【ぶらぶら珍散歩、略してぶらちんぽ】

GWは猫ざんまい! 心和ませてくれる「世界の猫グッズ博物館」

 たくさんの猫と、心ゆくまで戯れていたい。ただ、ひたすら癒やされたい。そうお考えの諸兄。でも、野良猫は警戒して寄ってこないし、近ごろやけに増えてる猫カフェなんてのもいいけれど、猫カフェってたいていがお触り厳禁。エサのおねだりだけは一生懸命なネコどもにおどおど愛想を売りつつ、頼みたくもないドリンクを頼んで……ってこれ、キャバクラやないけー!

 っと、失礼、取り乱しました。いや、猫たちのストレス回避のためとは分かってますけど、やっぱりワシャワシャしたいじゃないですか! あぁ、100匹くらいの猫が自分に向かってニャーニャーニャゴニャゴ集まって来ねぇかなぁ……そんなパラダイス、あるわけが……チチチ! 実はあるんです!!

 東京から高速道路で約2時間、千葉県は房総半島の南端にほど近い鋸南町。穏やかな東京湾を眼前に、山々を背負った自然豊かなこの地に、その楽園はある……のだが、訪れるのに少々難儀。十字路に案内板が立ってはいるが、ちょっと見にくい……。そして、いよいよ素朴なペンキ絵が心和ませてくれる「世界の猫グッズ博物館」に到着でーす!

あぜ道を抜けると、そこはナゾの博物館だった!
うーむ、ビミョーにアヤしい雰囲気だが……

 「猫グッズぅ? 俺は生きたニャンコと触れ合いたいのであって、ファンシーグッズには用はないんだよっ」と読むのをやめようとしたストイックな貴兄、お待ちください! 確かに、この博物館では世界40カ国から約7,000点以上集まった猫グッズも見どころではありますが、入場料800円で、なんと約100匹の猫たちと触れ合える、いわば人工の「猫の泉(by『動物のお医者さん』)」なのです! 

 入り口で手を消毒して、猫との触れ合いスペースに……。引き戸を開けると、そこは、猫山盛り状態! そいつらがまた、全員懐っこくて、ひざに乗ってこようとしたり、スリッと体を寄せてきたり……。こんなにモテているのは人生初だなと、感慨に浸れます。

半屋外のスペースがあったりして、猫たちは実に快適そう
昼寝するものあり、
脱走を試みるものあり、
腹を揉まれるものあり、

 と、フリーダムです。……いかん、ここに居ると際限なく時間が過ぎてしまう。と、別棟の、もう一つのスペースに案内してもらうと、これがまた、猫天国なのであります。とりあえず、これを御覧ください。

 猫専用コタツ……なんと幸せな風景でしょうか……。ここには長毛、短毛さまざまな猫たちがお出迎え。どの子も人懐っこいのは、よほど大事にされているのだなあと感じさせます。本当に幸せそうでよかった!

 ……と、急にそんなことを言い出しましたのは、理由があります。この猫たちはみんな、事情があって引き取られてきたんです。動物プロダクションの倒産で放置されたり(有名なCMに出演していた猫もここに引き取られました)、住宅事情で飼えなくなくなったり……。里親は常に探しているのですが、子猫はまだしも、成猫、老猫を引き取る人はなかなかいません。博物館に子猫を捨てる心無い人もいます。そうこうしているうちに、猫の数が100匹を超えてしまったのです。

 入場料に加え、展示されているグッズの販売や善意の寄付によって猫たちの餌代は賄われていますが、なかなか運営は大変そう。それでも、日本全国に同じような境遇の猫たちがいて、ほとんどの場合は保健所で殺処分されていることを考えると単純に良かったと胸をなで下ろせない現実があります。この博物館の館長は、全国にこのような「シェルター」を作って殺処分をゼロにするための、NPO法人を立ち上げました。壮大だけれど、現実化してほしいものです。

 ここを訪れることで、先の震災などでも後回しにされがちだったペットの命の問題について、思いをめぐらす人もいると思います。まあ、それよりも人懐っこい猫たちに、ただただ癒やされるのもいいと思います。気持ちが和やかになって、すべての生命が愛おしくなりますから! 一人バイクでツーリングがてら遊びにくるお兄さんも結構いるみたいですから、陽気のいい日にふらっと訪れてみてはいかがでしょう? ちょっとマジメになってしまいました……。
(取材・文=櫻井ゴードン)

世界の猫グッズ博物館HP

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ネコには弱い。


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