており、ゴッホさん自身もドラァグクイーンだ。
始まったのは1993年3月と古く、18年以上も続いている。ゴッホさんいわく、「酒もダンスも苦手な人のために夜遊びの場を考えた」のだという。会場は新宿や渋谷など、そのときの事情で変わってきたが、現在の鶯谷になったのは2008年1月からだ。
さて今回のメインイベントは、5月6日が「ゴムの日」ということで行われた「ラバーピープル・キャットウォーク」。イベントは前半と後半の2部構成で、前半は自慢のコスチュームを着たラバリストによるファッションショー。後半は池袋のラバーショップ「kurage」製作・提供のオートクチュールショー。
ステージには次々にゴム人間たちが登場し、会場はゴム臭くなって観客も熱気でムンムン。 頭をラバーマスクで覆いつつ、お尻が丸見えのコスチュームを着たラバリストが登場し、本職がお坊さんであるとMCから紹介されるや、場内は大爆笑。最後は出演者40人が一堂に会して大撮影会、圧巻だった。
このラバリストによるファッションショーの後、ステージはダンスパフォーマンス集団「紫ベビードール」によるセクシーなダンス、中野貴雄氏が主催する団体によるキャットファイト、今イベント以外の各種フェティッシュイベントなどの告知コーナー、そしてボーカルが包帯姿で歌う「情念」のライブなど多彩なショーが行われた。
デパHはステージイベントが楽しいという以上に、集まってくる人間たちが面白い。出演者と客、共に思い思いのフェティッシュを表現する衣装で着飾った方たちばかり。 ヘンタイの各ジャンルがそろっているという感じだ。日ごろはまじめなビジネスマンだって、毎月この日ばかりは女装してここでコミュニケーションするのである。
各ジャンルのヘンタイさんたちが大集結している中に、「なにも特別な性癖がない」と感じる方が交ざってもいいのかと思うかもしれない。しかし、参加者は日ごろ内に秘めている性癖を開放しているだけであり、別その気がなければ、変態行為に巻き込まれることも強いられることもない。
そもそも、ヘンタイさんたちは健康的で明るく元気にイベントを楽しんでいる。マツコ・デラックスや楽しんごなど、女装家やオカマの出演するテレビ番組が増えているが、デパHでは「彼女」たちが持つその独特の雰囲気を間近で体感できるのだ。
一般の入場料は5,000円。仮装していけば3,000円となっており、会場内でアルコール類の販売はしておらず、飲食の持ち込みは自由だ。興味がある方は一度足を運んでみてはいかがだろうか?
(取材=上条泡介)